イタリア北部、ヴェローナの野外劇場で毎年開催される音楽祭。今年6月には、ビゼー作曲、歌劇「カルメン」が上演されました。
8月25日(月)未明には、NHK BSプレミアムで放映されました。
野外音楽堂で行われたこともあり出演者も多く、巨匠ゼフィレッリの演出ということもあって、迫力のあるオペラが楽しめました。
<出 演>
カルメン(ロマの女): エカテリーナ・セメンチュク
ミカエラ(ホセのいいなずけ): イリーナ・ルング
ドン・ホセ(竜騎兵の伍長): カルロ・ヴェントレ
エスカミーリョ(闘牛士): カルロス・アルバレス ほか
<管弦楽>ヴェローナ野外劇場管弦楽団
<合 唱>ヴェローナ野外劇場合唱団
<バレエ>ヴェローナ野外劇場バレエ団
<指 揮>ヘンリク・ナナシ
<演出・美術>フランコ・ゼッフィレッリ
この野外劇場は世界遺産。アレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di Verona)の名で知られる円形闘技場です。
紀元前1世紀はじめに作られ、ローマのコロッセオ、ナポリの円形劇場に次ぎイタリア国内3番目の大きさで、収容人数は2万5千人。
舞台や座席も残り、国内で最も保存状態が良いようです。
歌劇「カルメン」の時代 1820年代 (日本 江戸時代 幕末)
〃 の場所 スペイン・セビリア ・・・ フラメンコ、闘牛の本場、国立の石造りのたばこ工場(現在はセビリア大学)
(第1幕)
スペイン、セビリアの一角にある広場、衛兵の詰め所とたばこ工場に面している。
ミカエラという若い女性が、彼女の婚約者である伍長ドン・ホセを訪ねてやってくる。
不在と知り、立ち去った後で、すれ違いにホセが現れる鐘が鳴り、たばこ工場から女達が出てくる。
ひときわ目を引くのはカルメン。挑発的な歌で喝采を浴びる中、カルメンが自分に向け投げた花に、ホセは心を動かされる。
広場に戻ってきたミカエラは、ホセの母親から託されたお金とキスをホセに贈り、彼はミカエラへの愛情を思い出す。
たばこ工場から、女達が大騒ぎをして出てくる。カルメンが同僚と言い争いになり、相手を刃物で傷つけたのだ。
カルメンは投獄が決まるが、見張り役となったホセを歌で挑発し、自分を逃すように誘惑する。
ホセは誘惑に負け、カルメンを逃がす。
カルメンは、「ハバネラ 恋は野の鳥」を歌う。
ドンホセとミカエラは二重唱「手紙の歌」を歌う。
(第2幕)
あらから二ヶ月後リーリャス・パスティーアの酒場、カルメンとその仲間達が集まっている。
そこへ闘牛士エスカミーリョが登場、カルメンに一目惚れするが、彼女は相手にしない、自分を逃がしてくれた、ホセに恋しているのだ。
カルメンとその仲間は、実は密輸団の一行。そこへ彼女を逃がした罪で、牢屋に入っていたホセがやってくる。
彼らはホセを仲間に入れることを思いつく。帰営ラッパが鳴っても、カルメンはホセを帰そうとしない。
そこへやってきた上官とカルメンをめぐって争い、ホセは密輸団に加わることになる。
リーリャス・パスティーアの酒場、カルメンとその仲間達がセギディージャ (フラメンコ)を踊る。
エスカミーリョは「闘牛士の歌」を歌う。
ドンホセは「花の歌・・・お前が投げたあの花は」を歌う。
(第3幕)
夜半の人里離れた荒れ地、密輸団の見張り役を務めているホセだが、カルメンの心はすでに冷めている。
カード占いで。おのれの死の運命を知るカルメン。そこへカルメンを追ってきたエスカミーリョが現れる。
ホセとの決闘でカルメンはエスカミーリョに味方し、彼は皆を闘牛場へ招待すると約束する。
ミカエラが現れ、ホセに母親がもう長くないと告げる。再びカルメンに会いに来ると宣言し、ホセは親元へ帰って行く。
夜半の人里離れた荒れ地、密輸団の集結場所。
密輸団の見張り役になりはてたドン・ホセ。
恋敵のドンホセ(左)とエスカミーリョは決闘をする。
(第4幕)
ここはセビリアの闘牛場。仲むつまじいエスカミーリョとカルメン。
ホセも来ているから気をつけろと忠告されるが、自分の運命を知っているカルメンは耳を貸さない。
ホセが現れ、カルメンに復縁を迫るが拒否される。激高したホセは、彼女を刺してしまう。
セビリアの闘牛場の前の広場の様子。
エスカミーリョとカルメンが仲むつまじく登場する。
ドンホセはカルメンを刺殺してしまう。
カルメンを演じたのはエカテリーナ・セメンチュク、ドン・ホセを演じたのはカルロ・ヴェントレ。
ただ、二人とも声は良かったのですが、容姿は今ひとつ。体が楽器とはいえ、太りすぎで、若さも足りない。
カルメンは、メゾソプラノなのでソプラノほど人材がいないというのは分かりますが、体の動きが鈍くカルメンらしい切れのある踊り
〈フラメンコ〉が出来ていませんでした。なんと言ってもモテモテの女性なのですから、圧倒的な魅力が欲しいところです。
ミカエラを演じたのはイリーナ・ルング、田舎の女性の清純さを良く出していました。
なお、 幕毎のあらすじは、番組で表示されたものを使いました。
歌劇「カルメン」について詳しくは、「めいすいの音楽随想・・・歌劇「カルメン」と初演の頃」をご覧下さい。