なだいなださんが亡くなりました。読売新聞の報道によると、「精神科医の体験に裏打ちされたユニークな文筆活動で知られた作家、なだいなだ(本名・なだいなだ堀内秀=ほりうち・しげる)さんが亡くなっていたことが8日分かった。83歳だった。」ということです。
なださんはいくつかのブログを書いていましたが、すい臓癌による余命宣告を受けた最近は、「ぼんやりおやじのブログ」で闘病記を書くことを宣言。最後の記事は6月6日付けで、「脈拍が130台、血圧上下はまあ平常。痛み止めに頼る生活。・・・月末、フランスに行って、そこでフランス語で最後の講演をするつもりだったが、どうもこの状況では、難しくなってきた。・・・かなり体の状況が厳しいことになって来た。」と書いています。
この記事から死去までほとんど時間の開きが無く、最後まで意識明哲、自分の状況を医者の目で冷静に見つめていたことが分かります。
それより少し前、5月28日の「打てば響く」というブログでは、「ぼくは、がんとの付き合いでなんとか頑張っていますが、白状すると、ちょっときつい。がんの告知は、本人に、自分の残りの人生を計画させるためには都合がいい。ぼくはその恩恵を受けている。しかし、父、夫が次第に死に近づくということを知らされた近親の者たちには、この告知は、かなりな苦痛を与えている。・・・精神科医の同僚たちよ、告知のこうした一面の研究をしてくれないだろうか。それがぼくの今の気持ちだ。」と家族や周囲の人への暖かい思いやりの気持ちが率直に書かれています。
なだいなださんは、私が最も敬愛する人生の先輩のお一人でした。早すぎる死を心から残念に思いますが、見事な最期だったというある種、感動も覚えます。ご冥福をお祈りします。(三女)