
(2018年4月 前橋市)
世界はおれを待っている。
そんなことをぶつぶついいながら
墨染の衣を着た男が街角を曲がって
一昨日のむこうへ見えなくなった。
世界はあたしを待っている。
そんなことをつぶやきながら
スパンコールのドレスを着た女が
あさっての方角からやってくる。
すれ違ったとき火花が散った
だれもが日常の中で散らしている 目に見えない火花さ。
あっけにとられながらぼくは缶入りウーロン茶を飲んだ。
ついさっき自販機で買ったばかりの。
それを飲んで息をととのえながら
すれ違っていった人たちのことをかんがえた。
見とどけたい驚異は日常のうちにこそある。
それを射止めるためにカメラを持ち歩くんだ。
泥の飛沫が飛び散ったような時間が流れる。
ベンチに腰をおろしていたら猫が足許に寄ってきた。
おおそうかおまえもか そういいながら
そこにいた 猫に向かってシャッターボタンを押すのだ。
世界はおれを待っている。
そんなことをぶつぶついいながら
墨染の衣を着た男が街角を曲がって
一昨日のむこうへ見えなくなった。
世界はあたしを待っている。
そんなことをつぶやきながら
スパンコールのドレスを着た女が
あさっての方角からやってくる。
すれ違ったとき火花が散った
だれもが日常の中で散らしている 目に見えない火花さ。
あっけにとられながらぼくは缶入りウーロン茶を飲んだ。
ついさっき自販機で買ったばかりの。
それを飲んで息をととのえながら
すれ違っていった人たちのことをかんがえた。
見とどけたい驚異は日常のうちにこそある。
それを射止めるためにカメラを持ち歩くんだ。
泥の飛沫が飛び散ったような時間が流れる。
ベンチに腰をおろしていたら猫が足許に寄ってきた。
おおそうかおまえもか そういいながら
そこにいた 猫に向かってシャッターボタンを押すのだ。