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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)6月8日(火曜日)弐
通巻第6940号
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ロシアの非ドル政策はどこまで進捗しているのか
クリミア併合、西側の制裁以後、ルーブルは紙くずに近いが。。。。
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現在、ロシアの対外債務総額は4537億ドル強で十年来もっとも低いという。
一方、ロシアの外貨準備は5610億ドルあるとされ、次の内訳だという。
ロシアの外貨準備の詳細
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ユーロ 1660億ドル
ゴールド 1280
ドル 1250
人民元 680
英ポンド 330
他 400
(数字はいずれも『モスクワタイムズ』に資料から)
ロシアはクリミア併合以後、西側の経済制裁に直面し、在米ドル資産凍結などの措置を受けているが、石油、ガスの輸出を背景に貿易は順調で、2020年の貿易総額は6875億ドルに達している。
プーチンは報復としてドル基軸決済体制からの脱却を目指すようになり、(1)ドルの比率を減らし(2)貿易決済を他の通貨に切り替え(3)SWIFTからの離脱も視野にいれるとした。
シリアノフ財務相は、いずれ外貨準備の通貨比率を人民元に重点を置くとした。因みに中露貿易は、ドル決済をユーロに大幅に切り替えている。
ロシアの貿易決済でドルは2013年に80%だった。2020年六月の統計で48%に激減していたことが分かった。そして金保有を劇的に増やしている。
ロシア通貨ルーブルは低迷し続けており、2021年6月7日時点でも為替レートは、1ドル=73ルーブル(1ルーブルは日本円で、1円50銭)。
ソ連崩壊と共にルーブルは紙くずとなって闇ドルが黄金期を迎えたが、10万ルーブル札などを発行しても追いつけず、1998年に千分の一というデノミを実行した。
2001年から新札に切り替わり、2014年にロシアは「変動相場制」に移行してきた。
冷戦時代、1ルーブルは240円(闇市場で60円)だった。ソ連崩壊とともに暴落がはじまり、筆者はこの頃、頻繁にモスクワへ行っていたが、行くたびにルーブルは60円、1円、最後は0円12銭だった。どこでもルーブルよりドルの支払いを要求された。