今回のレビューは評価なし。
なぜかというと、まだ読み了えていない本についての記事となるからだ。
O・ヘンリーといえば、アメリカンショートストーリーの代表的書き手。一方のサキは、イギリス文学であるが、同じく短編小説で卓越した作品を多く遺した小説家。
O・ヘンリー:1862~1910年
サキ:1870~1916年
サキは8年遅れて生まれているが、現代と違って、ジャーナリズムはたいして発達していなかったし、ネットなどありえない時代なので、影響関係はなかったと思われる。むしろというか、むろんというか、モーパッサン(1850~1897年)は知っていただろう。“オチ”のある切れ味のよい短編を書いて、いまでも比較的よく読まれている。
チェーホフ:1860~1904年
モーム:1874~1965年
この二人も、短編の名手として世界的な名声を誇っている(^^♪
そして、やや遅れてやってきたモームのみ、長命であるが、ほかの3名は、いずれも40代で、その一生を終えている。
短篇の書き手は短命の作家が多いという俗説があるようだけれど、これで比較すると、あながち見当はずれでもないように見える。
現在までに・O・ヘンリーから10編、サキから15編読んだところ。
サキの方が、わたし的にはややおもしろいのだ。
大雑把にくくれば、O・ヘンリーはオプチミスト、サキはペシミストといえそうである。ユーモアと風刺。
O・ヘンリーでは、
多忙な仲買人のロマンス
伯爵と婚礼の客
ミス・マーサのパン
・・・あたりが秀作のマークを付した。
有名な「赤い族長の身代金」「賢者の贈り物」はたいしたことないねぇ。
一方のサキでは、
トバモリ―
・・・は傑作といっていいだろう。ほかに「スレドニ・ヴァシューター」「開いた窓」「蜘蛛の巣」「宵闇」「話上手」は愉しめた(´Д`)
残酷で意外な結末。
O・ヘンリーはどちらかというとお人好しである。そこが愛読者が多い理由になっているかもね、わたしは物足りなかったけれど。
少々強引なたとえとなることを承知でいえば、O・ヘンリーはさらりとした白ワイン、サキは渋みのきいた赤ワインといえそうだ。映画やTVがなかった時代なので、知識層のエンタメとして読まれたという要素が強い。
じつは先日、ホーソーンの代表的な短編「ウェークフィールド」「牧師の黒いヴェール」の2編を、大橋健三郎さんの訳で読んだのだが、こちらは奥行き感がすごい“純文学”といえる。合理的には割り切れない人間の苦悩を描いているからだ。それとの比較で、O・ヘンリーとサキをエンタメと呼んでいる。
O・ヘンリーは新潮文庫から小川高義さんの新訳3冊セットで刊行されている。以前は大久保康雄訳だったが、活字が小さめなので、いま読むとしたら、この光文社古典新訳文庫か、新潮文庫となるだろう。古典新訳文庫は芹沢恵訳で23篇が収録されている。
サキは岩波文庫の川田智雄訳で読みはじめたら、新潮文庫の中村能三訳には手がのびない。
文字は大きめだが、ややふやけた日本語のような気がする。
この“短編の名手”たちは、日本人でいえば、阿刀田高さん(千編を超える短編を書いたそうだが)を思い出させる。
結末のツイストが見事に決まると、つい拍手を贈りたくなる。要するに、愉しいお話の作り手として一流、それ以上の深味があるわけではない。偉そうないい方をすれば、まあ、ヒマつぶしに読まれる本であろう。
いまわたしが関心を抱いているとすれば、サキの動物を素材にしたもの。まじめなのか、ふざけているのか、どこでどういったタイミングで背負い投げを食わせるのか、それを承知の上で、白水Uブックスの4巻を買ってしまった。
1.クローヴィス物語
2.けだものと超けだもの
3.平和の玩具
4.四角い卵
なお、白水社にサキの特集ページがあるから、興味のある方はどうぞ♪
生誕150年 短編の神様だそうです。
https://www.hakusuisha.co.jp/news/n38454.html
評価:せず
なぜかというと、まだ読み了えていない本についての記事となるからだ。
O・ヘンリーといえば、アメリカンショートストーリーの代表的書き手。一方のサキは、イギリス文学であるが、同じく短編小説で卓越した作品を多く遺した小説家。
O・ヘンリー:1862~1910年
サキ:1870~1916年
サキは8年遅れて生まれているが、現代と違って、ジャーナリズムはたいして発達していなかったし、ネットなどありえない時代なので、影響関係はなかったと思われる。むしろというか、むろんというか、モーパッサン(1850~1897年)は知っていただろう。“オチ”のある切れ味のよい短編を書いて、いまでも比較的よく読まれている。
チェーホフ:1860~1904年
モーム:1874~1965年
この二人も、短編の名手として世界的な名声を誇っている(^^♪
そして、やや遅れてやってきたモームのみ、長命であるが、ほかの3名は、いずれも40代で、その一生を終えている。
短篇の書き手は短命の作家が多いという俗説があるようだけれど、これで比較すると、あながち見当はずれでもないように見える。
現在までに・O・ヘンリーから10編、サキから15編読んだところ。
サキの方が、わたし的にはややおもしろいのだ。
大雑把にくくれば、O・ヘンリーはオプチミスト、サキはペシミストといえそうである。ユーモアと風刺。
O・ヘンリーでは、
多忙な仲買人のロマンス
伯爵と婚礼の客
ミス・マーサのパン
・・・あたりが秀作のマークを付した。
有名な「赤い族長の身代金」「賢者の贈り物」はたいしたことないねぇ。
一方のサキでは、
トバモリ―
・・・は傑作といっていいだろう。ほかに「スレドニ・ヴァシューター」「開いた窓」「蜘蛛の巣」「宵闇」「話上手」は愉しめた(´Д`)
残酷で意外な結末。
O・ヘンリーはどちらかというとお人好しである。そこが愛読者が多い理由になっているかもね、わたしは物足りなかったけれど。
少々強引なたとえとなることを承知でいえば、O・ヘンリーはさらりとした白ワイン、サキは渋みのきいた赤ワインといえそうだ。映画やTVがなかった時代なので、知識層のエンタメとして読まれたという要素が強い。
じつは先日、ホーソーンの代表的な短編「ウェークフィールド」「牧師の黒いヴェール」の2編を、大橋健三郎さんの訳で読んだのだが、こちらは奥行き感がすごい“純文学”といえる。合理的には割り切れない人間の苦悩を描いているからだ。それとの比較で、O・ヘンリーとサキをエンタメと呼んでいる。
O・ヘンリーは新潮文庫から小川高義さんの新訳3冊セットで刊行されている。以前は大久保康雄訳だったが、活字が小さめなので、いま読むとしたら、この光文社古典新訳文庫か、新潮文庫となるだろう。古典新訳文庫は芹沢恵訳で23篇が収録されている。
サキは岩波文庫の川田智雄訳で読みはじめたら、新潮文庫の中村能三訳には手がのびない。
文字は大きめだが、ややふやけた日本語のような気がする。
この“短編の名手”たちは、日本人でいえば、阿刀田高さん(千編を超える短編を書いたそうだが)を思い出させる。
結末のツイストが見事に決まると、つい拍手を贈りたくなる。要するに、愉しいお話の作り手として一流、それ以上の深味があるわけではない。偉そうないい方をすれば、まあ、ヒマつぶしに読まれる本であろう。
いまわたしが関心を抱いているとすれば、サキの動物を素材にしたもの。まじめなのか、ふざけているのか、どこでどういったタイミングで背負い投げを食わせるのか、それを承知の上で、白水Uブックスの4巻を買ってしまった。
1.クローヴィス物語
2.けだものと超けだもの
3.平和の玩具
4.四角い卵
なお、白水社にサキの特集ページがあるから、興味のある方はどうぞ♪
生誕150年 短編の神様だそうです。
https://www.hakusuisha.co.jp/news/n38454.html
評価:せず