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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)11月20日(土曜日)
通巻第7122号 <前日発行>
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何でいまごろ? ロシア、自国民避難のためカブールに輸送機
タリバン政権は機能しておらず、ISのテロで治安も深刻に悪化
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11月18日、プーチン大統領はショイグ国防相に対し、アフガニスタン・イスラム共和国の領土から、ロシア連邦とCSTO加盟国(ベラルーシ、キルギス、アルメニア)の人々の避難を命じた。
ロシアは航空宇宙軍の輸送機3機をアフガニスタンに飛ばした。カブールなどに残留していたロシア人380人を避難させるためである。
カブール陥落から三ヶ月、自信を持ってロシアはアフガニスタンに残留させていたのではなかったか。
経過を思い起こせば、8月15日にタリバンはカブールを包囲した。米軍の予測よりタリバンの攻勢は迅速だった。在カブールの米国大使館に陸続とヘリコプターが着陸、外交官が機密文書を慌ただしく処分した。
アフガン内務省はガニー大統領が国外に脱出したことを確認した。
米国の傀儡だったガニー政権は崩壊したが、アフマド・マスードらはパンジシール渓谷に健在で降伏の意思を示さなかった。
9月11日、撤退完了予定を前倒しして、米軍は8月30日にアフガニスタンからの撤退作戦を終えた。翌日、バイデン大統領は国民向けの演説で戦争終結を宣言。即座にタリバンは勝利を宣言した。
けっきょく、アフガニスタンでの死者は17万1,000〜17万4,000人に及び、加えて疫病、食糧不足、水の欠乏などによる間接的死者の数は不明である。
加えて260万人のアフガニスタン人が難民としてパキスタンやイランに逃れている。一説には、このほかに400万人のアフガニスタン人が国内難民となっているという。
ロシアは医療品や食糧などを往路の航空機に詰め込んで、おそらくそのバーターでロシア人避難をタリバン政権に認めさせたのではないか。というのも、タリバンの統治能力に限界があり、ISがテロを繰り返して以前より治安は悪化しているからだ。おまけにアルカィーダは不気味な沈黙を続けている。