二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

眼の散歩

2011年12月01日 | Blog & Photo


「眼の散歩」というタイトルのエッセイ集が、たしか、武田泰淳さんにあったなぁ・・・と思ったら「目まいのする散歩」だった(=_=)
さっきググっていたら、FC2の「雑感」というブログにこんなことが書いてあった。

《散歩する楽しみというのは、途中で出会う風景や人を見てあれこれ空想することにあります。やはり、”身体”というのは大事で、汗をかいて歩きながら考えることとパソコンの前で考えることには、それこそ千里の径庭があるように思います。》
http://sealmania.blog21.fc2.com/blog-entry-398.html

それまでは、ほとんど昆虫写真しか撮らなかった三毛ネコさんが、昨年の10月から散歩写真をはじめた。
もう撮り尽くしたとは、とてもいえないけれど、桐生や伊勢崎、富岡、足利、深谷、行田、秩父など、た~くさんのアルバムが生まれてきた。
わたしのこの動機がどこいらにあるのか、本人にはよくわかってはいない(^^;)
街撮りといったり、散歩写真といったり、‘いまは昔’といったり、表現はそのつど変えてあるけれど、コンセプチュアルなアルバムというのではない。
だから「眼の散歩」と、書いてみた。

花や建築物や人物。
その街角が、生きて活動している鼓動のようなものに、耳をすましながら、この‘目玉’は、被写体をもとめて歩きまわる。
文学散歩ではなく、歴史散策でもない。
記録することを意識はしているから、古いものには、あるいは、滅びかかったものには、よくレンズを向けている。
当然ながら「写真を撮る価値がある」とおもって撮っている。

この散歩の方法は、いろんな人から教わっている。
しかし、案外決定的だったのは、赤瀬川原平さんかも知れない。
この人の写真集は三冊ばかりもっている。
もうお一人は、以前にも日記でとりあげた武田花さん。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E8%8A%B1

この人の「眠そうな町」は木村伊兵衛賞を受けているけれど、わたしの書庫には彼女のフォト&エッセイ集が、五冊ばかり保管してある。
モノクロームの地味な作がらだけれど、何枚かつづけて見ていくと、なんともいえない心映えがつたわってきて、気持がなごやかになり、ほぐれていく。





吉井町でお遇いした三人の高校生。
「そのばかデカいアイス、三人で食べたの?」と訊いたら、「ううん。ほかに二人。・・・先に帰った」という返事がかえってきた。
わたしは「小さな出会い」を、積みかさねていく。



「おばあちゃん、こんにちは~」
と声をかけたが、はて、答えがない。
耳が遠いし、一心不乱にさといも掘りをしている。
なんども大声を張り上げる。
「はあ? なんだね」
「向こうに見事なイチョウの木があるから、畑に入らせてもらいたいのです」

昨日はクルマの中ではエアコンをかけようかというほど温かかったが、今日は12℃も気温が下がるという。
写真モードにスイッチがはいったので、ベッドのまわりは本だらけだというのに、本が読めない。詩も書けない。
「つぎはどこへいこうかな?」「あの町にしようか・・・どんな出会い旅になるんだろう」



撮影を終えた写真をセレクトし、レタッチをしながら、そんな期待感で胸をふくらませる。
花さんは、いまでいう‘ゆるキャラ’の元祖。
すっとぼけた、ユーモアたっぷりのエッセイを書く才能が、わたしも欲しいな(^_^)/~ 港が見える小さな町へもいってみたい。
ローカル線にゆられ、なんてことのない、静かなさびれた町のほうへ・・・カメラを手にして。
一人旅ではなく、気のあったおっさんとの二人旅でもいい。つぶれかけたような大衆食堂で、ビールを飲みながら、撮影してきたばかりの写真を、背面モニターで眺める。
胸が豊かな、赤ら顔のおばちゃんが、厨房でガタガタ三毛ネコの頼んだ料理をつくっている。ゆっくりとたばこをくゆらしながら、うらうらと陽が照っている戸外を眺める。
岩だらけの凪いだ海が、窓の外に見えていて、しばらく眺めていると、小さな漁船が帰ってくる。
Cape light・・・岬の光。

ここにはないものへの、あこがれ。



※mixiあるばむ「高崎市吉井町散策」はこちら。
http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000043450405&owner_id=4279073
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