二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

昨日の風、今日の風(ポエムNO.3-01)

2018年04月05日 | 俳句・短歌・詩集
風に乗ってやってくるあまたの種子が
わが家の庭に着地する。
眼にはさだかには見えない 透明で気まぐれな運搬者よ
そして 風よ・・・風よ!

ナズナやハコベ ムラサキゴケ スミレ ホトケノザ
きみたちがどこからやってきたのか
風に訊けばわかるだろうか?
おそらく 春は風がはこんでくる。

風は大気とか空気とかと呼ばれ
あらゆる隙間を見逃さない。
すべての空間を満たす 彼らの流儀で。
人びとは大気への感謝を忘れている。

当たり前だと思っている。
この地球に大気が誕生したことによって
植物が生まれ 動物が生まれたというのにね。
大気をめぐる数十億年の歴史。

彼らは海と手をたずさえ
この地球に 巨大な循環システムを構築した。
生命という名の循環システムも
大気や海の循環の一部分。

ある日 玄関のドアを開けると
朝日を浴びたハナニラが咲いている。
「やあ どこからきたの?」
「風に訊いてよ」

風はどこからでもやってくる。
宛名のない小荷物を届けてくれる
日本列島のすみずみまで。
庭の土がそれを受けとめ 発芽をうながす。

だけど いちばん大事なのは
彼らが水の運搬者であること。
雲という現象の中で
大量の水を地表に届ける。

さあ 今日もデスクをはなれ
屋外に出よう。
空を見あげ 生き物たちを愛撫する風を素肌に感じよう。
昨日は昨日の 今日は今日の 風よ
 
風よ。

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