
このあいだの水曜日は、撮影には出ずに、用事をすませたあとは、リビングでうたた寝。
かなり蒸し暑かったが、エアコンのスイッチは入れず、窓から流れ込むわずかな“涼風”で、暑さしのぎしながら。
このところ知り合いの病気の報を耳にしたり、友人の病気見舞いにでかけたりしているせいか、「ああ、そうだな。そういう年齢なのだから、もっと健康に気をくばらなければ」などと自重気味(^^;)
寝ころがって、数ヶ月まえからぽつぽつBOOK OFFなどで見かけるたび買っておいたブラームスを、うつらうつらと聴いていた。
今年になって聴いたといえば、ブルックナーのシンフォニーばかり。
ブラームスを聴こうという気にはしばらくなれなかったが、もののはずみ・・・のようにして、ある晩聴いたブラームスの交響曲2番がすごかった。名盤はたくさんあるに違いないが、わたしの手許にあるのは、たしかフルトヴェングラーがベルリン・フィルとやった一曲だったとおもう(いまは手許にないので、確認できない)。
この第4楽章に、わたしはそのとき眠気を吹き飛ばされた。
あれれ、もっと牧歌的なシンフォニーだと思っていたのに、これじゃまるでベートーヴェンの第5みたいじゃないか!? 指揮者が荒馬に“いけ! いけ!”と鞭をあてているように、音楽がフィナーレへ向かって驀進していく。その推進力が、半端じゃない。まあ、わたしの場合、こういう経験はよくあるけれど(笑)。
ブラームスが好きだとはいっても、第2は第1の、第3は第4の蔭に隠れているように思えて、いままであまり熱心には聴いたことがなかった。
それから数週間かけて、つぎの4枚のCDを手に入れた。

上の写真、右上から下へ
1.ブラームス交響曲第3番 カール・シューリヒト NDR(北ドイツ放送)交響楽団 1953年
2. 〃 第2番 カール・ベーム ウィーン・フィル 1975年
左上から下へ
3. 第3番第4番 ダニエル・ハーディング ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(2000、2001年)
4. 〃 第2番 トスカニーニ NBC交響楽団(1952年)
このほかに、ヴァントがNDRとやった4番(1997年)も聴いた。
ブラームスの4曲のシンフォニーは、世界中の交響楽団のいわば至宝=ドル箱。
モーツァルトに、ベートーヴェンに飽きたという聴衆がいちばんよろこぶのは、ブルックナーよりはずっとわかりやすいブラームスだろう。
4曲のシンフォニーはいずれも甲乙つけがたい見事な出来映え。しかもブラームスは、2つのピアノコンチェルト、1つのバイオリンコンチェルトという“切り札”をはじめ、多くの分野にすぐれた楽曲をいくつも残しているから、楽団側は演目の選択には苦労しないだろう。
真夏のピーカン、気温が30℃を超えるような日には、無理して出歩かないで、自重し、CDを聴いてすごそうなどと、殊勝な気分になっているが、本当は喫煙をやめ、アルコールをひかえれば、もっといいに違いない。しかし、それは今後の検討課題・・・ということにしておこう(笑)。 笑えなくなる日が、いつかくるとしても(-_-)
上のCDのうち、「拾いものだなあ」と思ったのは、ハーディングである。
小編成の楽団でやっているようだけれど、シャープ&クール、それでいて抒情性ももっているという小技が、あざやかに決まっている。
夏の夕暮れ。
市橋織江さんの写真集「ap bank fesがある風景」を買って本屋さんから表へ出ると、見なれたはずの光景が、妙になまめかしく、微光の中からわたしをさそっているように見えた。