二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ことばを解き放つ(ポエムNO.3-91)

2020年07月09日 | 俳句・短歌・詩集
   (クリムトのひまわり 画像検索によりお借りしました)



ある朝 目を覚ましたら
後頭部の深いところにチェンバロのような楽器があってね
協奏曲を奏でている ヴィヴァルディの音楽みたいな。
よくあることといえばよくあることだけど。

きみのおでこに衝突した飛行船。
粉々になった船内から十九世紀の遺物が飛び散って
とてもカラフルに 庭を埋めつくす。
好きなものを選んでいいのだそうだ。

クリムトだろうがバルザックだろうが
過去の遺物には他のものにはかえられない価値がある。
その価値を知る人にとっては。
・・・酸素を活性化する チェンバロの響き。

いま書いているこの詩が
百年後二百年後まで生き延びていればいいのだけれど
そんなこと期待できないことはわかっている。
飛行船が出発するとき

だれかが積み込んでくれるかな?
そのとききみもぼくも すでにこの世にいないのだから。
バーチャルな世界でいつまでも鳴りやまぬ音楽
・・・を目指していま ささやかなことばを解き放つ。

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