はじめて佐渡裕さんの名を眼にしたのは、高島ちさ子さんの本だった。
TVをめったに見ないわたしは「題名のない音楽会」が、まだ延々と放送されていることをさえ知らなかった。
本書も、BOOK OFFの棚に置いてあったのを、衝動買いしただけ。
ひとことでいえば、熱血漢佐渡裕のサクセス・ストーリーである。
情感が豊かであるのはわかるが、かなり一本調子。
ときに、劇画チック・・・。とわたしには感じられ、物足りなかった。
ただ、音楽学校で専門的な指揮者としての訓練をうけていない人だというのは、意外だった。クラシック音楽の世界は、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルをその頂点にして、確固たるヒエラルキーが支配するものだと思っていたからだ。
こういう閲歴の人が、指揮者のコンクールで優勝を飾るのは、奇蹟に近いだろう。そういう奇蹟の人であり、ある意味途轍もないプラス志向のキャラクターとして、
子どもや若者にアピールしそうである。
わたしは彼の音楽を聴いていないので、残念ながら、これ以上踏み込んだ批評をすることができない。
さっき、YouTubeで、急いでいでいくつかの動画をひろって眺めただけ(^^;)
佐渡さんのようなタイプは、啓蒙家としては成功しそうだなと思うけれど、中高年ウケするかどうか、そういうふところの深さを備えているのかどうか、本書を読んだだけで結論は出せない。
「若書きの一冊」・・・たとえば、小沢の「ボクの音楽武者修行」のようなものかも知れない。パッショネイトだけで人は感動をうけるものではないから、これから、指揮者佐渡裕の成熟をゆっくり待ってもいい。むろん「元気印」なだけが売りの指揮者ではないはず。
それにしても、バーンスタイン譲りのオーバー・アクションは、眺めていると、つい頬がゆるんでしまう。この底抜けともいえる楽天家ぶりは、クラシック音楽の大衆化のために、貴重なパワーとなるのだろう。放送局側は、むろんそこに眼をつけている。
しかし、音を出すのは、楽隊のほうである。眼をつぶって、音や響きをとことん味わうのがわたしの鑑賞法だった。だから、DVDは一枚ももっていないし、あまり欲しいと思ったこともない。これからさきのことはわかないけど、YouTubeがもたらす情報程度で、いまのところ十分。
さてさて――日本人の指揮者、である。
コンサートならともかく、CDとなると、手がのびないのは、わたし自身の意識がヒエラルキーに組み込まれているのだろうか。小沢が5、6枚、朝比奈が1枚。地元群響のコンサートで、高関健さんを数回。これではなさけない・・・と、われながら考えている。
「そうだ、日本人指揮者とオケをもっと聴こう」
そういう気分へとみちびいてくれる一冊ではあった。
TVをめったに見ないわたしは「題名のない音楽会」が、まだ延々と放送されていることをさえ知らなかった。
本書も、BOOK OFFの棚に置いてあったのを、衝動買いしただけ。
ひとことでいえば、熱血漢佐渡裕のサクセス・ストーリーである。
情感が豊かであるのはわかるが、かなり一本調子。
ときに、劇画チック・・・。とわたしには感じられ、物足りなかった。
ただ、音楽学校で専門的な指揮者としての訓練をうけていない人だというのは、意外だった。クラシック音楽の世界は、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルをその頂点にして、確固たるヒエラルキーが支配するものだと思っていたからだ。
こういう閲歴の人が、指揮者のコンクールで優勝を飾るのは、奇蹟に近いだろう。そういう奇蹟の人であり、ある意味途轍もないプラス志向のキャラクターとして、
子どもや若者にアピールしそうである。
わたしは彼の音楽を聴いていないので、残念ながら、これ以上踏み込んだ批評をすることができない。
さっき、YouTubeで、急いでいでいくつかの動画をひろって眺めただけ(^^;)
佐渡さんのようなタイプは、啓蒙家としては成功しそうだなと思うけれど、中高年ウケするかどうか、そういうふところの深さを備えているのかどうか、本書を読んだだけで結論は出せない。
「若書きの一冊」・・・たとえば、小沢の「ボクの音楽武者修行」のようなものかも知れない。パッショネイトだけで人は感動をうけるものではないから、これから、指揮者佐渡裕の成熟をゆっくり待ってもいい。むろん「元気印」なだけが売りの指揮者ではないはず。
それにしても、バーンスタイン譲りのオーバー・アクションは、眺めていると、つい頬がゆるんでしまう。この底抜けともいえる楽天家ぶりは、クラシック音楽の大衆化のために、貴重なパワーとなるのだろう。放送局側は、むろんそこに眼をつけている。
しかし、音を出すのは、楽隊のほうである。眼をつぶって、音や響きをとことん味わうのがわたしの鑑賞法だった。だから、DVDは一枚ももっていないし、あまり欲しいと思ったこともない。これからさきのことはわかないけど、YouTubeがもたらす情報程度で、いまのところ十分。
さてさて――日本人の指揮者、である。
コンサートならともかく、CDとなると、手がのびないのは、わたし自身の意識がヒエラルキーに組み込まれているのだろうか。小沢が5、6枚、朝比奈が1枚。地元群響のコンサートで、高関健さんを数回。これではなさけない・・・と、われながら考えている。
「そうだ、日本人指揮者とオケをもっと聴こう」
そういう気分へとみちびいてくれる一冊ではあった。