もう習近平は韓国を脅せない。日米韓の中国包囲網を崩すカードは台湾・尖閣侵攻のみか=勝又壽良 | マネーボイス (mag2.com)
もう習近平は韓国を脅せない。日米韓の中国包囲網を崩すカードは台湾・尖閣侵攻のみか=勝又壽良
今回、韓国企業が米国で400億ドルの投資を行なう。これで、米国の外資誘致が本格化して、米国経済を強くする。同時に、それが中国に技術的に大きな損害になることを示唆しているのだ。中国で行なわれても不思議でない韓国の投資が、米国へ流れ中国へ与える技術的なマイナス・インパクトは大きいはずだ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)
※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年5月21日号号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。
日米韓3ヶ国、結束して中国に対抗
韓国は、米韓共同声明で「台湾」と「南シナ海」に言及した。これで、米国寄りになったという一点のみが注目されている。外交的に見れば、日米首脳会談の共同声明にも盛られていたことを踏襲した。日米韓3ヶ国が、中国へ結束して対応する宣言になった意味は大きい。
これによって、中国の対外戦略が影響を受けることは確かであろう。中国の戦略では従来、韓国を脅していけば米国側へピッタリとつくことはないと見てきた。
タブーに触れてもお咎めなし
こういう経緯から言って、韓国が米韓首脳会談の共同声明で中国のタブーである「台湾」と「南シナ海」に言及した以上、さらなる「お咎め」があるという予想が一般的である。
だが、中国の公式反応はないのだ。ただ、中国外交部の「戦狼外交官」による軽い脅し程度に止まっている。
なぜ、中国政府は強い反応をしないのか。それには、裏があったのだ。
ソウルの外交関係者によると、「中国は米韓首脳会談前に共同声明について大方の内容を知らされていた」と言う。韓国政府は、中国側との事前の擦り合わせで落としどころを探ったと見られる。中国は、日米豪印4カ国の枠組みである「クアッド」について共同声明での言及を容認する一方、香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題には触れさせないように調整したというのである。これは、『日本経済新聞 電子版』(5月29日付)が報じたものだ。
この報道は、その後の中国の対応を裏付けている。日米首脳会談の共同声明では、口汚く非難したが、今回の米韓首脳会談の共同声明では、軽い「ジャブ」で済ませたからである。
韓国との交渉は「中国に筒抜け」か
このように韓国の「口が軽い」ことが分かった以上、韓国を「クワッド」に正式加盟させることは極めて危険である。特に、軍事情報が絡む問題では、中国へ筒抜けという最悪事態に陥るであろう。韓国の間諜(スパイ)まがいの行動は、黙認していると有事の際に思わぬ損害を被るはずだ。