二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ことばの苗木(ポエムNO.3-20)

2019年11月01日 | 俳句・短歌・詩集
ことばの苗木が植えられる。
するとそれはどんどん育っていく。
仮にきみやぼくが忘れていたとしても。
いつのまにか大木になっていた

なーんてことは滅多にないが
手に負えない草むらになっていた
・・・ということはよくある。
声や音はしない。

けれど 濃密な気配が満ちている。
大勢の神々が身じろぎしているみたいに。
苗木を植えたのはだれだろう。
水をやって育てたのは

育てたのはきみでもぼくでもない。
一冊の あるいはたくさんの本の中からやってきたことば。
散歩の途中で拾ったことば。
贈答品のように知りあいからいただいたことば。

いつのまにか
軒下に置かれたプランタの縁からあふれ
記憶の路地をうめて 育っていく 
隣人を押しのけるように。

ベッドを
そこに寝ている人を乗せたままさらっていく。
これまで足を踏み入れたことのない荒野
・・・のようなところにきみとぼくは立っている。

ここはどこだろう。
そしてほんとうはきみはだれ?
際限のない そしてたいした意味のない質問。
究極の。

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