めいすいの写真日記

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映画「レベッカ」・・・ヒチコック監督作品

2021-01-23 | 映画

                                 NHK BS シネマ 2021/01/20

 巨匠アルフレツド・ヒチコック監督唯一のアカデミー受賞作品。光と影を上手く生かした美しい映像は撮影賞も受賞している。

 モンテカルロで大富豪のマキシムと出会い、結婚した”わたし”は、イギリスのマンダレーへやって来る。しかし、その邸宅は豪華絢爛ではあるが、なぜか活気が無く、事故死した前妻レベッカを慕う使用人ダンバース夫人に冷たくあしらわれるのだった・・・。女性主人公は一人称で語られる。

【監督】アルフレツド・ヒチコック
【原作】ダフネ・デュ・モーリア
【撮影】ジョージ・バーンズ
【出演】ローレンス・オリビエ・・・マキシム・ド・ウィンター
    ジョーン・フォンテイン・・・わたし
    ジョウジ・サンダース・・・ジャック・ファヴェル
    ジュディス・アンダーソン・・・ダンバース夫人
【製作国】アメリカ
【製作年】1940
【原題】REBECCA

 アメリカ人の富豪ヴァン・ホッパー夫人の付き人としてモンテカルロのホテルにやってきた”わたし”は、そこでイギリスの大金持ちであるマキシムと出会い、2人は恋に落ちる。マキシムは1年前にヨットの事故で前妻レベッカを亡くしていたのだが、彼女はマキシムの後妻として、イギリスの彼の大邸宅マンダレーへ行く決意をする。

マンダレーにあるマキシムの大邸宅はまるでお城のよう。

 

マキシムの後妻としてとして初めて訪れた邸宅には多くの使用人が待っていた。

 結婚生活を控えめながらやっていこうとする彼女だったが、かつてのレベッカづきの使用人で、邸宅を取り仕切るダンバース夫人にはなかなか受け入れてもらえない。
 ”わたし”は精神的に追い込まれていくようになる。

食堂で夕食を取るマキシムと”わたし”

暖炉のある居間に入っていく”わたし”

 邸宅の一番立派な部屋は西館二階の海の見える部屋で未使用。前妻のレベッカが使っていた。恐る恐る入っていくがダンバース夫人に見つかってしまう。

 居間で前妻レベッカの手紙を調べていくうちに、”わたし”は仮装舞踏会を自ら開催し、マンダリーの以前の活気を取り戻そうとする。

 ”わたし”は仮装舞踏会の衣装をどのようにしようかと思案するが、ダンバースの薦めにより、階段上にある先祖のキャロライン嬢の肖像画の服装にする。「マキシムもお気に入りの絵だ」ということも聞いたからである。
 しかし、この豪華なドレスを着ている”わたし”を見たマキシムは不機嫌になり、「一体 何のマネだ 何でもいいから着替えてこい 早くしろ 聞こえただろ」と言い放つ。衝撃を受けて西館二階の部屋に飛び込む”わたし”待っていたのはダンバース夫人だった。
 それは、”わたし”の姿があまりにもレベッカにそっくりだったからである。ダンバースの計略にかかってしまったのである。

 「1年前の奥様を見ているようでした」「旦那様の目は奥様を亡くした頃と同じまま」
「夜も眠れず 一晩中屋敷の中を行ったり来たり」「奥様の後釜に座ったつもりでしょうが・・・」「あなたなんか奥様の足元にも及ばないのよ」「奥様がかなわなかった相手は海だけです」「マンダレーから出て行っては?」「奥様との思い出があれば旦那様は生きていける」
 絶望した”わたし”は、この部屋の窓から飛び降り自殺を図ろうとする。

  その時だった。難破船が見つかったという花火が打ち上がる。
「難破船だ 岩に衝突した」「沿岸警備隊を」「入り江に急げ」我に返った”わたし”は浜辺に急ぐ。
 ここから、ストーリーは、予想もつかない方向に急展開する・・・・・・。 

 【感想など】
■映画の題名である「レベッカ」が一度も出てこないことが興味深い。故人だからという理由があるにせよ回想シーンで出て来てもと思わないこともない。
■”わたし”もレベッカと同じ結末になるのではという感想文を書いていた人がいたけれども、そんなことはないと思う。”わたし”の生き様は素晴らしい。まさにラブロマンだと思う。それと”わたし”は美しく、とても魅力的である。
■”わたし”役の フォンテインは『レベッカ』でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、翌1941年に同じくヒッチコック監督作品の『断崖』でアカデミー主演女優賞を受賞した。フォンテインはヒッチコックの監督作品でアカデミー賞を獲得した、ただ一人の俳優となっている。
■最終シーンのマンダレーの邸宅の焼失は、映画「風と共に去りぬ」の火災シーンを思い浮かべてしまった。 


映画「野生の呼び声」・・・2020年

2021-01-18 | 映画

               WOWOW 2021-01-15 

 この山々の一角には、新種の森林狼たちが現れるという。彼等は人間や狼よりも賢い。
 ある犬が群れを率いているからだ。彼等は何も恐れることなく、子供を育て豊かに暮らしている。その犬をただの伝説だと言うものもいる。だが、それは違う。
  私は知っている。人間の側にいた頃の彼を。彼は今、この山に住むが、毎夏になると谷へ降りてくる。覚えているのだ,かっての優しい主人を。それは彼が仲間を見つけ、自ら主となり、野生の呼び声を聞く前のことだ。

 原作は、アメリカの作家ジャック・ロンドンが1903年に発表した冒険小説「野生の呼び声(The Call of the Wild )」
 アメリカの小・中学校の教科書に載り、世界47カ国語に翻訳され、100年以上にわたって愛され続けている名作。なんと本作を含め8回目の映画化である。
  主人公ソートンを演じるのは、「インディジョーンズ」役の名優 ハリソン・フォード
 名犬バックはCGによって描かれています。モデルにしている犬は監督の妻が探したのだとか。

 バックはカルフォルニア州ミラー判事の家の飼い犬。やんちゃな犬で近所でも有名であった。
 ゴールドラッシュに沸く時代で大きな犬のため、そり犬として目を付けられ誘拐されてしまう。

 バックは列車に乗せられ、北へ北へと運ばれる。

さらに船に乗せられて、アラスカ州スキャグウェイ、ユーコンへと続くはるか辺境の地まで連れられて来る。これまで住んでいた場所とは違い、極寒の地でもあった。

 バックは売られ、郵便配達の犬ぞりメンバーとして連れて行かれる。
 主人のペローとフランスワーズは、港町からドーソン・シティまで郵便物を届ける仕事をしていた。
 犬ぞりのリーダー・スピッツは、気性が荒くプライドの高いボスである。バックはハーネスを付けられ、始めは犬ぞりの後方に繋がれた。
 犬ぞり隊は氷が張った川の上を慎重に進みます。メキメキと音がした時でした。氷が割れ、フランスワーズが氷水の中に落ちてしまいます。バックは、その後を追い、氷の中に飛び込み、彼女を助けます。

 次第に頭角を現し、持ち前の体力と純真な性格で仲間の信頼を得て行くバックとスピッツとについに対立が始まる。最終的に闘い破れたスピッツは去って行きます。

 大規模な雪崩が起き、リーダーのバックはペローの指示には従わず、洞窟の中を通り見事に雪崩をよけて進みます。

 これらの様々な危機の場面には、いつも黒い狼が側にいてバックを助けます。オーロラがとても綺麗です。

 バックがリーダー犬になり,その見事な走りで、これまでなかった郵便を時間内に届けるのに成功する。

 バックの郵便配クルーは、町中の人気者になった。犬ぞりにも慣れ、仲間たちと雪原を走るバックは生きがいを感じるようになった。しかし、好事魔多し、郵便ぞりは電報の導入により、廃止となってしまう。
 バックたちの犬ぞりを次に買ったのは,ハルという飼い主だった。犬ぞりの経験の無いハルは虐めを加えるばかりだった。

 疲れ切ったバックを助けたのは、これまで何回か顔を合わせていたソートンだった。二日間眠り続けて回復したバックと息子を亡くしていたソートンは、息子の夢であった、地図にのっていない未開の地への冒険を決意するのだった。・・・・・

【感想】

 アラスカの豊かな自然、雪とオーロラ、澄んだ川の流れ、トナカイ、熊、サケなどの魚、鳥・・・,美しい理想郷に映画を見ている人々は引き込まれます。
  犬たちの動きはCGで描かれていますが、人間的な行動をするところがあります。そのことが話が分かりやすくする面もありますが、これまでに動物のままの動きで作られた映画に比べるとどうなのか知りたくなるところもあります。


映画「白い恐怖」・・・ヒチコック監督作品

2021-01-13 | 映画

                            NHK BS シネマ 2021/01/13 

過ちの理由は運命ではない 我々自身だ  -シェークスピア

 サイコ・サスペンスの名作、女医のコンスタンスが勤務する病院に,新院長としてエドワード博士が赴任してきた。コンスタンスはエドワードに一目ぼれするが,彼には,白地に縞〈しま〉のある模様を見ると,精神が不安定になる不可解な症状があった。

【監督】アルフレード・ヒチコック
【音楽】ミクロス・ロード            
【出演】コンスタンス(女医)・・・イングリット・バークマン
    ジョン・バランタイン(彼)・・・グレゴリー・ペック
    マーチソン院長・・・レオ・G・キャロル
    ブルロフ博士(コンスタンスの師)・・・マイケル・チェーホフ

   コンスタンス(イングリット・バークマン)とバランタイン(グレゴリー・ペック)

  やがて彼はエドワード博士とは別人であることが発覚する。本物のエドワード博士はどこにいるのか?殺人の疑いの眼は「彼」に向けられるが、病院の勤務医であるコンスタンスは「彼」の無罪を信じ、2人は協力して精神異常の発作原因である「彼」の記憶を辿っていく・・・。
  イングリッド・バーグマンの絶頂期の作品といわれ、美貌と演技力がともに十分発揮されている。
 精神に異常をきたしている人物ジョン・バランタイン「彼」は【ローマの休日】の頃よりも若いグレゴリー・ペックが演じている。

    ダリの絵(1)

   ダリの絵(2)

主人公が夢で垣間見る印象的な幻想シーンはサルバドール・ダリが参加している。

                           アカデミー作曲賞受賞作品


忠臣蔵 1958年

2021-01-01 | 映画

                               NHK BSシネマ 2020/12/30

 江戸の昔から、日本人の大好きなドラマといっても良い「忠臣蔵」。大石内蔵助を演じる長谷川一夫始め、1958年当時の日本映画界を代表するオールスターキャストで映画化された時代劇大作である

【製作】永田雅一
【監督】渡辺邦男
【配役】
大石内蔵助・・・長谷川一夫
浅野内匠頭・・・市川雷蔵
岡野金右衛門・・・鶴田浩二
赤垣源蔵・・・勝新太郎
大石主税・・・川口浩
吉良上野介・・・滝沢修
女間者おるい・・・京マチ子
大工の娘お鈴・・・若尾文子
瑶泉院(内匠頭正室)・・・山本富士子

製作年 1958年、大映
上映時間 2時間49分

【忠臣蔵 前編】

元禄14年、江戸城の松の廊下で、浅野内匠頭は度重なる侮辱に耐えかね,勅使接待役指南の吉良上野介へ刃傷におよぶ。幕府では、上野介派の老中柳沢出羽守により内匠頭の即日切腹という処分が採決される。悲報に接した赤穂藩の家老大石内蔵助は仇討ちの決意を秘め、浅野家再興を願い出るが,嘆願書は却下される。仇討ちは不可避となるが・・・

江戸城松の廊下で浅野内匠頭は吉良上野介に斬りかかる

城内での刃傷は喧嘩両成敗となるのが普通だが、内匠頭は即日切腹となる。

しかも5万3千石の大名にはふさわしくない庭先での切腹だった

事件を知らせるため、江戸から赤穂への早駕籠が飛ぶ

城内では切腹をするという内蔵助の命があるが、実は内蔵助の意は仇討ちであった

その後、半年ほど内蔵助は祇園の茶屋で遊びほうけた。しかし、それは患者の目を欺くためだった

【忠臣蔵 後編】

いよいよ赤穂の士たちは江戸に集合。上野介が越後へ旅に出るという噂が流れたが、これも赤穂浪士を一網打尽にするための虚偽と内蔵助は看破し、はやる同士を抑える。やがて,吉良屋敷の絵図面を手に入れた赤穂浪士47人は、12月14日、降りしきる雪をついて,ついに本所吉良屋敷へ討ち入る・・・。

 討ち入りの祭には改築を続けた吉良屋敷の絵図面が必要になった。岡野金右衛門は大工の娘お鈴が恋人だった。が、彼女に絵図面の入手を頼むのは、真実の恋がその方便だと受け取られそうでいやだった。しかし、彼女は判ってくれて絵図面は手に入った。

 吉良家の絵図面を前にしての打ち合わせ

討ち入りの日が14日と決まり、決行当日、内蔵助は瑶泉院のもとを訪ね、ひそかに別れを告げたが、間者を恐れ決行のことを言わなかった。帰り際に仏壇に残した血判状を見て瑶泉院は討ち入りを知る。

 赤垣源蔵、徳利の別れ

 47氏はそば屋の2階から出陣した

吉良上野介邸に集合した赤穂浪士たち

山鹿流の陣太鼓を打ち鳴らす大石内蔵助

 壁に貼り付けられた口上書

清水一角と岡野金右衛門との戦い

討ち入りの時間は相当かかったが、ついに炭焼き小屋から上野介を引きずり出した

 四十七士は両国橋まで引き揚げてきた。その橋の脇に瑶泉院の姿があった

【感想】

 キャストが揃っているだけでなく、いろいろな場面での演技が素晴らしかった。特に女性の衣装が豪華でみばえがした。建物の出来映えも納得が行くもので見事な時代劇になっていたと思う。こうした大型の時代劇は、現代では作るのが難しいのではないか。しかし、大スターの中には出番が少ない時間なので、実力を出来無い人もいた。子供の頃、「山本富士子さんは日本一の美女」と聞いていたが,その真価がこの映画でわかった。


山口百恵主演 「ホワイト・ラブ」

2020-10-17 | 映画

                                                                                                                        NHK BSシネマ 2020.10.12

  1979年(昭和54年)作の山口百恵、三浦友和、共演コンビの10作目の記念映画。
上村忍(山口百恵)は東京でスタイリストとして働きながらスペイン語学校に通う。
 一方、山辺健(三浦友和)は元商社マンでスペイン語学校の臨時教師。
  ひょうんなことから急速に親しくなる2人だったが、スペインとの関わり愛についてはお互いに多くを語ろうとはしなかった。東京、スペインを舞台をそれぞれに悲しい過去を持つ男女が、反発し合いながら愛を育んでいく姿を描いた恋愛ドラマ。
 なお、この映画のキャッチコピーは、「愛は、いつもバラ色に染まりながらいくつもの涙と混ざりあっていつか、白くかわってゆく――」である。

皂角坂・・・さいかちざか(千代田区神田駿河台2丁目)忍を追う健。
中央線の列車も形は変わったが色は同じ。ここは総武線の黄色い電車も走る。

      お茶の水橋(下を流れるのは神田川)後は御茶ノ水駅御茶ノ水口で忍を待つ健。

くわえタバコの健、ちょっとやくざ風で良くないイメージ。万札をじかに受け取っている。
当時は、タバコはまだ、「嫌煙」という言葉も今ほど広がっていなかった。いまだと、人気スターにはマイナスイメージにしかならない。

 雨の中、オープンカーを開け放して酔っ払い運転でスボーツカー蛇行しながら走らせる。このようなシーンは、現在では「映倫」にカットされるだろう。「死ぬつもり?」「理由がない。こわいか?」「ぜんぜん」とか言い合ってスピードを出す。危ない運転だ。

 竹芝桟橋で健を待つ忍。背景は大島航路の「さるびあ丸」。健を待つ忍だが現れなかった。こういう時には携帯がないと不便だと痛感。

スペインに向かうジェット機、機体には、SWISAIR書いてある。直行便ではなく、チューリッヒ空港での乗り換え便?

 マドリードの空港で、忍達は手荷物チェックを受ける。係官から「これは何?」と聞かれるが、流ちょうなスペイン語で説明する。麻薬と誤解されそうな所を見事に切り抜けるが、僅かな習得期間でここまで話せるようになるのかは、ちょっと疑問。

スペインの首都マドリードのシンボル、ドンキホーテの像。左手の上が黒、下が白い服装の人物が忍。

 同じくドンキホーテが攻撃したというラマンチャ地方の風車・・・マドリード郊外。16世紀のものだが、今も10基ほどが観光用として残されているとのこと。

 健の元カノがフラメンコを習い、かつ働いていたタブラオ。

  サンプローナ サンフェルミン祭(牛追い)はスペインの三大祭りのひとつ。
 忍は建物から外へ出た途端、牛追いの流れに巻き込まれるが・・・。
 この牛の突進する流れに巻き込まれることなど、あり得ないはずだが、そこはフィクション。

【感想】
  40年以上も前の話なので、現在の私達の生活よりもやや古めかしい感じはする。
  ただ、忍のスタイリストという仕事は当時としては”飛んでる職業”であったと思う。  また、健の友達は,やや如何わしい職業であるように思えるが、オープンカーとなるスポーツカーを乗り回すというのも、やはり”飛んでる人種”であり、時代の先端をいくことを示すための映画上の設定であるように思われる。  
  また、スペインという国を訪れることは普通の人間にとってはまだまだ、珍しい時代であったと思う。
 現代人にとっては、多くは身近な社会環境であり、部屋の中の雰囲気などは,少々野暮ったく、携帯電話のない黒電話の世界は、コミニュケーションについては遅れた感じになってしまっている。時代の流行を追おうとするとどうしても普遍的でなくなってしまうのはやむを得ない。
  救いのあるのは演じる山口百恵や三浦友和が好演し、時代を超えて魅力を輝かせていることである。


山口百恵主演 映画「風立ちぬ」

2020-10-06 | 映画

                                NHK BSシネマ 2020.10.2

Le vent se lève, il faut tenter de vivre
風立ちぬ、いざ生きめやも    ポール・ヴァレリー

  山口百恵、三浦友和共演の第4作で、堀辰雄の代表作とされる小説を元に、戦争という時代の流れに翻弄されながらも,純愛を貫き通す青年と少女を描く感動のドラマ。
 太平洋戦争中の昭和17年、軽井沢の別荘で療養する元外交官の娘節子の元に集まる学生たちのなかに、ひそかに節子に好意を寄せる青年達郎がいた。
 結核に侵され始めた節子は、軽井沢から八ヶ岳山麓の富士見のサナトリウムに入院する。やがて恋に落ちた2人は婚約する。
 しかし、節子の体は次第に悪化していく。それを見守り続ける達郎。戦争が進むにつれ、学徒動員が行われることとなる。達郎も諏訪湖の連隊に入ることになり、別れが待っていた・・・。

【監督】若杉光夫
【原作】堀辰雄
【音楽】小野崎孝輔
【出演】
      水沢節子・・・山口百恵
   結城達郎・・・三浦友和
   水沢欣吾・・・芦田伸介
 【製作年】1976 東宝製作

初めての出会いの頃、節子にお見合い話が持ち上がるが、節子は邪魔をしてほしいと達夫に頼む

 中央右奥、八ヶ岳連峰 病室からは八ヶ岳連峰が望める。

   富士見のサナトリウムの二人。その頃の結核の治療法は栄養を取り、安静にし、体に負担を与えないようにするくらいであった。昼でも夜でも窓を開け、新鮮な空気を取り入れる。

 結核の治療法が劇的に変わったのは戦後、1960年頃から始まった抗生物質の利用によるところが大きい。

達郎は散歩の途中「風立ちぬ、いざ生きめやも」と節子に話しかける。

サナトリウムの庭であやとりをして、くつろぐ二人

達郎は父親から、節子は病弱だからと結婚を反対されていた。しかし、戦地へ行く兄が学徒の達郎に生き抜く強い気持ちを持たせるようにと父にアドバイスし、達郎は結婚を許される。急ぎ富士見に戻った達郎は節子へ婚約を告げる。

看護婦さんから婚約のお祝いを受ける節子

【感想】
 薄幸の節子の役を演じる山口百恵が好演している。結核という不治の病を患う翳りのある役に良く合っている。
 三浦友和も節子に対する真摯な愛を貫き通し、献身的に尽くす青年の役を見事にこなしている。

 堀辰雄原作の小説「風立ちぬ」は、結核を患う女性に対する思い、美しい自然とサナトリウムなどの様子が子細に書かれ、生と死を超越して幸福を求めていく過程が名文で綴られた傑作であるが、この映画にもそうした雰囲気が出ている。
 また、小説には、一切書かれていないが、戦時中、徴兵され戦地へ向かう青年達の当時の思いも多く描かれている。「皆にお目出とう,頑張って」と言われて出陣しなければならなかった気持ちが身に染みて来る。戦時の雰囲気が実際にどんなものであったか分からないが、良く表現されているのではないか。


山口百恵主演 映画「絶唱」

2020-10-01 | 映画

     1975東宝製作              NHK BSシネマ2020.9.28

【映画冒頭の話】
   あれは今からもう30年以上も前の昔のこと。私らがまだ幼い頃の出来事でございました。
 東の国ざかいへも、西の国ざかいへも、他人の土地を踏まずに行けるといわれた谷一番の具現者、山園田の若様に花嫁さんが来なさるというので、谷中のものが皆、沿道に出迎えたものでございます。
 花嫁さんは、それはもう本当に美しい人で子供心にも吸い込まれるような思いで見つめたものでございます。ところが驚いたことに後からの話では、その人はその時もうこの世の人ではなかったのだそうです。花嫁さんはすでに死んでおられたのでございます。

山里の風景 順吉と小雪

 昭和17年。山深い山陰地方の名家の息子・順吉(三浦友和)は、貧しい山番の娘・小雪(山口百恵)を深く愛していたが、順吉の父は身分が違うと反対し、実業家の令嬢と結婚させようとする。諦めきれない順吉は小雪と駆け落ちすることにする。二人は、日本海の激しい荒波と砂丘に挟まれた小さい町で貧しいながらも幸せな日々を送る。しかし、やがて戦争が激化、順吉のもとにも召集令状が届く。
 二人は、離ればなれになるが、かたや戦場、かたや町での働き先で決められた時刻(午後3時)に木挽き歌を歌い気持ちを通じることにする。しかし厳しい仕事が原因で小雪は結核にかかってしまう・・・・・。

【監督・脚本】西川克美
【原作】大江賢次 
【音楽】高田弘
【出演】小雪  山口百恵
           順吉  三浦友和 
【製作年】1975年
【主題歌】山鳩の歌  【挿入歌】吉野木挽唄

二人の新婚後の仕事、運送業。雨の日に小雪は順吉を助けに行く。

 順吉に召集令状が届き、出征式を行う。

小雪は順吉の希望もあり出正式で、木挽き歌を歌う。

小雪は生活費稼ぐために、河川工事のくい打ち作業を行う。女性8人でのよいとまけの歌。定時には順吉に届くよう木挽き歌を歌う。

【感想】 山口百恵、三浦友和共演、西川克美監督の純愛映画第3作
    美しく、けなげな山口百恵の演技が魅力的、三浦友和も熱演している。
  遠くから来る「順吉の足音」が、普通の人には聞こえないが、小雪には聞こえるという設定がフィクションとはいえ、感動的で大きな役割を果たす。
 山口百恵の主題歌も前回、前々回の作品と比べ上手になり聞き応えがある。映画題名の「絶唱」は「吉野木挽き歌」を絶唱することであるが、何回となく作品の作品のなかで歌われるのが印象的である。監督の西川克美も、映画作りを重ねてきて、訴える力が大きくなってきていることを感じさせ、良い作品となった。 

映画「絶唱」主題歌 ・・・ 「山鳩」山口百恵 歌


映画「道」・・・1954年イタリア

2020-09-18 | 映画

                  BSプレミアムシネマ    2020/9/17

 粗野な大道芸人ザンパノは、無垢な心を持つジェルソミーナを連れ、旅から旅へと渡り歩く、残酷な扱いを受けて深く傷つきながらも、ジェルサミナーナは、ひたすらザンパノに寄り添うが・・・。

 女にとって、おしゃべりの意義ははっきりしている。人間関係を作りあげ、友人を増やすことだ。だが男には、話すことはたんなる事実の伝達でしかない。
 「俺が欲しいのは、ひとときの静けさなんだ!」。これは洋の東西を問わず、男の切なる叫びにちがいない。 ・・・・・「話を聞かない男、地図が読めない女」アラン・ピーズ & バーバラ・ピーズ (著)より

 知的障害(僅かだと思うが・・・)を抱えた女性大道芸人ジェルソミーナ これに男のわがまま、女の忠実、そうして人間の本当の男と女のオリジナル。これが出てこの『道』は凄い映画でしたね。(映画評論家 淀川長治)


 ザンパノという男は犬と同じで、ジェルソミーナを好きで話をしたいのに吠えるしかないのだ。(イル・マット、映画の中で)

 ザンパノの大道芸は胸で、鎖を断ち切る技

ザンパノの大道芸はもう一つ、鉄砲(ポウテツ)を使い、ジェルソミーナとの掛け合いで喜劇を演じること。

芸を覚え楽しそうに踊るジェルソミーナ

【監督】フェデリコ・フェリーニ
【音楽】ニーノロータ
【製作国】イタリア
【製作年】1954年
【備考】 アカデミー外国語映画賞、ベネチア映画賞銀獅子賞
     イタリア語、白黒

【出演】ザンパノ:アンソニー・クイン
    ジェルソミーナ:ジュリエッタ・マシーナ
     イルマット:リチャード・ベイスハート

 監督フェデリコ・フェリーニは少年時に神学校を脱走してサーカス小屋に逃げ込んで連れ戻されたり、10代で駆け落ちをしたり、ローマで放浪生活をして詐欺師にまでなっていた過去がある。こうした経歴がこのストーリーに色濃く反映されている。

【映画の中でのジェルソミーナとザンパノの会話・・・1】
  ザンパノとジェルソミーナが夕食のレストランに入って食事をしている時、ザンパノはジェルソミーナの前でそこにいた飲み屋の女を誘い、ジェルソミーナを道路に残し、バイク車でどこかへ行ってしまい、朝になっても戻ってこない。ジェルソミーナが、ようやく探し出し、なんとか出発する。ローザはジェルソミーナの姉、芸の助けをしていたが、死んでしまい、後釜としてジェルソミーナが安く買い取られた。

 「ローザにも同じことをしたの」
    「何だと?」「何言ってやがる」
     「なんで あの人と一緒に?」
    「ローザも置いてきぼりに?」
     「うるさいな」「何だよ?」
     「あなたって 女遊びをする人なの?」 「女遊びをする人」
      「いいか 俺といたけりゃ 覚えておけ」 「口をつぐんでいるんだ」 

 ジェルソミーナは主題歌をラッパで演奏出来るようになっていた。
修道院に泊めてもらえることになり、ザンパノにラッパを吹くようにするように言われて演奏する。ニーノ・ロータの作曲で詩情豊かなシーンである。

 【映画の中でのジェルソミーナとザンパノの会話・・・2 修道院の中】
     「どうして私といるの?」
     「 美人でもないし 料理も何も出来ないのに 」
     「何を言い出す?」 「もう寝な」「冗談にしても笑えねえ」

     「雨が降ってる」「ここ いいわね」
      「私が死んだら悲しい?」
      「死にたいのか?」
   「前は死にたかった」「こんな男といるくらいならって」
      「でも今は 結婚しても良いくらい」「ずつと一緒にいるんだし」
      「石だつて役に立つなら」「大事なことよ あなたは何も変えないけど」

      「意味ないさ」
  「あるわ」
  「何を考えろってんだ?言ってみな」「しようもない話はやめろ」「もう寝ろ眠いんだ」
    
       「私のこと 少しは大切?」(主題歌のラッパを吹く}
  「 いい加減にしろ」

 その後、ジェルソミーナが激しい雨の音で、目を覚ますとザンパノが修道院の格子の向こうの壁に掛かっている銀細工を盗もうとしている。
 「俺の手じゃ入らねえ」「やってみろ」
 「ダメよ 何するの?」 
  「何がダメだ 指図する気か?」
  「ダメよ、いけないわ」
  「黙ってろ」
  結局、ジェルソミーナは同意しなかった。

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 67年も前の古い映画であるが、男女の関係が興味深く描かれた作品で感銘を受けた。名画という名に恥じない作品である。


映画「ロミオとジュリエット」・・・1968 監督フランコ・ゼフィレッリ

2020-09-10 | 映画

                                                                                                                           NHK BSシアター 2020/9/8
 【ロミオとジュリエットのあらすじ】
 舞台は15世紀の北イタリアの都市ヴェローナ。
モンタギュー家(House of Montague)の御曹司ロミオとキャピレット家(House of Capulet)の令嬢ジュリエット。舞踏会で若者同士は一目で恋に落ちる。しかし激しく反目し合う両家であったため、人目を忍んで逢瀬を重ねる。教会で密かに結婚するのだが、突如襲いかかった悲劇にロミオは街を追放され、二人は離ればなれになる。そして運命の歯車によって悲劇的な結末を迎える・・・。シェークスピアの悲劇のひとつです。

             北イタリアの都市ヴェローナ

   この映画は、 フランコ・ゼフィレッリが脚色、監督しています。
 ゼフィレッリはオペラの演出家としても知られ、メトロポリタン・オペラなどで数多くの作品を手掛けています。その演出は時代考証に忠実で、舞台や衣装など豪華、また的確な演技を行うことで知られています。イタリアでロケーションが行われていますが、彼の特色が、この映画にも遺憾なく発揮されています。
 主演は レナード・ホワイトニング(ロミオ)、オリヴィア・ハッセー(ジュリエット)ですが、登場人物は実年齢に近づけたキャスティングが行われていてとても身近に感じられます。ハッセイは当時16歳(原作のジュリエットは14才直前)でした。
 特に、ハッセーは瑞々しく、その美しさに感銘を受けます。

【出演】 ロミオ     レナード・ホワイトニング
             ジュリエット  オリビア・ハッセー
     ティボルト   マイケル・ヨーク       他
【原作】 ウィリアム・シェークスピア
【監督】 フランコ・ゼフィレッリ
【音楽】 ニーノ・ロータ
【製作国   1968年イギリス、イタリア

【キャプレット家の舞踏会】
 映画はキャピュレット家の舞踏会から始まるといっても良いでしょう。
 そして、華はキャピュレット家 の一人娘である令嬢ジュリエットです。

 赤いロングドレスで颯爽と舞踏会に登場します。


 

 この舞踏会で二人とも始め素性も分かっていませんが、ロメオはジュリエットを一目ぼれします。  まず、「鈴の踊り・・・ムレスカ」を踊ります。

 この踊りは原作には無いのですが、鈴を鳴らしながら何人かが輪になって踊り様子はなかなか豪華です。

  レオナード(吟遊詩人)が歌う場面。これも原作にはないものですが、この映画の主題歌として用いられています。雰囲気に良くあっていて惹きつけられます。ニーノ・ロータが作曲したものす。

【主題歌 What Is A Youth? 歌詞(一部)】

What is a youth?                 若者とは何?
Impetuous fire.                   燃え盛る炎
What is a maid?                  乙女とは何?
Ice and desire.                    氷と欲望
The world wags on.              世界は揺り動かされ
A rose will bloom               薔薇は咲き誇り
It then will fade                 そしてそれは消えてゆく
So does a youth.                 それこそが若者の為すこと
So does the fairest maid.     それこそが最も美しい乙女の為すこと
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 この主題歌はバックグランドミュージックとして、いろいろな場面で活躍します。

レオナードが歌を歌っている最中に、ロミオが壁越しにジュリエットの手を握り、初めて話をする場面。主題歌が場面に溶け込んで雰囲気を醸し出す印象的なシーンとなります。

【バルコニーのシーン】

 バルコニーの下に忍び込んだロミオはジュリエットが自分への思いを口にするのを聞いてしまいます。木々をよじ登ってジュリエットに近寄ります。

   ジュリエット「 愛が誠なら  結婚の日取りを決めて 明日 人を送るわ  時間と場所を教えて あなたについて行く  地の果てまでも」

 ロミオはロマンチックな思いを抱いていますが、対話はジュリエットの方が豊かです。さらにイニシアティブを握っているのもジュリエットで、二人の秘密結婚を勧める段取りを決めてしまいます。 
 若い女性がこんなにも積極的なのは、まさしく近代的です。この物語がラブストーリーの名作として今も生き続けるのは、中世の人、シェイクスピアが,いかに優れた発想で物語を描いたが分かります。

【教会での結婚式】

 出会った翌日にロロンス神父のもとで、二人だけの結婚式を挙げるロミオとジュリエット

【悲劇の始まり】

                       ロミオがティボルトを刺してしまう

 その日、また街でキャプレット家とモンタギュー家の諍いがあり、ロミオの親友マキュシュオがディボルトに殺されてしまう。マキュシュオが死ぬ間際にロミオに言った言葉「なぜ割って入った?お前の腕の下から刺された」
 その言葉を聞き、ロミオはディボルトを殺さざるを得なくなり、ディボルトを刺してしまう。
   ロミオがマキュシュオを殺してしまった一報を聞いたジュリェットの言葉   
 

「花の顔に毒蛇の心が?」「美しい装丁の本に汚らわしい内容が?」
   シェイクスピアらしい言葉でありますが、哀れを誘います。

【悲劇の終】

 ヴェローナの大公のもとで行われた二人の葬儀

  大公「  モンタギュー、キャプレット 敵同士の両家は?
          これが増悪に下った天罰だ。天は両家の宝を愛によって奪った 
    私も お前たちの不和を見過ごし 身内の2人を失ってしまった
    皆が罰せられたのだ  皆が罰せられた!」

    太陽も顔を見せない  世にまたとない悲恋 
    それがこのロミオとジュリエットの物語

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映画「嵐を呼ぶ男」・・・石原裕次郎主演

2020-09-04 | 映画

                                     NHK BSシネマ 2020/9/2

俺らはドラマー ヤクザなドラマー 俺らが怒れば 嵐を呼ぶぜ
喧嘩代わりに ドラムを叩きゃ 恋のうさも吹っ飛ぶぜ

この野郎 かかって来い! 最初はジャブだ ・・・ ほら右パンチ ・・・おっと左アッパー
畜生やりやがったな 倍にして返すぜ フックだ ボディだ ボディだ チンだ ええい面倒だい この辺でノックアウトだ

 熱血漢だが心根は優しい青年・正一が、音楽業界の荒波のなかで,一流のジャズドラマーを目指す姿を描き、主題歌も大ヒットした石原裕次郎の代表作。ステックを持ち”おいらはドラマー”と歌う場面はあまりにも有名。正一の才能を育て、やがて恋に落ちるマネージャーを演じるのは、後に結婚した北原美枝。
  映像と音声を修復した4Kデジタルリマスター版での放送
【監督・原作・脚本】 井上梅次
【製作】1957年
【出演】福島美弥子:北原三枝
    国分正一:石原裕次郎
    国分英次:青山恭二
    島みどり:芦川いづみ
    メリー・丘:白木マリ)
    福島慎介:岡田眞澄       
    左京徹:金子信雄


    

  石原裕次郎は、戦後世代の映画界のスーパーヒーローである。そして、この映画が封切られた昭和32年以降、映画でそしてテレビで数十年間、とにかく人気絶大であった。私はこの映画こそ見なかったが、「嵐を呼ぶ男」の歌を小学校の高学年で覚え、時々は歌っていた。他にも裕次郎の歌は何曲か。おそらく同年代の子供から大人に至るまで、世の中は石原裕次郎一色であったような気がする。しかし、この映画「嵐を呼ぶ男」の中では、喧嘩が強くて,ヤクザっぽい、行く先々で嵐を巻き起こすような男ではなく、二度の大きな喧嘩では、大事なドラム合戦の前日にボクサー崩れの男に殴られ、右手が使えなくなるし、もう一度の最後の大げんかには何人のもの音楽界の悪党に取り囲まれて殴られ気絶し、右手をレンガで何度も殴られ、再起不能の怪我を負わされてしまう。なんとなくしっくり来ない。
 映画では、歌声がソフトで、やさしい心を持った色男という感じであるが、今まで抱いていたイメージ「力強く、喧嘩がすこぶる強い、タフガイ」というイメージとは異なる人間であった。ただ、やはりスタイルは良く二枚目で人気スターの雰囲気は漂わせていたと思う。

【石原裕次郎の略歴】
 1934年(昭和9年)生まれ、1987年(昭和62年)没
 北海道小樽市、神奈川県逗子市で育つ。小樽市ではスキーや競泳に親しむ。逗子中学校でバスケットボールに熱中した。しかし、「慶応義塾高校」の受験に失敗し。「慶應義塾志木農業高校」に進学し、後「慶応義塾高校」に編入学する。

 私の住む志木市にある、この「慶應義塾志木農業高校」は当時は慶応の人達に「農高」として馬鹿にされていたようだ。1957年に普通高校に転換。現在、「慶応義塾志木高校」は偏差値は埼玉県内の偏差値ランキング第1位76となっている。私が通うスポーツセンターの目の前にあり、裕次郎がここに通っていたかと思うと親しみが湧く。
                                               

 その後、慶応義塾大学法学部政治学科に内部進学したが、放蕩生活に明け暮れた。
  大学在学中から俳優を目指し、東映、大映、日活のオーディションを受けたが全て不合格だった。
  その後、兄の石原慎太郎の小説「太陽の季節」がベストセラーとなって映画化され、兄などの推薦もあり端役として登場したのが、映画出演のきっかけである。
 映画俳優として知られるようになってからは、石原プロモーション設立、映画製作、テレビドラマ制作に取り組むようになる。
  一方、湘南の海で兄慎太郎と共にヨットマンとしても知られるようになった。


映画「世界の涯ての鼓動」

2020-08-13 | 映画

                                                              WOWOW 2020/8/9
原題:Submergence      水没                       

●ダニー・フリンダーズ・・・アリシア・ビカンダー
 深海探査に挑む生物数学者
●ジェームズ・モア・・・ジェームズ・マカボイ
 英情報機関・対外情報部(MI6)の諜報員

●ヴィム・ヴェンダース監督

  フランス・ノルマンディーの海辺にあるホテルで出会ったダニーとジェームズは、わずか5日間で情熱的な恋に落ち、互いが生涯の相手であることに気付く。

フランス・ノルマンディーの海辺。歩くダニー(左)とランニングをするジェームス(右)との出会いの場。

 ノルマンデーの海岸で第2次世界大戦中にドイツ軍が築いた巨大な壕の残骸を見ながら歩く

 生物数学者であるダニーにはグリーンランドの深海に潜り地球上の生命の起源を解明する調査、そして英国のMI-6の諜報員であるジェームズには南ソマリアに潜入して爆弾テロを阻止する任務が待っていた。通常、出会うことのあり得ない二人である。

ダニーの乗り込む深海艇

ダニーは潜水艇に乗り込むのだが、ジェームスと連絡が取れないことに孤独を感じる。

その頃、ジェームスはソマリアでアルカイダに捉えられ、銃を突きつけられて、生死をさまような体験をさせられていた。

アルカイダに痛めつけられ、体中がアザだらけ,怪我だらけである。

一方、調査のための移動の途中ダニーは美しい景色を垣間見る。
「目に映るものの話をしたいもう一度 あなたと」というのももっともである。

 美しい滝

美しい島々

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物語は、美しい映像の中と過酷な環境の中で、ダニーとジェームスとの出来事が、交互に映し出される。お互いの過去の思い出も一部、織り交ぜられるが、二人の極限の状態が粛々とスクリーンに流れる。

 そして、二人はどうなるのか・・・。最後のシーンを見て、一体どうなったのかというのは、映画を見た人の理解に委ねられる。これがこの映画の個性だといえるだろう。
 私は、ポジティブに考えたいのだが、ネガティブに受け取る人もいるのではないか。

   ただ、時間的に前後する部分もあるので注意しなければならない。

 いずれにしても、極限にいる二人の環境を知るためには様々な知識を必要とし、考えさせられる映画である。とても優れた作品といえよう。


映画ミュージカル「マイ・フェア・レディ」 ・・・オードリー・ヘプバーン主演

2020-07-28 | 映画

 

                                    7月25日土曜  NHKBS4K

 1964年70ミリ・シネマとして製作され、アカデミー作品賞をはじめ8部門を受賞したオードリー・ヘプバーン主演のミュージカル。オリジナル・ネガをデジタル修復した8K版を4K版にして放送されたもの。
「踊り明かそう」など数々の名曲と鮮やかな衣装、様式美にあふれる美術に彩られ、アカデミー作品賞をはじめ8部門に輝く傑作ミュージカル。

【監督】ジョージ・キューカー,
【出演】イライザ・ドゥーリトル・・・オードリー・ヘプバーン
    ヒギンズ教授・・・レックス・ハリソン
    アルフレッド・ドゥーリトル・・・スタンリー・ホロウェイ
    ピカリング大佐・・・ウィルフリッド・ハイド・ホワイト
【原作】バーナード・ショー
【脚本】アラン・ジェイ・ラーナー,
【音楽】アンドレ・プレビン
  時間2時間57分

【あらすじ】
 ロンドンの言語学者 ヒギンズ教授はひょんなことから、下町生まれの粗野で下品な言葉遣い(コックニー英語)の花売り娘イライザをレディに仕立て上げるかどうかをめぐってピカリング大佐と賭けをすることになる。

                     下町生まれの花売り娘イライザ

 そうして自らの理論を実証するため下町の貧しい花売り娘イライザを最高のレディーに変身させようとする。厳しい特訓によって、イライザは社交界の花形となるべく、研鑽を積んで行く・・・。

            「スペインの雨は主に平野に降る」と発音練習

なかなかh音を出すことができないし、【ei】を【ai】といってしまうため、矯正のための詩「スペインの雨」(The Rain in Spain)がなかなか発音できない。

発音練習がどうにかできるようになって、有名な「踊り明かそう」を歌う

 試しに紳士・淑女たちの社交場であるアスコット競馬場に行ってみると、多くの人の中に注目を引く存在となる。
 しかしイライザは話題の中では、安酒「ジン」のことを話したり、観戦中には競馬に興奮し、「行け、ケツに火を付けろ」など野卑な言葉を大声で言ってしまい。周りをヒヤヒヤさせる。そんなイライザに富裕階級のフレディーは恋をしてしまい、「君住む街角で」ぶらつき歩く。

 次に女王陛下主催の王宮の舞踏会に出席することとなる

女王に「愛らしいこと」と見初められ、王子のパートナーとなって踊る・・・。こうしてイライザは社交界の花型になっていくのだが・・・。 

【感想】
 古い映画ではあるが、70mmの迫力は今も健在で、8kリメイク版は細かな詳細部分はとても美しく表現されている。
 オードリー・ヘプバーンの美しさ。「ローマの休日」とはことなるが、愛らしさも見事で感動的だ。
  コベント・ガーデンの劇場前のタクシー乗り場や物売りの雰囲気も良い。ここでの花売り娘役のヘプバーンの演技もエネルギッシュで素晴らしい。

 一方、アスコット競馬場の上流社会の社交場としての雰囲気。
そして、王宮舞踏会の華やかさもみごとである。
 この時代の、言葉だけではなく、華やかな服装など階級社会の様子がよく分かる。

 50数年経った現代でも、鑑賞に耐えるようになっていると思う。デジタル表現ではなく、こつこつと積み上げた背景などの美術は見応え十分だ。


映画「E.T.」・・・スティーブン・スピルバーグ監督作品

2020-07-25 | 映画

                                                                                                     2020/07/20  BSプレミアムシネマ

地球の探査にやって来た異星人達の宇宙船。 

 杉の森の中に静かに降り立つ異星人の船からは宇宙人たちが現れ、杉の幼木を採取し始める。

だが彼らの地球の調査は人間たちの追跡によって中断される。宇宙船は急いで空に舞い上がる。

しかし、町の美しい光に見惚れてしまった一人の異星人が取り残されていた。

異星人と遭遇し驚くエリオット。

 異星人もいきなり光を浴びせられビックリ。

 森林にほど近い郊外に住む少年エリオットは裏庭のトウモロコシ畑でその異星人と遭遇、彼をかくまうことにする。
 兄と妹を巻き込んで、E.T.と名付けられたその異星人との交流が始まった。

 しかし、E.T.の存在を知っているのはエリオットたちだけではなかった・・・。

   映画はこの異星人と少年達の交流を暖かく描き上げたSFファンタジーである。

監督 スティーブン・スピルバーグ

エリオット・・・ ヘンリー・トーマス   
メアリー ・・・ディー・ウォレス 
ガーティ ・・・ドリュー・バリモア  
マイケル ・・・ロバート・マクノートン  
鍵の男 ピーター・コヨーテ 

製作国 アメリカ 時間1時間56分
製作年 1982原題 E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL

【感想】UFOというのは、人間の未知のもので限りなく興味の湧くものだが、上手く映画化していると思う。
 異星人(E.T.)は
 ①映画の中ではエリオット少年とは会話も通じるようになったり、テレバシーが通じたりする。
 ②エリオット達の電気製品のおもちゃをかき集めて、通信機を作り、仲間の異星人との連絡を取ったり出来る。
 ③危機の時は仲間達を含めて空を飛ぶことが出来たりする。
 ④また、遠い宇宙から地球に宇宙船にやってくることが出来る。
ということから、人間とらべて見たら、同程度の知能かそれ以上ということが言えるのではないか。
 良くも悪くもそうゆう設定をしている点がこのSFファンタジー人気の理由といえるだろう。

【追記】映画『E.T.』(1982)で友情を育んだE.T.とエリオット少年が、実に37年ぶりに再会を果たすさまを描いたショートムービー(4分)が公開されている(2019)。

エリオット少年役を務めたヘンリー・トーマスが続投し、今や二人の子供を持つ父となったエリオットを演じている。なお、スピルバーグは続編をつくるのは不可能と語ったという。

【動画】E.T.とエリオット少年が37年ぶりに再会「A Holiday Reunion」がネット上に公開されている。


映画「マーニー」・・・ヒチコック監督作品

2020-07-10 | 映画

                                                                                  NHK BSシネマ2020.7.8

アルフレッド・ヒチコック監督が映画化した、若く美しい女性の異常な心理を描いた傑作サスペンス。
「謎の美女マーニー」 身長は165cm、体重は50kg、 ブルーの眼にウエーブのある黒髪、 容姿が良く、歯も美しい、残業はする、仕事のミスはしない、スカートを押さえ膝をお宝のように隠して、見た目は上品で、有能で 、気が利いて・・・ でも推薦状は無し。(1万ドルを金庫から盗まれた社長の言葉)

 彼女は乗馬をし、自己所有の馬を持つ。

求人広告に応募、採用されると金を盗み、逃亡を繰り返すマーニー。印刷会社ラトランド社の若き社長のマークは、マーニーに興味を持ち、犯罪者と知りながら、秘書として雇う。マーニーへの思いは、やがて愛に変わり、結婚を申し込んだマークは、なぜ盗みを働くようになったのか理由を突き止めようとするが・・・

【監督】アレフレッド・ヒチコック
【原作】ウィストン・グレアム
【脚本】ジェイ・プレッソン・アレン
【撮影】ロバート・パークス
【音楽】バーナード・ハーマン
  時間 2時間11分

【出演】
ショーンコネリー・・・マーク・ラトランド
ティピ・ヘドレン・・・マーニー・エドガー
ダイアン・ベイカー・・・リル・マインウェアリング

製作国:アメリカ
製作年:1964
原題:MARNIE

 彼女は赤い色のものを極端に嫌悪し、動揺する
 マーニーの前に赤い色の出てくる場面は、効果的で強い印象に残る。

マーニーは雷が起きたシーンでも動揺が大きい。この後、マークがこの建物には避雷針がある。ここは安全だとマーニーを鎮める。

その後、マークは、マーニーと幾度も行うやりとりの中で、さらに惹きつけられるが本当の心を掴むことが出来無い。

とうとう、マークとマーニーは結婚式を挙げ、世界旅行である新婚旅行に出発するが・・・。 
リル(左、マークの前妻の妹)は鋭いまなざしでマーニーを睨む。

 終盤、マーニーの悲惨な過去が明らかになるなため、ヒチコックは冷酷だという話もある。
 しかし、最終シーンのマーニーの発する言葉で、耐えに耐え、精神的なもの、経済的なものを使い尽くし、暖かい思いやりの中で、マークの執念の愛が通じることになったと思う。
 マークを演じたショーンコネリーに喝采を送りたい。
 私には、たいへん見応えのある映画であった。

なお、メトロポリタンオペラで初演されたオペラ「マーニー」がWOWOWで8月1日に放映されるという。
どんな演出がされか楽しみである。


巨匠小津安二郎監督「浮草」

2020-07-05 | 映画

                                                              2020.7.4  BS4K
 
  巨匠・小津安二郎監督が、旅回りの一座と、座長をめぐる複雑な人間関係を、ユーモアとペーソスを交え、きめ細かく描いた傑作。溝口健二、黒澤明、はじめ数々の傑作を手がけた名カメラマン・宮川一夫と組んだ唯一の作品である。宮川一夫撮影による色彩をおさえ、落ち着いた色のアグファのカラー映像が、しがない旅役者の世界の情緒を際立たせる作品である。

【2018年デジタル修復版での色の再現】
 浮草は、公開当時のフィルムは劣化していて退色が進んでいた。また使用していたのはドイツのアグファカラー・フィルム、淡い色調を狙う時に効果を発揮するとされていたが、すでに製造は中止されていた。

そこで色度図を用い、残された資料より、色を数値化することにより再現したという。

その結果生々しい色は抑えられ。落ち着いた色になり、小津作品の色彩が当時のままに再現された。デジタル修復されたフィルムと古いフィルムを比較したビデオを見ると一目瞭然である。※1

冒頭で映る郵便ポスとは、ストーリー展開での重要な伏線となるが、この赤い色は、いろいろな場面で用いられる。

こちらも、庭先の鶏頭の赤が強調されている。

監督:小津安二郎
製作:永田雅一
撮影:宮川一夫
現像:東京現像所(アグファカラー)

出演
嵐駒十郎:中村鴈治郎
すみ子:京マチ子
加代:若尾文子
本間清:川口浩
清の母お芳:杉村春子

 中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、杉村春子はじめ名優たちの演技が素晴らしい。特に京マチ子、若尾文子の和服姿はとても魅力的だ。熱演はしているが際だった派手さはなく、二人とも小津安二郎の世界の中に収まっている

 舞台初日、「名月赤城山」 国定忠治(すみ子:京マチ子)

 劇中劇「田舎旅回り一座」の舞台がとても良く出来ていた。これも名優が演技し、小津安二郎監督の演技指導があるので当然とはいえるのだが、田舎芝居風には見えても、演技はピタリと決まっており、客席からのかけ声も調子が良く素晴らしい。客席からモノが投げ込まれるのもタイミングが合っている。幕が上がった後も「カラスなぜ泣くの?」と烏の鳴き声が聞こえてきてユーモラスだ。

「南国土佐を後にして」 芸妓(加代:若尾文子)と小坊主 
 芸妓の踊りと小坊主の踊りも息がピッタリ、小坊主はモノが客席から投げ込まれると取りに行き懐に入れ次第、踊る。舞台下のモノの投げ入れも舞台から降りて拾い、すぐに舞台に上がって踊りの体制に入る。その動作は、とても機敏で曲にも合っており素晴らしいパーフォーマンスだった。
 優秀な俳優と名監督が携わる舞台は。大映(株)が主催する舞台といっても良いくらいの出来映えだった。

  嵐駒十郎(中村鴈治郎)とすみ子(京マチ子)は狭い道路を挟んで、降りしきる大雨の中、激しく罵り合う。ここが見どころだ。赤い番傘がアクセント。

【小津安二郎監督の映画への世界の評価】
 2014年現在、小津安二郎の「東京物語」は「世界の有名映画監督達が選ぶオールタイム・ベストテン」で1位に輝いてる。
 第2位は「2001年宇宙の旅」(1968年スタンリー・キューブリック)、第3位は「市民ケーン」(1941年オーソンウェルズ)である。
 山田洋次監督は、小津作品が、少ない予算(2001年宇宙の旅の100分の1?程度)、小さな映画で世界一に輝いたことについて驚くという。そして「見れば見るほど精密な作業を積み重ねたすごみのある映画だということが次第に分かってくる」という。そして小津安二郎が亡くなってから世界に認められたことについて「さぞ、驚いているだろう」と述べている。

 ※1 「 4大巨匠 奇跡の名画~4Kでよみがえる黒沢・溝口・小津」2020.5.25 NHK BS4K より