フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

8月3日(日) 晴れ

2008-08-04 03:39:24 | Weblog
  今日は昨日よりもさらに蒸し暑かった(いまも蒸し暑い。熱帯夜だ)。よっぽど書斎のクーラーのスイッチを入れようかと思ったが、辛うじて思いとどまった。節電のためではない。健康管理のためである。書斎の内外、自宅の内外、その温度差が大きくなるほど自律神経が変調をきたすリスクは大きくなることが経験的にわかっている。このリスクを冒して書斎のクーラーのスイッチを入れるのは、原稿の執筆のときだが、いまはまだそのときではない。この夏の執筆予定は、ブックレットを一冊と論文を一本、合わせて200枚ほどである。それ以外の仕事としては、後期の授業のための仕込み(読書)、基礎演習の夏の課題についての指導(メールで)、卒論演習(合宿)、現代人間論系の来年度の時間割の下案作り、ライフコース・アーカイブ研究所の資料作り、『社会学年誌』50号の編集、大田区男女共同参画推進プランの点検、某財団の申請書類の審査、そんなところだ。「夏休み」のつもりでいたが、必ずしも「休み」ではない(でも授業と会議がないのはやはり嬉しい)。長いようで短い夏休み。小学生の夏休みの宿題のように終わり間際になってあくせくしないように段取りよく片付けていかなくてはならぬ。

         
                     お冷は欠かせない

  夜、家族と「鈴文」へ行く。カウンターもテーブル席も客で一杯だ。みんな店舗の移転が近いことを感じているのだろう。他の客と相席でテーブルに着く。注文してから30分ほど待つ。老舗の鰻屋みたいだ。おかげで腹ペコになり、とんかつ定食をいつも以上に美味しく食べることができた。塩とレモン汁で2切れ、醤油で2切れ、とんかつソースで2切れ。今日はいつもより肉が厚い気がした。息子もそう言っていたから気のせいではないと思う。口を大きく開けるのが苦手なので(上品ぶっているわけではなくて、顎の関節の問題なのだ)、今日の肉は縦(厚味のある方)でなく横にしないと口に入れにくかった。そんなに厚味のある肉なのに、揚げ加減は絶妙で、柔らかく、肉汁があふれている。至福のひと時だ。
  食後、家族は帰宅したが、私は有隣堂へ寄って以下の本を購入し、昨日と同様、「カフェ・ド・クリエ」で読む。

  貫井徳郎『追憶のかけら』(文春文庫)
  『将棋世界』9月号

  『追憶のかけら』は600頁を越える大部のミステリーで、購入しようかどうしようか迷ったが、解説を池上冬樹が書いていることが購入の決め手になった。彼のミステリー評は信用できる。『将棋世界』9月号は巻頭で羽生名人のインタビュー記事が載っていたので、立ち読みではなく、購入することにした。将棋道場へ行かなくなってずいぶんになるので、現代の最前線の将棋の戦法にめっきり疎くなってしまった。羽生名人の話を聞いて、ますますその思いを強くした。

  「いまの将棋は相手の出方次第になっています。(最初から)居飛車でいくとか振飛車でいくとかいう意思はあまりなくて、相手の出方を見てから考えましょうと。それより、角交換の将棋が多い、ということも大きな傾向です。
  手損の違和感もなくなりました。角交換の将棋は手詰まりになりやすいのですが、手詰まり気味になると手損は関係なくなりますから、そういう意味で、手損のアレルギーがなくなっています。その結果、とても分りにくくなっています。
  作戦的にも、最初からものすごく練っていることが多くなりました。練って練って、2手目や3手目から指していく。どういう出だしになるか予想がつきませんから、最初から緊張します。それは私がプロ棋士になった時代と一番違うところかもしれません。
  たぶん、手数としては長くなってはいないと思うんですよ。でも、ほんとうに考えなければならない局面が早い段階から来るので、考える量は今の将棋のほうが多いかもしれません。たとえば、居飛車対振り飛車の定跡形で、オートマティックに30手くらい進み、残りの70手で戦う将棋と、最初の10手目から勝負どころを迎えて90手で終る将棋を比べると、手数は短くなっても、実際に読む量は増えています。そういう意味では大変かもしれない。」(12-13頁)

  確かに大変そうだ。もう実戦の世界には戻れそうもない。いまの引用、将棋を知らない方にはちんぷんかんぷんであったことと思う。すみません。ついでにもう一つ、知らない人にはちんぷんかんぷんの話をすると、今日、仕事の合間の息抜きに、コンピューターの麻雀ゲームをしたら、親のときに四喜和(役満)を上がって、東場だけで9万5千2百点まで行った。あともう一息で10万点だったのだが、それを意識してしまい、手が縮んでしまった。麻雀ももうずいぶん長いこと人間相手に打ってないな。