二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

衰えていく方に(ポエムNO.3-19)

2019年10月26日 | 俳句・短歌・詩集
さすらってきた歳月を子どものオモチャかガラス器のように砕いて
そこから何を取り出そうとするのか。
だって衰えていく方にぼくたちの未来があるのに。
競歩しながらどこへ

どこへ向かおうとするのか この国は。
失われたニシンやクジラ
すすり泣いている海や川。
よじれた記憶が旗のように

ハタハタ ハタハタとはためいている 虚空で。
衰えていく方にぼくたちの未来がある。
未来は災厄となってこの脆弱な国土に襲いかかる。
これでもか これでもか

これでもか とね。
そんなニュース映像を見ながら
ぼくたちの明日について
少年たちは怯える。

脳の奥には夕闇が迫っている。
最果てともいえる 遠いとおい岸辺。
そこにいったい何を忘れてきたのだろう
何を忘れてきたのだろう?

ひどくあつかいにくい
多様な価値観(たぶん)というボロ布にくるまって
ぼくたちの未来がうめいている。
煮えたぎる欲望都市の向こう側は

ふかあく 深く落ち込んでいるのだ。
たとえば ブラックホールのように
たとえば さっき殺されたばかりの家畜のように
たとえば 子どもを亡くした人の悲嘆のように。

・・・ように。

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