夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『トリガール!』

2017年09月11日 | 映画(た行)
『トリガール!』
監督:英勉
出演:土屋太鳳,間宮祥太朗,高杉真宙,池田エライザ,矢本悠馬,
   前原滉,佐生雪,ナダル,羽鳥慎一,轟二郎他

昨日じゃなくて、先週日曜日にTOHOシネマズ梅田にて。

朝起きて、オンライン予約はせずにダラダラしていたら、
9:10上映開始の本作には間に合いそうになくなってさらにダラダラ。
これじゃなくてもうちょっと遅くからの映画を観よう。
それでももしかするとこれに間に合うかも。
これを観たいのか観たくないのかどっちやねんと自分にツッコミ入れつつ車で出発。
最近駐めるようになった有人駐車場に向かい、到着したのが9:05。
間に合ってしもたがなとやっぱりこれを観たら、面白くて。よかった!

原作は中村航の同名小説。彼の出身校である芝浦工業大学をモデルにしているそうです。
英勉監督といえば、『高校デビュー』(2010)、『行け!男子高校演劇部』(2011)、
『ヒロイン失格』(2015)などなど、私の年齢で観るもんじゃないのでしょうが、
これがどれも意外に楽しめて、幸せな気持ちになれるのでした。

一浪の末、第一志望ではなかった雄飛工業大学に入学した鳥山ゆきな(土屋太鳳)。
まわりはメガネにチェック柄のシャツを着た男子ばかり。
この状況に頭が変になりそうだと思っていたところ、
同じく新入生の島村和美(池田エライザ)から声をかけられる。

こんなにも可愛い和美がなぜこの大学に入ったのかと問うと、
彼女はこの大学の人力飛行サークル(TBT)に入部するのが夢だったのだと言う。
一緒に入部する気などさらさらなかったゆきなだが、
イケメンのメガネ男子・高橋圭(高杉真宙)が部長であると知り、
彼の誘いの言葉に乗って即入部を決める。

高校時代、片道20キロの道のりを自転車通学していたゆきなは、
女子とは思えない脚力と肺活量の持ち主。パイロット班に抜擢される。
琵琶湖で年に一度開催されるコンテストに向けてトレーニングを開始、
憧れの圭先輩と二人乗りの人力飛行機で飛べるのだと信じるゆきなは有頂天に。

ところが、圭が一緒に飛ぶつもりだったのは坂場大志(間宮祥太朗)。
さまざまな伝説を持ちながら、前年度の失敗がトラウマとなっているらしく、
ゆきなはそんな坂場を再び引っ張り出すためのダシに使われたようだ。
圭の思惑どおり、女なんかにパイロットは務まらないと坂場は断言。
ゆきなは腹が立って仕方がない。

そんな折り、飛行の練習中に圭が大怪我を負う。
コンテストまでになんとか完治させるからと言う圭に対し、
坂場は突然「コイツとでなければ俺は飛ばない」とゆきなを指して宣言。
会えば喧嘩ばかりのふたりの息が合うとは思えず、
部員たちはそろって反対するのだが……。

『orange オレンジ』(2015)、『青空エール』(2016)、『PとJK』(2017)、
『兄に愛されすぎて困ってます』(2017)と、
ステレオタイプの女子高生役にブリブリの声、
いつも同じ太鳳ちゃんで見飽きたわと思っていた今日この頃。
この太鳳ちゃんはめちゃめちゃイイです。

英監督が関西出身の人だからかどうかわかりませんが、
この笑いのセンスはかなり好き。
太鳳ちゃんと間宮くんのやりとりは漫才みたいで、
ツッコミのタイミングもよく、だいぶ笑えます。
この子、コメディエンヌの才能もあったんやとびっくり。
芸人のナダルの語りだけは、私はつまらなくて笑えん。(^^;

どういうわけかたいした宣伝もされていませんでしたが、
『兄こま』より百倍以上いいのはもちろんのこと、
土屋太鳳主演の作品ではこれまででいちばん好きかも。観に行って正解。

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『新感染 ファイナル・エクスプレス』

2017年09月09日 | 映画(さ行)
『新感染 ファイナル・エクスプレス』(英題:Train to Busan)
監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ,チョン・ユミ,マ・ドンソク,キム・スアン,
   チェ・ウシク,アン・ソヒ,キム・ウィソン他

甲子園ツアーの前に2本ハシゴの2本目。
前述の『ワンダーウーマン』を観たTOHOシネマズ梅田から
大阪ステーションシティシネマへと移動。

スティーヴン・キング絶賛のゾンビもので、ハリウッドリメイクも決定。
原題・英題ともに「プサン行き」の意なのに、邦題を「新感染」にするなんて、
ダジャレもいいとこだと思いませんか。まぁ何でもええですけれど。(^^;
全力疾走で追いかけてくるゾンビってやっぱり怖い(笑)。

投資会社の優秀なファンドマネージャー・ソグ(コン・ユ)は、妻と別居中。
多忙な仕事を理由に家庭をいっさい顧みず、
一人娘のスアンの世話も同居している実母に任せきり。
しかし離婚になったとしても親権は絶対に譲りたくない。

明日はスアンの誕生日。
スアンはどうしても誕生日当日にお母さんに会いたいと言う。
ろくな誕生日プレゼントも用意できなかったソグは、仕事を気にしつつも、
妻が暮らすプサンへスアンを自ら送り届けることに。

ソウル発プサン行きの高速鉄道KTXに乗車したソグとスアン。
同じ列車に乗り合わせたのは、身重の女性ソギョン(チョン・ユミ)とその夫サンファ(マ・ドンソク)、
男子高校生のヨングクをはじめとする高校球児の一団、
そのヨングクを好きだと公言してはばからない女子高校生ジニ、
謎のホームレスの男、老姉妹のインギルとチョンギル、高速バス会社に勤めるヨンソクなど。

列車が出発しようというときに駆け込んできたのがゾンビウィルスの感染女性。
彼女の様子を見に行った添乗員が襲いかかられて感染。
乗客も次々と噛みつかれてゾンビとなってゆき、車内は大パニックに。

ソグは自分とスアンだけでも逃げ延びようと、
最大限に伝手を使って確保してもらえるよう画策するが、
すでにどこもかしこもゾンビだらけ。
ソグたちを救出してくれるはずだった軍人たちもゾンビと化していて……。

ゾンビ映画として目新しいことは何もありません。
回りくどいことはせずに娯楽に徹した結果、面白い作品になりました。
適度な泣きの場面ももちろん盛り込まれています。

「お父さんは自分のことしか考えていない」、そう涙ながらに訴えるスアン。
仕事仕事で娘のこともないがしろにしていたソグ。
ソグほど社会的地位は高くなくて、一見ガラの悪いオッサンだけど、
妻を大事にするサンファは、いけ好かないソグにもスッと手を差し出すし、
これから母親になるはずのソギョンもスアンを包み込みます。
そんな彼らと行動をともにするうち、ソグにも変化が芽生えるのでした。

最後は泣くこと必至。
こんな切ない“アロハ・オエ”を聴くことになるとは。

やはりゾンビ映画は外せません。

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『ワンダーウーマン』

2017年09月07日 | 映画(わ行)
『ワンダーウーマン』(原題:Wonder Woman)
監督:パティ・ジェンキンス
出演:ガル・ガドット,クリス・パイン,ロビン・ライト,ダニー・ヒューストン,
   デヴィッド・シューリス,コニー・ニールセン,エレナ・アナヤ,ユエン・ブレムナー他

先週金曜日は職場で某球団のファンを募り、観戦ツアーを決行。
ちょうど1日でファーストデーだったから、甲子園へ行く前に映画を観ることに。
試合開始きわきわに行って済むのなら3本ハシゴできるけれども、
ツアーの幹事なので一応早めに行こうかと、2本だけ。
1本目はTOHOシネマズ梅田にて本作を鑑賞。

アメコミについて詳しくないので、“ワンダーウーマン”のこともよくわかりません。
DCコミックが誇る女性スーパーヒーローで、
これまでスーパーヒーローのうちのひとりとしての出演はあったけど、
実写映画版の単独主演は初めてなのだとか。へ~。
ワンダーウーマンに抜擢されたのは、イスラエル出身のモデル、ガル・ガドット。
やっかむ気すら起こらない堂々とした美人で、身長は177cm。でかっ!

世界から隔絶された島セミッシラ。アマゾン族の女性のみが住んでいる。
女王ヒッポリタの娘で王女のダイアナは、幼い頃から戦士となることを夢見る。
娘の身を案ずるヒッポリタは、戦い方を学ばせようとしなかったが、
ヒッポリタの妹で将軍のアンティオペがヒッポリタを説得、ダイアナを戦士へと育てあげる。
成人して、アンティオペに負けず劣らずの強さを得たダイアナ。

ある日、ダイアナは外界からやってきた飛行機が海辺に墜落するのを目撃する。
操縦していた男性スティーブを救出したダイアナとヒッポリタらは、
外界で戦争が起こり、恐ろしいガスによる兵器が開発されていることを知る。

一旦外界に出れば、二度とセミッシラに戻ってくることはできない。
しかし、世界の危機を救うため、ダイアナはスティーブとともに外界へ出発。
そこは第一次世界大戦中で……。

なにせ、実物の男性を見ることすら初めてだったダイアナ。
セミッシラではありとあらゆる教育を受けているので、知識としては持っている。
けれども知識どおりには行かぬのが人間。

初めて男を見たダイアナが、「あなたは標準的な男性か」と尋ねたのに対し、
クリス・パイン演じるスティーブが「標準以上」と答えるのが可笑しいです。
確かに、イケメンで、均整の取れた体で、知性も理性もある男性は標準以上でしょう(笑)。

外界にやってきたダイアナには見るもの見るものが新しい。
かと言って子どもじゃないから、はしゃいだりはしない。
しかも100カ国語堪能だったりもして、彼女の言動に焦るスティーブが面白い。

177cmの美女が原始的な戦闘服に包まれて走ってくる姿は、
やはりデカいから、軽やかという感じはしません。
華奢で強いという感じもしないから、なんだか圧倒されてしまいます。
だけど笑顔はめちゃくちゃ可愛いくて、骨抜きにされる男性もいるでしょう(笑)。

ワンダーウーマンがメンバーとして登場する『ジャスティス・リーグ』は
11月下旬の公開。これも楽しげな予告編でした。期待大。

「僕は今日を救う、君は世界を救え」。名言。

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『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

2017年09月05日 | 映画(は行)
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(原題:A Street Cat Named Bob)
監督:ロジャー・スポティスウッド
出演:ルーク・トレッダウェイ,ルタ・ゲドミンタス,ジョアンヌ・フロガット,
   アンソニー・ヘッド,キャロライン・グッドオール,ベス・ゴダード他

『関ヶ原』『エル ELLE』→これ。
2本目と同じく大阪ステーションシティシネマにて。

カナダ・オタワ出身のロジャー・スポティスウッド監督によるイギリス作品。
猫好きならば絶対に観たくなる実話。
その猫、ボブ本人(という言い方でいいの?(笑))が出演しています。
めっちゃめちゃ可愛い。コイツのためなら確かに頑張れそう。

イギリス・ロンドン。
10代初めにドラッグに手を出し、薬物依存から抜けられないままの青年ジェームズ。
父親から見放され、住むところもなく、路上生活を送っている。
ギター片手に歌っては小銭を稼ぐが、たいした金額にはならず、ゴミ箱を漁る日々。
食事にもありつけず、ついついまたドラッグに手を出してしまう。

薬物依存症患者のサポートワーカーでジェームズを担当する女性ヴァルは、
今回こそ本当にジェームズがドラッグをやめる最後の機会だと直感的に思い、
住居を求めて大勢の待機者がいるなか、なんとかジェームズに部屋を用意する。

しばらくぶりの「室内」に頼りなくも笑顔を見せるジェームズ。
その夜、物音に気づいておそるおそる台所を覗くと、
1匹の茶トラ猫がシリアルの箱に顔を突っ込んでいるではないか。

翌朝、飼い主のもとに帰るように言い聞かせ、ジェームズは路上へ。
ところが、帰宅してみると怪我を負ったジェームズがいた。
同じアパートに住む女性ベティの助言を受け、無料診察してくれる病院へ連れて行く。
さんざん待たされ、診察は確かに無料だったが薬代は自費。
困ったことだが、どうしてもその猫を見捨てる気になれない。

なけなしの金をはたいて薬を買い、家に連れ帰ったものの、薬を嫌がる猫に難儀。
ベティの力を借りてなんとか飲ませ、ついでにベティから“ボブ”と名付けられる。
以来、ボブはジェームズから離れようとせず、路上にまでついてくる。
ジェームズの肩の上に乗ったり、隣に鎮座ましますボブはすっかり人気者に。
ボブのおかげで荒稼ぎするジェームズだったが……。

ジェームズご本人は最後にゲスト出演。
サイン会で「僕の人生そのものだ」と声をかける人です。
人間のほうは役者に任せたけれど、ボブはボブ本人の出演。
ジェームズとハイタッチまでしちゃうんです。なんちゅう猫。

主演のルーク・トレッダウェイ、ベティ役のルタ・ゲドミンタス、
ヴァル役のジョアンヌ・フロガット、よかったです。
ヘロイン中毒から抜けるためにメタドンを処方し、
メタドンもやめるときには「いままでにひいたいちばん酷い風邪の百倍しんどい」そうな。
ドラッグに苦しむ人、ドラッグで身内を亡くした人、更生を支える人、
いろんな立場でドラッグに関わる人のことも少し知れたかもしれません。

エンドロールで表示される後日談に、
願わくばいまもジェームズには歌っていてほしかったと思いました。
ボブがらみの本ばかり出しているようで、
そこのところはちょっとつまらないような。

というのは意地の悪い見方は止めておいて。
ボブを見るだけでも十分に楽しい作品。
見てみて!ボブ!

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『エル ELLE』

2017年09月04日 | 映画(あ行)
『エル ELLE』(原題:Elle)
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユペール,ロラン・ラフィット,アンヌ・コンシニ,
   シャルル・ベルリング,ヴィルジニー・エフィラ,ジュディット・マーレ他

奇跡的に寝なかった『関ヶ原』のあと、大阪ステーションシティシネマへ移動。

オランダ出身のポール・ヴァーホーヴェン監督は、『ロボコップ』(1987)でブレイク。
以降、『トータル・リコール』(1990)、『氷の微笑』(1992)と話題作を連発。
『ショーガール』(1995)では第16回ゴールデンラズベリー賞を総ナメしたものの、
こんな不名誉な賞の授賞式に現れて周囲を沸かせ(受賞者の来場は史上初)、株を上げました。
こういう茶目っ気のある人っていいなぁ。憎めません。

そんなヴァーホーヴェン監督によるフランス作品。
予告編がたいそう面白そうでした。
豪邸に住む女性が襲われて、警察は当てにならんから自分で調べはじめる、
そしてみごと犯人を突き止める……という話だと思っていたら、ちゃうや~ん!
「予測不能の復讐譚」というのはちょっとちゃう気がする。
観終わってみれば復讐譚とは思えず、面白かったけど苦笑。

というわけで、ネタバレ気味で行くわよ。

新鋭のゲーム制作会社の女社長ミシェル。
親友のアンナをアシスタントに腕をふるい、好業績をあげているが、
若い社員たちの多くはミシェルの辛辣な物言いを嫌っている。
夫リシャールとは離婚し、息子ヴァンサンは身重の恋人レベッカと同棲中で、
ミシェルは豪邸で優雅な一人暮らし。

ある日、覆面をした男が押し入り、ミシェルをレイプする。
犯人が事を果たして立ち去ったあと、警察に通報もしないミシェル。
数日後、リシャール、アンナ、その夫ロベールとの食事の席で、
ミシェルはレイプのことを打ち明ける。
一同は呆然とするが、本人は落ち着き払って淡々と。

その後、間近からミシェルのことを監視しているかのようなメールが届く。
彼女の会社の全社員に、彼女を貶める卑猥な画像も送りつけられ、
身近に犯人がいると確信したミシェルは、自ら犯人探しを始めるのだが……。

幼少期に父親が起こしたある事件に巻き込まれたミシェルは、
一見普通なものの、普通ではないようです。
何事にも動じないのは素晴らしいことですが、まぁ嫌なオバハン(笑)。
息子の彼女が気に入らなくて嫌みばかり。
元夫に新しい彼女ができたと聞けば探りを入れて会いに行く。
親友の旦那とは寝ているし、向かいの家の若夫婦をホームパーティーに呼び、
テーブルの下で若夫婦の夫を誘ってみたり。

誰から恨まれても不思議はない女性だから、
その中から犯人を当てるミステリー……ではなかった。(^^;
ミシェルを筆頭になんだかみんな屈折していて、
いちばん屈折しているはずのミシェルにはそれがわかるから、
ついつい相手をしてしまうのだとも思えます。

イザベル・ユペール、若く見えますけれど、64歳。
脱ぐのも厭わず、こんな役をしちゃうのですから、凄いオバハンだわ。

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