二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

水の来歴

2011年02月09日 | Blog & Photo
このあいだ渋川市へいったとき、ぜひ見ておきたい場所があった。
それは、利根川と吾妻川の合流地点である。
利根川、那珂川、鬼怒川、渡良瀬川、荒川、多摩川、酒匂川など、関東にはいろいろな大河がある。
利根川の支流のひとつに吾妻川があり、草津、長野原方面からやってくる一級河川で、
水量はかなり多い。
民主党政権になって、八ッ場ダム建設の取りやめ問題が急浮上し、賛成派、反対派が真っ向から対立して、大騒ぎになっている。それがこの吾妻川の中流域である。



右からくるのが、吾妻川、左が利根の本流となる。
このややすたれかけた四阿は個人所有のものらしく、西20Mばかりはなれたところに、人家が建っていた。
日本人は、いや日本人にかぎらず、人は「水辺」という景観が大好き。
夏にはきっと、ここでこの景色を眺めながら、バーベキューをして愉しむのだ。


水をめぐる争い。
近年水がたいへん貴重な国家的資源であることが、ようやく注目されるようになってきたが、農家の小せがれたるわたしは、子どものころから、水のめぐみ・・・ということに対して、敏感であったかも知れない。とくに田植え時期には、そこいら一面が、広々と水をたたえ、空を映す。



こちらは水門。
取水口ではなく、排水口のほうにある巨大な水門である。
飲料用、工業用、農業用として上流で取水された水が、また利根川へと帰っていく。



入口のこの形状はまるで船の舳先のように見える。
これだけの水門があるということは、ここからも必要に応じ、取水しているということだろう。



こちらは出口。
滔々たるたる水流は、近づいてウォッチングしていると、その勇壮な爆音を鼓膜に轟かせてくる。


水道の蛇口(水栓)をひねると、おいしい水がほとばしり出るのは、
このあたりの土地がこの水系のめぐみをうけているからである。
資源のない国というが、良質の水(淡水)は、わが国の貴重な資源である。
海外旅行へ出るとわかるが、安全でおいしい水は、日本では考えられないほど高価。

本流へともどされた水は、いずれ東京都民の飲料水になったりするのだろう。
地球規模での「水の循環」は実感しにくいけれど、
利根川水系での「水の循環」は、眼で見て、その来歴を訪ねたり、撮影したりできる。




本日、北関東は払暁から雪。
もうやんでしまって、雲間からお日様が顔をのぞかせたりしている。
つぎの一枚は高崎の「染料植物園」で見かけた福寿草。



正岡子規のこんな句を思い出した。

福寿草影三寸の日向かな
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