ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

涙のNZ国際映画祭

2024-08-14 | 映画・文化
今年もNZ国際映画祭が始まり
今日はシビックで2本立て



1本目『Ryuichi Sakamoto |
Opus』
は昨年3月に逝去した
坂本龍一の最期のピアノソロ
コンサートのモノクロ映画。


NHKでこの撮影の特集番組を
見ていたので、ぜひ観てみた
かった作品。全幅の信頼を寄
せていたという坂本氏の実子
で映像作家の空音央氏が監督


色彩も照明も削ぎ落した中で
ピアノと一体化した渾身の演
奏。時に軽く時に重く、間違
い、行きつ戻りつ、たびたび
休みを挟みつつ、命の灯を燃
やしながら続けられた撮影。


モノトーンの空間に流れる美
しいピアノのなんと温かく、
華麗で、切ないことか。台詞
も表情もほとんどない中、じ
っと見つめるカメラの中にほ
んのわずかな微笑みを見つけ
たときの安堵と救済たるや。


自ら選曲した20曲で50年の偉
業を振り返り、そのすべてが
Ars longa, vita brevis
芸術は長く、人生は短し

と嘆いた本人へのレクイエム


最後2曲Merry Christmas Mr.
Lawrenceと映画のタイトル
曲Opusは昇華と呼ぶに相応
しい、天の高みを感じる音色


103分間、ただただ氏の映像
と演奏が流れる構成ながら、
あちこちですすり泣きも漏れ
心揺さぶられる作品でした。


2作目はラトビアの若きアニ
メ作家ギンツ・ジルバロディ
スの『フロー』。黒猫飼いの
身でこの目に抗えるだろうか



大洪水で人類が絶滅したこと
を暗示させる豊かな自然の中
終末観漂うすべてを呑み込む
壊滅的な大洪水が押し寄せ、
ヒトが残した小舟に偶然乗り
合わせた黒猫、カピバラ、キ
ツネザル、大きくても子犬ら
しいラブラドール、鳳凰のよ
うに神々しい白い大きな鶴の
ような鷺のような想像上の鳥

自然界なら決して居合わすこ
とがない生き残った生き物が
ノアの方舟を再現し、過酷な
自然の脅威と諍いを切り抜け
力を合わせて生き延びる物語


緑の中を駆け抜ける黒猫の艶
やかな美しさや、心を鷲づか
みにされる鳴き声。台詞が一
切ない中で彼らの声が切ない


監督は相当な猫好きと見た


これもハンカチで目をぬぐう
人もいて涙、涙の1本でした。


映画のせいで夜ごはんがすっ
かり遅くなってしまったクロ

目も開けられないほど爆睡中



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