二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

粕谷栄市という詩人をご存じですか?

2011年07月27日 | 俳句・短歌・詩集
一昨日、大型書店の詩のコーナーをうろうろしていたときのこと。 ある一冊の詩集とめぐり遇った。 上の写真に写っている、粕谷栄市詩集「遠い川」(思潮社刊 2800円+税)がそれである。 さっそく何編かを立ち読みし、たちまち引きずり込まれた。 粕谷さんの詩を、ずいぶん長らく読んでいなかったので、ドキドキするような強烈な印象であった。もしかしたら、須賀敦子の「トリエステの坂道」以来の“事件”かもしれないぞ。 大げさにいえば、三毛ネコ的にはそんな興奮なのである!(^^)! とはいえ、わたしは粕谷さんの特別熱心なファンというわけではなかった。 しかし、第一詩集「世界の構造」(高見順賞受賞作)は、戦後の詩集のなかに屹立する、屈指の傑作であるというふうに評価してきたのである。 . . . 本文を読む
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幻の町(ポエムNO.33)

2011年07月27日 | 俳句・短歌・詩集
ある日ひとりの男が洗面所の鏡をのぞきこむ。 そして自分の顔が半分消えかかっていることに気づくのだ。 「おれには元々 ちゃんとした顔があったのに」 失われた顔のことを 鮮明には思い出せない不安が 彼の表情をさらにくもらせる。 ある日ひとりの女がホテルの姿見をのぞきこむ。 そして自分の体が半分欠けていることに気づくのだ。 「あたしには親からもらった体が 自慢の体があったのに」 どこへ落としたんだろうか? フェンスにぶつかったとき くだけ散ったのか ・・・または獣に食いちぎられてしまったのか? 彼女は思い出すことができない。 . . . 本文を読む
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