二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

故郷という名の図書館(ポエムNO.2-34)

2014年05月21日 | 俳句・短歌・詩集
世界とは故郷のことなのだ とだれかがいう。
そんなことに気がつくまで
何十年もかかってしまったな とぼくがいう。
肉眼の隣りにカメラがあってね
カメラはたえまなくいまを記録しつづける。

すべての本を読みつくすなんてできやしない。
故郷という名の図書館には
無数の入口 無数の出口がある。
一羽のツグミがぼくを見ている。
ぼくが 一羽のツグミを見ているように。

一冊の分厚い本を手にして歩いていく。
4月から5月へ 金色のウィスキーをかかえて
酔っぱらいのように鼻歌を歌って ぼくはぼくを振り返る。
来世・・・と呼ばれる彼方から
一匹の猫がやってくる。

図書館には本がいっぱい。
真っ白い なにも書かれていない本だってある。
その本に向かってぼくは書く。
神や仏がなぜ必要なのか と。
本の中から 一羽のツグミがぼくを見ている。

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