二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

指を眺める(ポエムNO.4-25)

2020年09月17日 | 俳句・短歌・詩集
おやおや おやおや
自分の老いた指を眺めながら
意味のないつぶやきをくり返す。
・・・おやおや。

なにもかも おやおやなのだ。
女が長いことしくしく泣いている。
あれはなにが悲しいのだろう。
泣いて洗い流したいものがあるのだ。

たった一回だけの夏がある。
甲子園のあの夏 みたいな夏を後生大事にかかえて
そのあとは埃っぽいでこぼこ道ばかり歩いてきた。
そういう人はきっとたくさんいる。

おやおや そうか。
そうだったのか。
自問自答というやつさ。
折れ釘のような始末の悪い自問自答だよ。

ここから抜け出すには努力が必要。
馬を飼うほどの
カビっぽくなった浴室をピカピカに研くほどの
スクリーンのなかのマリリンと結婚するほどの。

携帯電話で世の中につながっている
そういう錯覚にはこりごり。
本という迷路のなかから顔をあげると
そこに自分の老いた指がある。

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