二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

七つのトレモロ(ポエムNO.3-55)

2020年05月06日 | 俳句・短歌・詩集
   (夕陽と白鳥、2015年1月撮影。)




2は水鳥の泳ぎに似ているが
なという文字 かという文字を見つめていると
文字は奇妙なダンスを踊りだす。
絵本の中から 洋服を着た猫や犬も集まってくる。


いまにも蕩けそうなエロチックなピアノ曲は
激しい失意に沈む自分への しなやかな鞭であり
快楽と紙一重のスープでもある
ことばにならない感情の。


それら ○○であるものの在処をさぐりあてる。
カメラは見えるものしか写しはしないのだが
それら は見えない世界の出来事。
決してニュースにはならないアクシデントなのだ。


もういいかい もー いー よ!
ぼくはいつものリビングで呼びかける。
そこにないもの なくしてしまったものを
ふたたび招集したくなっているのだ。


四分音符だったり八分音符だったりする
リズミカルな日常 に狂いが生じ
苦しんでいる男や女がいる。
なぜそんなに苦しいのか 苦しみに意味はあるのか。


ドビュッシーの音楽の中には魔物が棲んでいる。
そうだ 耳をそばだてているとそれがわかってくる。
ぼくは身震いしながら我慢づよく聴く。
魔物とは自意識の別名なのだ しばしばね。


電柱に質問する ちょっと笑いながら。
きみはいつから電柱なのさ
いつまで電柱してるんだね。
こたえのいらないひとりごと。

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