めいすいの写真日記

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モーリス・ベジャール振り付け 「ベートーヴェン第9交響曲」のバレエ

2014-12-23 | クラシック音楽

22日未明に、「モーリス・ベジャール振り付け ベートーヴェン第9交響曲 」のバレエがNHKkのBSプレミアムで放映されました。
バレエは50周年を迎えた東京バレエ団、それにモーリス・ベジャールバレエ団。
管弦楽は、ズービン・メータ指揮のイスラエルフィルハーモニー管弦楽団。
独唱 クリスティン・ルイス(ソプラノ)、藤村実穂子(メゾソプラノ)、福井敬(テノール)、アレクサンダー・ヴィノグラドフ(バス)
合唱 栗友会合唱団

また、モーリス・ベジャールの「ベートーヴェンの第9交響曲」の振り付けも、初演から50周年のようです。
ベジャール(1927-2007)のバレエの振り付けは、「ボレロ」があまりにも有名で、映画「愛と悲しみのボレロ」で不朽の名声を得ました。

めいすいの音楽随想「バレエ ボレロ・・・東京バレエ団」(2009) 参照

第九のバレエは果たしてどういう形になるのかと思っていましたが、バレエの力強さ、華麗さが良く曲にマッチして感動的なものになりました。
上の写真3枚は第4楽章。さすがに、この楽章は人類愛をテーマにした「歓喜の歌」でもあり、盛り上がるバレエが随所に見られました。

感銘を受けたのは、第三楽章。緩徐楽章で、ゆったりとして安らぎが感じられる楽章です。第9の各楽章の中でも素晴らしさを良く表現して
いると常々思っていましたが、バレエも、曲にあった流れるような踊りで感動しました。

見終わってみると、「ベートーヴェン第9交響曲」は、バレエ音楽?と思いたくなるような見事な公演になっていました。


歌劇「カルメン」・・・ハバネラ(恋は野の鳥)

2014-11-13 | クラシック音楽

コンサートのプログラム

Donne Della Speranza 《希望の歌姫》の第2回コンサートが2014年11月13日(木)に古賀政男音楽博物館内けやきホール
4人の女性歌手によって行われました(中央はピアノ伴奏者)。


このコンサートで歌われた曲の中から、「和光市の歌姫」と呼ばれる「歌ぴよ」(メゾソプラノ)さんの
歌劇「カルメン」・・・ハバネラ(恋は野の鳥)を紹介します。私は、今回は、このコンサートのカメラマンをつとめました。
歌ぴよさんの出来映えは素晴らしく、会場では大きな拍手がわきました。

ビデオも前列でとったなので、音がとても良くとれました。YuTube の映像(HD)をぜひご覧ください。
特に伴奏のO さんの冒頭の部分が圧倒的な演奏。その部分が終わったところで「歌ぴよ」さんが颯爽と登場します。


森の中のコンサート カティア・ブニアティシヴィリ

2014-08-18 | クラシック音楽

  今日の未明、NHK BSプレミアム の「プレミアム コンサート」で放映された「カティア・ブニアティシヴィリ 森の中のコンサート
  彼女はグルジア生まれの27歳でパリ在住、将来を期待される美貌のピアニストです。
 

    鳥の声も聞こえてきそうな森の中に小さな舞台を造り、40人程度の観客を前に行った2013年7月に行ったコンサートです。
 場所はドイツ/ブランデンブルク州/ザクロブァー・ヴァルト。ヴァルト(wald)とは森のこと
 ですから、本当にに森の中で演奏したらしい。実際、注意深く聞くと鳥のさえずりがマイクを通して入って来ているのが分かります。
  森の中のでのピアノ演奏というと、ホールと違い天井がないので残響は?と思うけれど
 使っているスタインウェイのピアノは、良い音で取れていました。
  このように全くの自然の中で演奏会を行うというのは、おそらく本人の意思なのでしょうから、きっと本人のこだわりがあったのでしょう。
 しかし、どうして森で行ったかという説明はありませんでした。

 ちょっと心配したのは、強く演奏した時、ピアノの反響板に写る影が揺れること。それは、ビアノを置いている舞台が不安定なのでは
と思いました。また画面で多くの虫が飛んでいるのが分かります。でも、彼女の素晴らしい演奏を聴く上で支障はありませんでした。

  

                            カティア・ブニアティシヴィリ


 この放送では、曲を演奏する前にホテル?でのインタビューによる本人の曲の説明があります。それが演奏への理解を助けてくれました。
 ピアノ演奏だけでなく、言葉での説明がしっかりできる人は、多くの場合、演奏力がある人だと私は思います。

 彼女は姉と一緒に母親からピアノを習ったとの説明があり、「この演奏を母に捧げます」と話ました。
モーツアルトの父親レオボルト、ベートーヴェンの父親、あるいはパガニーニの父親を思い出しますが、女性ピアニストには、母親というのが
興味が持たれるところです。母親が相当なピアニストだったのでしょう。


 曲目は、
 1.カンタータBWB.208 「狩りだけが私のよろこび」から
  「羊は安らかに草を食み」                  バッハ作曲
 2.四季 作品37bから「10月 秋の歌」     チャイコフスキー作曲
 3.スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31   ショバン作曲
 4.ベンガルマスク組曲から第3曲「月の光」   ドビュッシー作曲
 5.ラナ・ゴゴベリーゼによる映画から
   「アーモンドの花咲くとき」                   ギヤ・カンチェリ作曲
 6.間奏曲 変ロ長調 作品117-2        ブラームス作曲
 7.ラ・ヴァルス                      ラヴェル作曲
 8.練習曲 嬰ハ短調 作品2-1                 スクリャービン作曲
 9.練習曲 嬰ハ短調 作品25-7         ショパン作曲
10.スラブ舞曲 ホ短調 作品72-2   (連弾)    ドボルザーク作曲
11.ハンガリー舞曲第1番ト短調   ( 〃 )    ブラームス作曲
12.「ベトルーシカ」から 3つの楽章         ストラヴィンスキー作曲
            ロシアの踊り
            ペトルーシカの部屋
            謝肉祭の部屋
13.あなたは私を愛していないの?
                       グルジア民謡/カティア・プアティシヴィリ編曲
14.パープシコード組曲 第2日か HWV.434から第4曲「メヌエット」
            ヘンデル作曲/ウィルヘルム・ケンプ編曲
(アンコール)
  リベルタンゴ  (連弾)               ピアソラ作曲

でした。バラエティに富んだ選曲からも豊かな才能をうかがい知ることができます。

 1曲目のバッハのカンタータは、時に耳にする曲なので、穏やかな気持ちで演奏を聴く気持ちになります。
本人の言葉「このカンタータは、地上に生きることの素晴らしさ、生あるものを愛する素晴らしさを表現しています。」
 3曲目のスケルツォ 第2番、とても良い演奏と思いました。先日のクラシック倶楽部で放映された、現在では巨匠と呼ばれて
いるマレイ・ペレイアが同じ曲を弾きましたが、それよりも、ずっとメリハリの利いた演奏で、ショパンの力強い部分と叙情的な部分を
上手く表現していて、印象深く聞くことができました。「スケルツォは楽しい子供時代を思わせますが、一方で悲劇的でもあります。」
とは、本人の言葉です。
  4曲目の「月の光」では、「母が 他の世界へのあこがれを抱くようになった頃-その夢見るような最初の瞬間を表現しているのが
ドビュッシーの音楽です」と本人の説明。でも、それは自分自身のことではないのですか?
 5曲目、ブラームスの間奏曲。「ピアノを初めてブラームスを多少知るようになった頃から、彼は厳格な作曲家だとよく言われましたが、
理解できませんでした。彼の音楽は、むしろとても感情的です。内気でシンプルに表現するのが苦手だったのだと思います。この間奏曲
は、成熟した愛を描いています」。この間奏曲の説明には合っているような気がします。
  6曲目「ラヴァルス」はラヴェルの管弦楽曲として知られている曲。「ラヴェルの《ラヴァルス》は、それほど好きではないのですが、
母のために練習しました。」との本人の話ですが、ピアノ曲では技巧を必要とする曲。ピアノの鍛錬の曲だったのでしょう。この演奏会
では彼女の凄腕を見せることになったと思います。
 12曲目の「ペトルーシカから 3楽章」は、バレエ音楽「ペトルーシュカ」からストラヴィンスキーがピアノ独奏用に編曲した曲で、
高度な技巧が要求される難曲。 
ややもすると無機的な表現になってしまいそうですが、人形ペトルーシュカの楽しげで諧謔的な動きを見事に表現しています。
おそらく、カティア・ブニアティシヴィリが、この演奏会の中心に据えた曲と思います。その演奏ぶりには、本当に唖然とせざるを得ません
でした。この演奏会での秀逸ともいえる出来映えでした。
 「ストラヴィンスキーの《ペトルーシュカ》は 何度も練習してきた曲で、私にとって音楽的に とても豊かな歴史と大切な意味合いが
あります。17歳の時、ヴェルビエ音楽祭でテミルカ-ノフの指揮で演奏しました。彼を通じて、この曲の管弦楽版を学べたなんて
幸運だったのでしょう。
オケの音色が色彩のように耳に残っていて、その後ピアノだけで弾くときも大きな助けになりました。」との本人の話がありました。

                                                 ピアソラ作曲   リベルタンゴ              

   姉(グヴァンツァ・ブニアティシヴィリ)とのドボルザークとブラームスの2曲の舞曲の連弾は、姉妹だけあって息の合った連弾を聞かせ
てくれました。そして、ピアソラのリベルタンゴは本人が「いつも即興的に弾く曲」というだけあって即興的な演奏を見事に聴かせてくれました。

 繊細で華麗で優しさもある表現力、そして驚異的な超絶技巧による強さ、激しさ。ちょうど私の誕生日に、魅力に満ちた容貌のカティア・
ブニアティシヴィリの演奏を初めて”観る”ことができ、とても幸せな気分になりました。

「マザーランド」という彼女のCDが出ていて、この演奏会の一部の曲を聞くことができます。2014年レコード芸術特選

 「カティア・ブニアティシヴィリはウクライナのキエフで行われた国際コンクールに入賞するなどして
キャリアを積み、名声を得てきた人。
 アルバム「マザーランド」というと「癒やし系」のような感じである。しかし、母なる優しさ
というよりも、強く、激しい面、アグレッシブでキリリとしたところを評価されてきたピアニスト。
 アルゲリッチの再来とよく言われる人でもある。」
(NHK FM 8月30日放送 クラシックの迷宮~私の視聴室 カティア・ブニアティシヴィリ 片山杜秀 )


辻井伸行(Pf)ゲルギエフ指揮 チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番

2013-06-30 | クラシック音楽

昨日、WOWOWで放映された、2012年7月にサンクトペテルブルクで開かれた白夜音楽祭の
辻井伸行(Pf)ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団のチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番


白夜音楽祭はサンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で行われ、最近のロシアでは権威ある音楽祭となっています。
私にとっては、2008年のこの音楽祭のストラビンスキー作曲バレエ「春の祭典」が美しい背景と野性的な踊りが
とりわけ印象的でした。もちろんこの時も指揮者はゲルギエフ。

音楽総監督のゲルギエフの指揮でロシアを代表する協奏曲であるチャイコフスキーの1番を招聘され演奏するという
ことは名ピアニストのとして認められたこと。
それにしても、盲目のピアニストが協奏曲を弾くということ自体がとても奇跡的といわざるをえません。
とにかくオーケストラを指揮する指揮者の指揮棒が見えないのですから。


それとちょっと小柄で繊細な雰囲気のある辻井伸行が、オーケストラと対抗して鋭く、力強い演奏をしなければならない
この曲をどのように演奏するかに興味が持たれました。
しかし、聞いてみると、びっくりするほど迫力のある演奏。力強くかつ叙情的で圧倒的な感動を与えてくれました。
協奏曲では、他にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をレバートリーとしている様です。
今後はショパンやシューマン、グリークなどのピアノ協奏曲も弾いてもらいたいと思います。
きっと、これらは世界の有名オーケストラとの共演も行われるようになると思うので期待しています。


オルフ「カルミナ・ブラーナ」・・・和光市民合唱団

2013-02-17 | クラシック音楽

和光市民合唱団の第20回定期演奏会が2月17日(日)に和光市サンアゼリア・大ホールで行われました。
今回の曲目はオルフの作曲した世俗カンタータ「カルミナブラーナ」他です。
今年は和光市民合唱団創立20周年記念の演奏会なので意欲的なプログラムが選ばれたようです。
会場はほぼ満員の盛況。

この合唱団は知り合いの岸佐登美(うたぴよ)さんが大きな役割を担っています。

「カルミナ・ブラーナ」に先だって、第1部に演奏されたのはワーグナーの
歌劇「タンホイザー」の序曲と大行進曲「われらここに集い」
歌劇「ローエングリーン」の第一幕への前奏曲と「第三幕への前奏曲と婚礼の合唱」。
今年はワーグナー生誕200年ということでもあり、選曲されたと思うのですが、1部から大きく盛り上がりました。

 20分の休憩の後、第2部は「カルミナブラーナ」。

 「カルミナ・ブラーナ」は中世(11世紀から13世紀頃)の世俗歌謡曲をもとに1936年にオルフによって書き上げら
れた混声合唱、少年合唱、ソプラノ・テノール・バリトンのソリスト、大規模なオーケストラからなるカンタータ。


 出演はソプラノ高橋薫子、テノール澤崎一了、バリトン青山貴。
 和光市民合唱団、和光児童合唱団、和光市民合奏団、指揮 久保田洋、合唱指揮 古澤泉。
  独特なリズムは生命力にあふれ、美しく力強い合唱は聴く人の心を打つ人間賛歌です。  団員である岸さんの話
では、この曲は合唱曲としては予想外に難しく、特に出番の多い男声合唱は歌えるようになるまで苦労したとのことです。

 児童合唱団を含めると200人にも登る合唱はとても迫力がありました。
 和光合奏団の演奏も歯切れが良く、金管や打楽器が生き生きと聞こえてきました。
 1時間以上かかる演奏はよくまとまっていて、その躍動感に感動しました。
 特にソプラノの高橋薫子さんは、全員が黒と白の服装の中、赤いドレスで登場し、美しい歌声を響かせて印象的でした。
 また、30人ほどの児童合唱団も、天使のような歌声を聞かせてくれました。

 これだけの大人数なので、アンコール曲はないと思っていましたが、カルミナブラーナの10番を再演。
 最後に児童合唱団の右手でのガッツボーズが決まりました。


グノー アヴェ・マリア (YuTube)

2013-01-11 | クラシック音楽

私が、77本の動画を載せているYuTubeの shingashinokaze チャンネル。

その中の人気動画 「グノー アヴェ・マリア」が、1万回を記録しました。

2010年の4月に、「もしかすると1万回くらいアクセスがあり、多くの人が見てくれるかも知れない」
と和光市歌姫の「うたぴよ」こと、岸佐登美さんに話をして撮影させてもらいました。
そのことが実現して、とてもうれしく思っています。
載せてみて意外だったことはアナリスティクスで見ると、数は少ないですが、ヨーロッパ・アメリカ・ブラジル
などの国々の方も見てくれていること。
また、隣に出て来る20個の動画(歌)の中に、マリア・カラス、レナータ・テバルディ、プラシド・ドミンゴ、
ルチアーノ・ハパロッティのアヴェ・マリアが並べられているのも、ちょっと驚きです。


クラシックハイライト2012・・・ららら♪クラシック年末スペシャル から

2013-01-04 | クラシック音楽

 毎年12月31日に放映される「クラシックハイライト」。クラシック音楽のすべてのジャンルで、NHKが昨年一年間に 放映した優れた公演を紹介してくれるものですが、2012年は趣向を変えて、今年から始まった「ららら♪クラシック」の年末スペシャルとなりました。また、司会者・解説者・ゲストと出演者が出て話をするようになりました。21時から23時50分まで行われました。私は、紅白歌合戦をこの番組が始まるまで見てい ましたが、その後はずっと、この番組を見ました。その中で日本人の3人の演奏家および2つのオペラ作品を記してみようと思います。

 まず最初に登場したのが、中学一年生(13歳)の牛田智大君。ライジングスターとして紹介されました。名前を聞いたことはありましたが、テレビでもお目にかかるのは初めて。まだあどけない顔をしていますが、クラッシックピアノニストとしては最年少でCDをリリース。ショパン国際音楽コンクール  in Asia史上初の5年連続1位となど、すでに輝かしい経歴を持っています。テレビでの印象は、あどけない顔をしていますが、受け応えはさわやかでした。

 ピアノの練習は、曲のイメージ(風景・せりふなど)を作りながら行うとのこと。スタジオで演奏したプーランクの曲は、メロディーや「泣ける和声」といわれる曲想が好きと言っていました。

 まさに、天才少年とは彼のことをいうのだという雰囲気です。今後すくすくと育ってもらい、ショパンコンクールの本選で日本人初の第一位になることが出来たならと思っています。

 

バッハ・コレギウム・ジャパンの音楽監督である鈴木雅明さんが、ドイツ・ライプチヒの音楽賞「バッハ・メダル」を授与されました。このメダルはバッハ音楽の普及に尽くした人に贈られるもので、過去に受賞者には、トン・コープマン、ニコラス・アーノンクール、ヘルベルト・プロムシュタットなどそうそうたる人たちがいて、東洋においてもカンタータの演奏など中心に、バッハの音楽を身近にしたことへの高い評価があったものと思われます。

 バッハの200を超えるカンタータは、ルター派の教会の礼拝のために書かれた音楽ですが、それぞれ曲に大きな違いがあると言います。このため、ベートーヴェンの交響曲全曲演奏などは、ある程度の年月をかければ可能となるのですが、バッハのカンタータの全曲演奏となると一生かかってしまうと鈴木さんは言います。

 バッハのカンタータというと有名な「心と口と行いを持って」(主よ人の望みの喜びよ)、コーヒーカンタータなど数曲しか聴いたことがありませんが、バッハの曲目の多様性と奥の深さに改めて驚きます。こうした機会に私もバッハの音楽への理解を深めていこうという気持ちになりました。

教会カンタータ 第128番「ただキリストの昇天のみが」を演奏するバッハ・コレギウム・ジャパン。

将来が期待される指揮者の山田和樹さん(33歳)。2009年、指揮者のコンクールとして知られるブザンソン国際音楽コンクールで優勝。パリ管弦楽団で何回か指揮をしており、スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者でもあります。

彼の指揮による今年8月にサイトウ・キネン・フェステバル・イン松本で行われたオネゲルの劇的オラトリオ「火刑台のジャンヌダルク」が放映されました。小澤征爾さんの体調が思わしくなく、指揮を指名されました。ジャンヌ・ダルクを演じるのはヘルベルト・フォン・カラヤンの娘で女優のイザベル・カラヤン。カラヤンの生存中に、このオペラに出演させるとの約束が小澤征爾さんとの間であったらしい。

 山田和樹さんが小澤征爾の指導を受ける様子も放映されました。このオーケストラは国内のみならず、海外からも演奏者が呼び寄せられますが、オーケストラが一体となった演奏は迫力のあるものでした。

 二期会60周年記念公演のマスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」。解説の諸石幸生さんの話では、「こうしたオペラでは、マリア・カラスやレナータ・テヴァルディなど過去の有名な歌手の真似をしたり、近づこうとする点から出発していたのを、楽譜そのものから出発するようになっているような気がした。それが、この公演を価値あるものとしている」というような趣旨の発言していました。それが、正しいかどうかは別として確かに歌手のレベルが本場ヨーロッパと比べても遜色なくなりつつあるとは思います。

 さらに、演出者がこのオペラはヴェリズモ(現実主義)・オペラといわれ、人間味と生活臭にあふれていて演技が難しいが、あえて選んだといっていました。近年はオペラの演出もこなれてきたともいえるからでしょう。また、ハイビジョン映像と大画面テレビ、そしてホームシアターが普及し、オペラの醍醐味を分かるようになり、目や耳の肥えたオペラファンが少しづつ増えているということも背景にはあると思います。

 最後に、藤原歌劇団のベルリーニの「夢遊病の女」。NHKのBSで全曲を放映されたので録画し見ましたが、舞台や衣装なども、設定となっているスイス、アルプス山中の村の雰囲気が良く出ており、アミーナ役の高橋薫子(S)さんの伸びやかな声も素晴らしくて、水準の高い見応えのあるオペラとなっていました。


二期会 ワーグナー作曲 舞台神聖祭典劇「パルジファル」

2012-09-17 | クラシック音楽

 9月15日に上野の東京文化会館で行われた二期会の舞台神聖祭典劇「パルジファル」。25年も続いている女房のピアノレッスンの集い「はなの会」の渡邊先生の一人娘の二期会の渡邊史さんが「花の乙女」として出演するということで聴きに行きました。
 また、「鑑賞の手引き」も渡邊 史さんから携帯メールで届きました。「あらすじ」と「原作と今回の演出の違い」は、この「鑑賞の手引き」(一部修正)を利用させてもらいました。

舞台神聖祭典劇「パルジファル」はワーグナーが死の前年に作曲した最後の作品。
深みのある宗教的思想、哲学的思想が盛り込まれていますが、音楽も晩年の円熟期に作曲されたこともあり、ゆったりとしたテンポで進み、静謐な雰囲気となっています。ドビッシーは、この曲を絶賛したそうです。
ただ、音楽は休憩を除いても4時間以上と延々と続くので集中力が必要になります。
 
配役・・・・
パルジファル  片寄純也
グルネマンツ  山下浩司
クンドリー   田崎直美
クリングゾル  友清 崇
アムフォルタス 大沼徹
花の乙女5   渡邊 史
合唱      二期会合唱団
指揮      飯守泰次郎
                読売日本交響楽団
あらすじ・・・・
【1幕】
聖杯を守る一族の王(ティトゥレル)の高齢による代替わり。後継者たちの反目。離反したクリングゾルは敵対勢力をつくり、聖杯一族の者たちを堕落させようとしている。
若い王(アムフォルタス)も誘惑に負け、傷を負った。不名誉を恥じる心と呪いにより傷はふさがらず、血を流しつづけている。痛みと苦しみは聖杯に触れることでさらにひどくなり、若い王は儀式を継承することができない。
それを救うのは穢れを知らない無垢な「愚者」であるとの宣託が、聖杯から放たれた。そこに現れた若者…本当に待たれていた者なのか、まだ解らない。若者は放浪していく。

【2幕】
一族からの離脱者クリングゾルは、呪いの花園を設けて聖杯一族を誘惑し、堕落させようとしている。
若者は花園にさ迷う中で、パルシファルという名前、母との記憶がよみがえる。智恵を得たパルシファルは、聖杯の儀式を担うべき自分の運命を悟る。
クリングゾルに奪われていた聖槍を取り戻し、アムフォルタスを助けて聖杯を受け継ぐため、城を目指して出発する。

【3幕】
聖杯の儀式が行われないままに城は荒れ、騎士たちは傷や疲れを癒すこともできず、閉ざされた世界にとじ込もっている。ティトゥレルは死に、アムフォルタスは苦しみ、もはや聖杯の力も潰えてしまうかと思われた時、ようやくたどり着いた旅姿の男はパルシファルだった。
自分の悟りは遅すぎたか、と悩み悔やむパルシファル。しかし聖杯と聖槍がひとつになった時、生命の流れが生まれ、世界が音をたてて動きだす。

原作と今回の演出の違い・・・・
♪時代…中世(10世紀ごろ)スペインのモンサルヴァート城及びクリングゾルの魔の城を舞台→1920年代、第一次世界大戦のあたり
 何が正しいのかも分からないままに続く終わりのない戦いに心身が傷つき、疲弊した人たち。厭世と濫熟が極まり、出口のない混沌とした世界。人々は、どこかに新しい流れの糸口がないか探している。力、リーダー(正義、悪にかかわらず)を求めている。
♪アムフォルタスとクリングゾルは兄弟的つながりという設定
♪聖杯の城は、傷病兵を集めた病院のような施設とされている
♪聖杯守護の騎士→医者
♪小姓→看護婦、若い兵隊

 今回の席は、2階席の一番前のほぼ中央、どこで聞いても音響効果は素晴らしいと言われる東京文化会館でも、良い席でした。
 さすがにバイロイトで長いこと研鑽を積んだ飯守康次郎さん指揮の読売交響楽団の奏でるワーグナー音楽は、素晴らしく、生演奏のすばらしさを肌で感じることが出来ました。 また、二期会合唱団の合唱も美しい声で感動的でした。
 出演者の中では、クリンドリーを演じた田崎直美さんが印象的でした。今回のオペラに大抜擢されたとプログラムには書かれていましたが、豊かな声量で、2階席まで朗々と響いてくる歌声には驚きました。渡邊史さんも6人の花の乙女の中では、演技力が光っていました。
 ただ、バイロイト祝祭歌劇場で初演された時の演出がどのようなものであったか分かりませんが、今回の演出はそのときに比べ時代背景が大きく異なり、一番の見せ場と私の思っていたクリングゾルからパルジファルが聖槍を取り戻す場面がのんべんだらりと行われたり、最後の場面、聖杯と聖槍が一つになって新しい世界が生き生きと動き出すと行った場面が、とても地味だったことが、私には残念に思えました。


クロアチア・スロべニア・ヴォスニアヘルツェゴビナの旅(1)・・・機内でクラシック音楽を聴く

2012-07-07 | クラシック音楽

今回、スロべニア・クロアチア・ヴォスニアヘルツェゴビナの旅をするにあたり、羽田からフランクフルトまでの出発便、
帰航便はともにルフトハンザのエアバス380。
席数はアッパーデッキ(二階)にファーストクラス8及びビジネスクラス98、メインデッキ(一階)にエコノミークラス420、
計526席の超大型機。そして、この日の出発便は満員。


11時間の飛行なので、音質が良いと評判のSONYウォークマンNW-866付属のイヤホーンと
エアプレーン・アダプターを持参しました。エアプレーン・アダプターは新宿の家電量販店Yで買い、
300円弱の値段でした。
元々、航空会社から配られるイヤホーンは粗悪品なので音が悪いと思っていましたが、
今回持参したイヤホーンで聞き比べてみると、想像以上に差は歴然としています。機内で音楽を聴く楽しみが
倍増しました。というよりは3倍増くらい!


ルフトハンザの航空機のエンジョイのメニューには音楽のコーナーがあり、いくつかの中、
私の選んだ一つは、「スリー・スターズ・イン・ベルリン ライブ・フロム・ワルビューヘン2011」
ワルビューヘンというとベルリン・フィルが年一回行うピクニック・コンサートが有名でNHKでも放映されますが、
これはちょっと異なり、オーケストラはエンリコ・マシアス指揮プラハ・フィルハーモニー管弦楽団。


今をときめくソプラノ歌手のアンナ・ネトレプコとテノール歌手のアーウィン・ショルトとが、
共演してオペラの名曲を歌いました。

特に印象に残ったのはネトレプコが歌ったオペラ「蝶々夫人」から「ある晴れた日に」。
上の写真は「ある晴れた日」にを歌うネトレプコ。

もう一つはドニゼッティの名作オペラ「アンナ・ボレーナ」。こちらもアンナ・レトレプコが演じる
チューダー王朝の王妃アンナ・ボレーナ(実在した人物はアン・ブーリン)が、アンナの侍女ジョアンナ
を愛人にした王、エンリーコ8世に裏切られる悲劇の物語。
あらすじは知っていましたが、日本語の対訳は画面に出ないのでわかりにくかったことはありました。
しかし、2011年録画のウィーン国立歌劇場版で、音が良いのとネトレプコの熱演、当時の衣装や
簡素化された舞台もよく出来ているため3時間13分のオペラを見切ってしまいました。

上の写真はアンナ・ボレーナ役のネトレプコ。

他に、クラシックのCDコーナーには、ネトレプコの「アンナ・ネトレプコ ライブ MET」というCDもあって
11時間の飛行中は、結局「アンナ・ネトレプコ漬け」になり、長い時間を有効に過ごせました。
席はエコノミーでしたが、ビデオは小画面ながらハイビジョンで、音声も実はHiFiでした。
それなりのイヤホーンやヘッドフォンならば、クラシック音楽はもちろん、オペラ鑑賞もなんとか楽しめます。
エアバス380は超大型機ですが、国際線の航空機なら同じような音響装置でしょうから、海外に出かける時は、
今後は必ず品質の良いイヤホーンとエアプレーン・アダプターを持参することにします。

詳しくは、「めいすいの海外旅日記 スロべニア・クロアチア・ボスニア・ヘルツェゴビナ 第1日」をご覧下さい。

 


ワーグナーの音楽二題

2012-02-02 | クラシック音楽

1.ワーグナー作曲/リスト編曲 歌劇「タンホイザー」序曲  アヴデーエワの演奏

第16回ショパン国際音楽コンクール(2010年)で優勝したユリアンナ・アヴデーエワ。
女性ピアニストとしての優勝はマルタ・アルゲリッチ以来、45年ぶりです。

ピアノの詩人と呼ばれるショパンの作品は、甘美でロマンチックな面がある反面、
シューマンが「花の影に隠れた大砲」と言ったように、強くて激しい一面もあり、
ショパンの演奏を総合的に行う必要があるショパン・コンクールでは結果的に男性優位になって
しまう傾向があったのかも知れません。

そのユリアンナ・アヴデーエワが2010年に凱旋公演で初来日し、シャルル・デュトア
指揮のN響と共演した「ショパン作曲ピアノ協奏曲第1番」は完成された見事な演奏で、
ピアノの女王アルゲリッチに並ぶようなピアニストという印象を受けました。
そしてまた、スタイルと美貌も惹き付けるものがありました。
私は、この演奏をブルーレイディスクに保存し大切にしています。

今回、来日して行ったピアノリサイタル(NHK BSプレミアム2/1放送)の曲目は、
ラヴェル作曲 ソナチネ
プロコフィエフ作曲 ピアノソナタ第2番ニ短調作品14
ワーグナー作曲/リスト編曲 歌劇「タンホイザー」序曲
チャイコフスキー作曲 18の小品作品72から「めい想曲」でした。

その中で、ワーグナー作曲/リスト編曲 歌劇「タンホイザー」序曲はオーケストラの
曲としては良く聞くのですが、ピアノ曲としては初めてで、興味を持ち聞くことが出来、
演奏も感銘出来るものでした。

アヴデーエワは、
「タンホイザー序曲は私のお気に入りの一つです。
この編曲で特別なのはリストの存在感がないことです。
最初から最後までワーグナーの音楽のみを感じます。
リストもこの序曲に感銘を受けました。
そのため自分なりの変更は一切加えずピアノで忠実に再現しました。
リストは同時代の作曲家の作品に敬意を持っていました。
ワーグナー シューマンなど リストの編曲作品は、他の作曲家に対する
心の広さ 感謝 尊敬の念の表れです。
私達はリストの編曲作品をもっと演奏すべきです。経験すべきもう一つの世界
なのです。」と語っていました。

リストはベートーヴェンの交響曲全集やベルリオーズ「幻想交響曲」をピアノ用に編曲しているのは知って
いましたが、リストの編曲作品は一体どれくらいあるのでしょうか。興味あるところです。

2.ワーグナー作曲 ジークフリート牧歌

 ジークフリート牧歌は、名前の通り安らぎを感じる牧歌的な音楽なので、以前から親しんでいましたが、
 昨日、NHK BSプレミアム放送の「音楽探偵アマデウス」で、この曲に詳しい解説が加えられたので、
さらに親しみを感じることになりました。

ワーグナーとコジマ(リストの娘)はともに結婚していましたが、ミュンヘンで歌劇の上演の際に相思相愛になり、
同棲を始めます。そのことがスキャンダルを巻き起こしますが、何とか結婚に漕ぎ着けます。
二人の間には、二人の娘、イゾルデとエヴァが生まれますが、ワーグナー56歳の時に長男ジークフリートが生まれます。
多いに喜んだワーグナーは妻コジマに感謝し、クリスマスの日、そしてコジマの誕生日の翌日の12月25日に
このジークフリート牧歌を捧げることになります。

初演は、スイスのルツェルン湖のほとりトリープシェンにあるワーグナーの自宅で当日の朝7時半、コジマの
寝覚る頃を待って演奏されました。

階段のてっぺんに指揮者ワーグナーが立ち、続いて階段の上から、第1ヴァイオリン2、第2ヴァイオリン2、
ヴィオラ2、フルート1、オーボエ1、クラリネット2、ファゴット1、ホルン2、チェロ1、コントラバス1という
15人の楽団が、階段に並び、「静かに、感動を持って」と記された導入部から演奏を始めました。
ワーグナーからは階段が曲がっていたため、チェロとコントラバスは見えなかったとのことです。
演奏はその日のうちに数回繰り返されました。長女イゾルデも、次女エヴェも、この贈り物に大喜びで
「階段の音楽」と名付けたそうです。

コジマの日記より
「 音楽が鳴り響いたなんという音。
この日のことについては何も言うことができない。
 私の感動、私の興奮はとても言い表せるものではない。」

ワーグナーの言葉より
「僕は愛の悲劇など何も知りたくはない。
ただ一つ確かなことは世界が始まってこのかた
僕ほど君を愛した男はいない。」

 ジークフリート牧歌には楽劇「ニーベルングの指輪」のライトモチーフが多く使われています。
 ただ、このモチーフが先だったのはジークフリート牧歌のようです。
 曲は、最初に、第1ヴァイオリンで演奏されるジークフリートの「平和のモチーフ」、ワルキューレの「まどろみのモチーフ」
と「ブルリュンヒルデの叫びのモチーフ」、そしてジークフリートの「世界の宝のモチーフ」などが演奏され、クラリネットと
フルートで演奏される「鳥の声」の場面へ。最後に「平和のモチーフ」で終わります。
 


コンサートで撮影した3本の音楽ビデオ(YuTube)

2011-09-05 | クラシック音楽

「北欧の旅」シリーズを掲載していますが、今回は先々日9月3日に和光市民文化センター・サンアゼリアホール行われた「ムジカ・ドマーニふれあいコクサート」で撮影した3本のビデオ(YuTube)を載せることにします。

1本目は、このコンサートに特別ゲストで出演してくれたオペラ歌手、秋谷あつ子さんの
歌劇「椿姫」より、ヴィオレッタの歌う有名なアリア「ああ、そは彼の人か」。
秋谷さんの了解をいただき載せさせてもらうことにしました。

2本目は女房も参加している音楽グループ「フィフティーズ」の演奏で、沖縄の歌「花~すべての心に花を~」です。

3本目は、和光市の歌姫といわれる「うたぴよ」さんの「カッチーニのアヴェマリア」。カッチー二のアヴェマリアはグノー、シューベルトのものとともにアヴェマリアの名曲として知られています。

撮影は現在、売れ行き、人気ともに一番(価格コム)のビデオカメラSONY HDR-CX560Vを使用しました。


2010 クラシックハイライト

2011-01-08 | クラシック音楽
毎年12月31日に放映される「クラシックハイライト」。クラシック音楽のすべてのジャンルで、NHKが昨年一年間に放映した優れた公演を紹介してくれるものです。2010年は21時25分から0時05分まで行われました。私は、紅白歌合戦をこの番組が始まるまで見ていましたが、その後はずっと、この番組を見ました。その中で印象的だったものを幾つか。

兵庫芸術文化センター管弦楽団は、阪神淡路大震災唐の復興のシンボルとして2005年に設立され、震災から15年を経た2010年に、祈りの気持ちを込めて佐渡裕の指揮で、ヴェルデイ作曲のレクイエムを演奏しました。放映はその中から怒りの日 (ディエス・イレ)。この管弦楽団の記念の公演ということから迫真の演奏でした。合唱はオープニング記念第9合唱団、大阪ヴェルディ特別合唱団ということですが、良く鍛えられていました。

世界屈指のバレエ団である英国ロイヤル・バレエのプリンシパルを15年にわたってつとめた吉田都の最後の公演。確かなテクニックと優雅で気品のある表現でプロコフィエフ作曲「ロミオとジュリエット」のジュリエットを演じました。この公演は舞台そのものも上質で演劇的なもの。有名なバルコニーの場面も見事に演じられました。すでに全曲を以前、放映されているので、見ていますが、退団になるには、惜しまれる若さに思えました。

庄司沙矢加&ジャンルカ・カシーリ テュオ・リサイタル、5年前のラ・フォル・ジュネでベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルトを弾くのを聴きましたが、初々しさが残っていました。現在は堂々とした演奏でベートーヴェンのバイオリンソナタ「春」。最近は、現代作曲家の難解な曲ばかりを弾くのかと思っていましたが、ジャンルカ・カシーリのピアノと共に聴き応えのある、さわやかな「春」でした。

樫本大進、川本嘉子、趙静、小菅優 ピアノ四重奏 演奏会」。放映されたのはブラームスのピアノ四重奏 ト短調 作品25。樫本大進は12月にベルリン・フィルのコンサートマスターに就任したとのことですが、この演奏会は6月。若い4人の演奏は白熱の演奏で、ブラームスは、こんなに激しい曲を作曲していたのかと思うほどでした。ピアノの小菅優のリサイタルに行ったことはあるのですが、鬼気迫る表情で演奏していたのが、印象的でした。

琵琶湖ホール公演のワーグナー作曲、楽劇「トリスタンとイゾルデ」。演出ミヒャエル・ハイニケ。沼尻竜典指揮、大阪センチュリー交響楽団。ワーグナーの官能的な音楽を良く表現し、迫力に満ちた演奏でした。小山由美はイゾルデ役を好演。

ショバン生誕200年の2010年は、ショパンの曲が良く演奏されました。2010ラ・フォル・ジュネもショパンの曲が多くを占めました。女流ビアニストの第一人者である小山実稚恵はワルツ 嬰ハ短調 作品64第2を演奏しました。

小山実稚恵は1985年ショパン国際ピアノコンクール第4位、今年は審査員としてコンクールに参加しています。その時の優勝者はユリアンナ・アヴデーエワ。このハイライトでもショパンのピアノ協奏曲をN響と協演した時の演奏を放映しています。私は12月30日に取り上げました。

ギル・シャハムバッハ作曲「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」。東京・竹芝の夜景のもとでの演奏。1499年制作のストラディヴァリウスの音色を聴きながら、月やレインボウ・ブリッジを眺めるのはおつなものだったでしょう。有名なシャコンヌが素晴らしい。

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ショパンコンクール優勝者アヴデーエワのピアノ協奏曲第1番

2010-12-30 | クラシック音楽

12月26日(日) の「N響アワー」に今年、開催された第16回のショパン国際ピアノコンクールの優勝者として登場したユリアンナ・アヴデーエワ

ユリアンナ・アヴデーエワはロシア出身の女性ビアニストで、5年ごとに開催されるショパンコンクールではマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの優勝者です。この日は凱旋記念公演として来日した時の、シャルル・デュトワ指揮のNHK交響楽団、ショパン作曲のピアノ協奏曲第1番ホ短調の演奏でした。

ショパンのビアノ曲そしてショパンコンクールというと、マルタ・アルゲリッチの第7回ショパンコンクールのライブ録音であるビアの協奏曲第1番が私の愛聴版。今も「ピアノの女王」として君臨するマルタ・アルゲリッチの若き日の鮮烈な演奏です。オーケストラの演奏は感心しませんがアルゲリッチの演奏は「私はこれから、美貌とピアノの才能を世界の聴衆に聴かせるために羽ばたこうとしているのよ」と言ってているような凄みのある演奏です。そのテンポとファンタジーは私たちを今も惹きつけます。

私は、最近のショパンコンクールの優勝者のお披露目演奏を幾度となく聴いてきましたが、このCDの演奏を基準にしてしまうので、期待はずれになってしまうことがほとんどでした。

今回のユリアンナ・アヴデーエワの演奏は、アルゲリッチを超えるとまではいきませんが、ショパンらしいロマンチックな音色を聴かせてくれる良い演奏でした。また、終始落ち着いていて、彼女の持っている音楽性を十分に伝えているように思えました。

ショパンのピアノ協奏曲第1番はショパンが20歳の時の作品。若き日の作品は、シューマンがショパンの曲は「花の影にかくれた大砲」と批評したように、力強い部分があり、男勝りの演奏を必要とします。そのため、コンクールでこの曲を必ず弾かなければならないこともあって、女性優勝者が少なかったともいえるでしょう。こうした点も乗り越えるスケールの大きな演奏でした。アヴデーエワの服装は派手なドレスではなく、黒のスーツ。彼女も男勝りの演奏を心掛けていたに違いありません。

この演奏会にはアルゲリッチも客席にいて、「コンクールの時よりも良い演奏」といったそうです。またアヴデーエワも「デュトワの指揮は自分のやりたいことをすくい上げてくれたので、助けになった」と言ったのこと。間違いなくデュトワ指揮、N響のオーケストラはアルゲリッチのCDより、アンサンブルも良く音も重厚でした。


ショパン生誕200年「みんなのショパン」 (2)・・・ NHK BShi

2010-11-04 | クラシック音楽
(3) ノクターン嬰ハ短調
私はノクターンが好きで、クラシック音楽を聞き始めた頃から、ルービンシュタインの「ノクターン全集」を良く聴いていました。
 しかし、この嬰ハ短調の曲は入っていませんでした。ある日、FM放送のクラシックリクエストで、人気曲の1位となっていることを知り、
アシュケナージのCDを購入し、さらに人気の源になった映画「戦場のピアニスト」のレンタルDVDを見、サウンドトラック盤のCDも購入しました。
このことについて詳しくは、「めいすいの音楽随想・・・戦場のピアニスト」をご覧下さい。
ちなみに、「みんなのショパン」のホームページには、「あなたの好きなショパンの曲を当てます」というコーナーがあって、試みたところ、
私の好きな曲は「ノクターン嬰ハ短調」と出ました。当たらずとも遠からず・・・。



 演奏は、第15回(2005年)のショパンコンクール4位入賞の山本貴志さん。
 ポーランドのショパン音楽アカデミーで学び、主席で卒業しているとのことです。
 彼は「ポーランド語を話し、ポーランドの食事をし、生活するうちにショパンを理解できるようになる」と語っていました。
 山本貴司さんは、情感のこもった熱演で、この曲の素晴らしさを改めて知ることの出来る演奏をしてくれました。
 
(4)  英雄ポロネーズ
この番組の「私の好きなショパン」の投票で1位だったのは「英雄ポロネーズ」でした。
祖国ポーランドを思うショパンの強い気持ちが表現されている曲です。
ポロネーズは、当初宮廷内の儀式の際、行列の行進曲として演奏されていたのが、やがて舞曲となったようです。
民俗舞曲のマズルカに比べると骨太で規模が大きい。
シューマンはショパンを「花の影にかくれた大砲」といいましたが、この曲はまさに、この表現にぴったりといえるでしょう。
「英雄」という名にふさわしい壮麗な曲だと思います。この曲もアルゲリッチの演奏するCDで良く聴きました。



演奏は、第15回(2005年)のショパンコンクール優勝のラファウ・ブレハッチ。この人を見るのは初めて。
ホーランド人でショパンによく似ています。ショパン・コンクールの時も似ていると話題になったらしい。
演奏は気負いのないオーソドックスなもの。ただ私には優等生すぎて面白味に欠けているように思えました。

(5) 幻想即興曲
  「私の好きなショパン」の投票では3位。ショパンの曲として、あまりにもポピュラー、特に中間部の曲想は甘美で魅力的です。
  しかし、どうしたことか、この楽譜はショパンの生前には発表されず、楽譜ばさみの中から発見されたということです。

 演奏は仲道郁代さんでした。
 でも、この番組のハイライトは「先生のショパンをもう一度聴きたい」というコーナー。
時代をさかのぼること昭和25年。 戦争の爪痕の残る兵庫県尼崎市、当時、テレビは存在せず、
日本のどの地域もラジオさえ無い家があったほど。クラシック音楽など、ほとんど聞く機会は無かったはずです。



織部得三郎(75歳)が中学3年生だった時に、新任の音楽教師の樋口昭子さんが赴任して来ます。
そしてピアノで演奏したのがショパンの「幻想即興曲」。
戦時中はピアノを弾いていると非国民といわれたそうですから、ピアノを弾ける人もほとんどいなかっだでしょう。
その時 、織部さん達は「天使の奏でる音楽」と思ったに違いありません。まさに衝撃的な出来事だったでしょう。



その後、織部さん達は何度も樋口先生に「何か弾いて」と頼み、ショパンの曲などを弾いてもらったとのことです。
織部さんは当時、自身が胸を病み、病弱で、ショパンのようだったことも強く印象に残ったとのこと。



しかし卒業後は、先生のピアノ曲を聴いていないので、あの「幻想即興曲」を60年ぶりに聞きたい!
  驚いたことに樋口先生は現在、82歳。70歳くらいまではピアノを教えていたらしいのだけれど、織部さんのため、
そしてこの番組のために演奏するということです。「私はせつながりやなのでショパンに気持ちがつながる、キュンと来る」と。
弾き始めて2度びっくり! しっかりとした美しい音の演奏をしてくれました。
やはり、こうした時代背景や出来事のある中で聴く、演奏は熱い気持ちにさせてくれます。
仲道郁代さんの演奏も良かったですが、感銘を強く受けたのは樋口先生の演奏でした。

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ショパン生誕200年「みんなのショパン」 (1)・・・ NHK BShi

2010-11-03 | クラシック音楽
ショパン生誕200年ショパンイヤーを祝い、10月31日(日)午後6時45分から10時45分まで4時間にわたって生放送された 「みんなのショパン」
バラエティに富んだ番組で、お笑いのチュートリアルの司会などを交え、ショパンの数多くの作品をショパンコンクール優勝者や
日本の有名ピアニストが生演奏しました。
また、ショパンの人物像や作品の背景なども紹介され、、ショパンを身近に感じることが出来、この番組を見ながら楽しく過ごすことが出来ました。
その中で、私の印象に残ったシーンを5つほど。

(1) ショパンピアノ協奏曲第1番
小林愛実(Pf)梅田俊明指揮、東京ジュニアオーケストラ
ショパンのピアノ協奏曲第1番は、私にとって若い頃の思い出深い曲で、ルービンシュタインやアルゲリッチの演奏を良く聴いたものでした。
このため、この番組の「私の好きなショパン」の投票には、この曲を選びました。ちなみに結果は2位でした。



この日は中学三年生の小林愛実(あいみ)さんのピアノ、オーケストラは小学生から大学生までで構成される「東京ジュニアオーケストラ」、指揮は梅田俊明。
若い人たちが演奏する姿はさわやかで、小林さんの演奏も美しい音を奏で、ショパンのピアノの雰囲気を良く出ていました。
彼女がジュニア界のホープといわれていることに納得が出来る内容でした。
コンサートマスターの小林さんの「オーケストラだけの演奏は面白みがないが、ピアノ協奏曲となると素晴らしい曲だと実感できる」という話も面白く思えました。
ショパンはピアノの天才ですが、モーツァルトのようにオーケストレーションまで得意ではありませんから。

(2) 前奏曲 雨だれ  辻井伸行
24曲からなる「前奏曲(プレリュード)」はショパンの作品の中でも、最高峰の傑作といわれる曲ですが、第15番の「雨だれ」が特に有名です。
私は、ポリーニの演奏するこの曲を良く聴きました。
                             
辻井伸行さんの演奏した部屋はスペインのマヨルカ島にあるカルトゥハ修道院の一室で、ショパンが、この曲を作曲した部屋。
ショパンの博物館になっている別の部屋でショパンが使用していたプレイエルのピアノで音を出すことも出来、彼はショパンの気分になれたとのことです。



彼の演奏は、いつものように柔らかで一つ一つの音が研ぎすまされていて、とても素晴らしく感動出来るものでした。
なお、この演奏を含め「マヨルカの啓示~辻井伸行 ~ショパンへの旅路~」として
BShi 11月23日(火)朝8:00~8:43 で放送されるとのことです。

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