今日という一日（ポエムNO.2-54）

死神がやってきて
ぼくの寝顔をしげしげとのぞきこんでいる。
それを夢の中で感じながら
寝苦しい一夜を過ごした朝。

空は王侯貴族の紋章のように晴れわたり
けたたましい騎士　ヒヨドリたちが鳴いている。
軒下ではスズメどもがなにやら争い騒ぐ　騒ぐ。
地球のこちら半分にいま太陽がめぐってきた。

ぼくは起きあがってシャワーを浴び
歯を磨きながら
不機嫌な顔をして夕べの夢とおさらばする。
スペードのキングみたいな風貌がほしいとおもいながら。

記憶せよ　記憶せよ！
カメラのシャッター音が響く。
・・・・響く。
深まりゆく春のあしおと。

TVのスイッチを切ってからもう何年になるだろう。
この世に　正解はない。
ひび割れた茶碗かコップのようなものが
胸の奥にいくつかころがっていて

それにピントを合わせ　また
シャッターを切る。
私小説の作家のような気分で。
さて　さて仕事だ。

今日という一日がすでにはじまっている。