■「同時代の作家たち」廣津和郎 (岩波文庫 1992年刊)
「同時代の作家たち」の冒頭に「あの時代 ―芥川と宇野」という文章が収めてある。小説なのか、随筆なのか、読者を大いに迷わせる。
おもしろいことは、おもしろい♪ わたしは2日間で読み了えた。もっとも実質90ページなので、集中できればなんてことはない。
ところで、岩波文庫に「日本近代短編小説選」
というシリーズがあるのはご存じの方が多いだろう。継続期間にあわせて明治期2冊、大正期1冊、昭和期3冊がラインナップされてある。
そのうち、大正期の面々は、
1.女作者 田村俊子
2.鱧の皮 上司小剣
3.子供役者の死 岡本綺堂
4.西班牙犬の家 佐藤春夫
5.銀二郎の片腕 里見 弴
6.師崎行 廣津和郎
7.小さき者へ 有島武郎
8.虎 久米正雄
9.奉教人の死 芥川龍之介
10.屋根裏の法学士 宇野浩二
11.猫八 岩野泡鳴
12.花火 内田百閒
13.入れ札 菊池 寛
14.葬式の名人 川端康成
15.椎の若葉 葛西善三
16.淫売婦 葉山嘉樹
この16篇がならんでいる。
大正期のメンバーこそ、何を隠そう、わたしが目指す近代文学の中核メンバーである。佐藤春夫、廣津和郎、芥川龍之介、宇野浩二、川端康成、葛西善三は大好きな小説家の部類に属するし、里見弴、久米正雄、岩野泡鳴、内田百閒、菊池寛、葉山嘉樹あたり、ほとんど読めてはいないが、注目株に入る。
もっといえば、明治40年代から、昭和10年代が、有望株なのである。これらの範疇に属する小説家は、大きく裏切られたことが、これまでなかった。
古めかしいといえばその通りだとは思うが、古めかしさに小説家としての人情味、人間と人間のかかわりの“妙味”が、うどんやそばの汁のうまみのように、潜んでいる。大正期を中核とする小説には、何か小説の読者をそそのかすものがあるのである。
前置きが少々長くなってしまったなあ(^^;;)
さて、と。
「宇野浩二伝」水上勉 上(中公文庫 昭和54年刊 462ページ)
「宇野浩二伝」水上勉 下(中公文庫 〃 426ページ 解説のぞく)
(張り切って書いている水上勉さん、えらくヴォリュームがあります。)
合わせて約900ページ、物量的に圧倒され、最後まできちんと読んだ人、少ないのでは(;^ω^)
(探したら、大昔の文学全集も現れた。)
宇野浩二(日本の文学33巻 中央公論社 昭和45年刊)
・蔵の中
・一踊り
・子を貸し屋
・枯木のある風景
・思い川
広津和郎(日本文學全集28巻 新潮社 昭和39年刊)
・神経病時代
・やもり
・死児を抱いて
・巷の歴史
・ひさとその女友達
・あの時代
・春の落葉
「あの時代 ―芥川と宇野」は、こちらにも収録されている。「松川事件」「年月の足音」で名高い広津和郎にはこれまでほとんど関心を持たずにきたが、岩波文庫の「同時代の作家たち ―芥川と宇野」は、一度なくしてしまい、ふたたび買い直したのではなかったか?
「あの時代 ―芥川と宇野」は、秀作とはいえぬまでも、内容が豊かで、宇野浩二のキャラクターが、じつに面目躍如としていて、ハラハラ、ドキドキさせられる(´Д`)
小説を書く小説家というより、“登場人物”として、じつにおもしろい。この作品では、宇野浩二が主役で、芥川龍之介が脇役である。
広津の“見極め”が、なかなか見事に決まっているのだ。
それと、ほかの本を探していたら、こんなのが出てきた。
■「作家の友情」河盛好蔵(新潮選書 昭和59年刊)
・春夫と大学
・菊池・久米・芥川
・広津・葛西・宇野
・犀星と朔太郎
あとがき抜きで、198ページ。
ちょっとパラパラめくったところ、いまのわたしの関心の方向と一致していると思われるので、要チェック(^^♪
読みだしてみないと、おもしろいかどうかわからないけどね。新史料が発掘できることを期待している。
「同時代の作家たち」の冒頭に「あの時代 ―芥川と宇野」という文章が収めてある。小説なのか、随筆なのか、読者を大いに迷わせる。
おもしろいことは、おもしろい♪ わたしは2日間で読み了えた。もっとも実質90ページなので、集中できればなんてことはない。
ところで、岩波文庫に「日本近代短編小説選」
というシリーズがあるのはご存じの方が多いだろう。継続期間にあわせて明治期2冊、大正期1冊、昭和期3冊がラインナップされてある。
そのうち、大正期の面々は、
1.女作者 田村俊子
2.鱧の皮 上司小剣
3.子供役者の死 岡本綺堂
4.西班牙犬の家 佐藤春夫
5.銀二郎の片腕 里見 弴
6.師崎行 廣津和郎
7.小さき者へ 有島武郎
8.虎 久米正雄
9.奉教人の死 芥川龍之介
10.屋根裏の法学士 宇野浩二
11.猫八 岩野泡鳴
12.花火 内田百閒
13.入れ札 菊池 寛
14.葬式の名人 川端康成
15.椎の若葉 葛西善三
16.淫売婦 葉山嘉樹
この16篇がならんでいる。
大正期のメンバーこそ、何を隠そう、わたしが目指す近代文学の中核メンバーである。佐藤春夫、廣津和郎、芥川龍之介、宇野浩二、川端康成、葛西善三は大好きな小説家の部類に属するし、里見弴、久米正雄、岩野泡鳴、内田百閒、菊池寛、葉山嘉樹あたり、ほとんど読めてはいないが、注目株に入る。
もっといえば、明治40年代から、昭和10年代が、有望株なのである。これらの範疇に属する小説家は、大きく裏切られたことが、これまでなかった。
古めかしいといえばその通りだとは思うが、古めかしさに小説家としての人情味、人間と人間のかかわりの“妙味”が、うどんやそばの汁のうまみのように、潜んでいる。大正期を中核とする小説には、何か小説の読者をそそのかすものがあるのである。
前置きが少々長くなってしまったなあ(^^;;)
さて、と。
「宇野浩二伝」水上勉 上(中公文庫 昭和54年刊 462ページ)
「宇野浩二伝」水上勉 下(中公文庫 〃 426ページ 解説のぞく)
(張り切って書いている水上勉さん、えらくヴォリュームがあります。)
合わせて約900ページ、物量的に圧倒され、最後まできちんと読んだ人、少ないのでは(;^ω^)
(探したら、大昔の文学全集も現れた。)
宇野浩二(日本の文学33巻 中央公論社 昭和45年刊)
・蔵の中
・一踊り
・子を貸し屋
・枯木のある風景
・思い川
広津和郎(日本文學全集28巻 新潮社 昭和39年刊)
・神経病時代
・やもり
・死児を抱いて
・巷の歴史
・ひさとその女友達
・あの時代
・春の落葉
「あの時代 ―芥川と宇野」は、こちらにも収録されている。「松川事件」「年月の足音」で名高い広津和郎にはこれまでほとんど関心を持たずにきたが、岩波文庫の「同時代の作家たち ―芥川と宇野」は、一度なくしてしまい、ふたたび買い直したのではなかったか?
「あの時代 ―芥川と宇野」は、秀作とはいえぬまでも、内容が豊かで、宇野浩二のキャラクターが、じつに面目躍如としていて、ハラハラ、ドキドキさせられる(´Д`)
小説を書く小説家というより、“登場人物”として、じつにおもしろい。この作品では、宇野浩二が主役で、芥川龍之介が脇役である。
広津の“見極め”が、なかなか見事に決まっているのだ。
それと、ほかの本を探していたら、こんなのが出てきた。
■「作家の友情」河盛好蔵(新潮選書 昭和59年刊)
・春夫と大学
・菊池・久米・芥川
・広津・葛西・宇野
・犀星と朔太郎
あとがき抜きで、198ページ。
ちょっとパラパラめくったところ、いまのわたしの関心の方向と一致していると思われるので、要チェック(^^♪
読みだしてみないと、おもしろいかどうかわからないけどね。新史料が発掘できることを期待している。