フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月30日(土) 晴れ

2006-09-30 23:00:56 | Weblog
  後期初日。でも、どうして後期初日が土曜日なのであろう。切りが悪いではないか。月曜日(10月3日)からスタートすればいいのにと思う。2限(社会学基礎講義B)と3限(社会学研究10)の授業。板書するときに肩が痛くなったら困るなと心配していたが、幸いそういうことはなかった。でも、暑かった。冷房を入れて授業をした。
  午後3時から『社会学年誌』の編集委員会。査読者から送られてきた結果をもとにして、投稿論文の一次審査。
  編集委員会を終えて研究室に戻ると、卒業生のSさん(先日、結婚式への出席をメールで打診された)がドアの前で待っていた。最初は研究室で、途中から場所をカフェ・ゴトーに移して、お相手の方のことなどあれこれ話をしてくれた。Sさんは学生時代から落ち着いた思慮深い印象を人に与える女性だったが、卒業後の歳月の中で、自分の決めた道をしっかりと歩いているという静かな、けっしてひけらかしたりすることのない自信の表情がそこに加わったようである。先日のフィールドノートでSさんのことを「眼鏡がお洒落な女子学生」歴代ベスト5に入ると書いたが、いまはコンタクトを常用しているSさんは、それを読んで、今日はわざわざ学生時代に掛けていたのと似たデザインの眼鏡を掛けてきてくれたのであった。
  午後6時から、38号館AV教室で、文化構想学部夜間特別枠入試の説明会。たくさんの来場者あり。全体的な説明の後、6つの論系ごとに個別相談会を実施する。現代人間論系からは私と大藪先生が相談員として参加。やっている本人は気づかなかったが、現代人間論系が一番人が多かったようである。ただし、相談件数=人気度というわけではないだろう。内容が分かりにくいから相談が多かったのかもしれない。謙虚に、コツコツとやっていこう。

9月29日(金) 曇り

2006-09-30 02:19:54 | Weblog
  肩凝りに加えて右肩から右手の指先にかけてピリピリした感覚があるので近所の整形外科に行って診てもらった。たぶん頸椎から来ているものでしょうと、頸のレントゲンを撮ってみたら、やはり頸椎の何番目かの間が狭くなっていて、それが神経を圧迫しているのですとのこと。人類が直立歩行を始めたのがそもそもの原因で、私の頭が人並み以上に大きい(重い)のが直接の原因である。湿布と塗り薬、末梢神経の働きをよくする飲み薬(ビタミンB12)と筋肉のこわばりを緩和する飲み薬を処方され、肩凝り予防の運動の仕方が写真で説明されているパンフレットをもらう。いずれも対処療法である。だましだましやっていくしかない。
  薬局で薬をもらってから、駅の方へ昼飯を食べに行く。「とん清」で今シーズン最初の牡蠣フライでもと思ったのだが、まだメニューに出ていなかったので、海老フライ定食を注文する。大きな海老フライが2本、サックリと揚がっていて、旨い。「とん清」ではトンカツと牡蠣フライをよく食べるのだが、たまに海老フライも悪くないと思った。実は、「とん清」で一番高いメニューは海老フライ定食なのである。栄松堂で以下の本・雑誌を購入。

  湯沢雍彦編著『少子化をのりこえたデンマーク』(朝日選書)
  『東京人』230号(特集:昭和30年代、東京)
  『東京人』200号(特集:東京からなくなったもの)
  『旅の手帳』増刊「駅弁万歳!」
  『散歩の達人』テーマ別ムック「50歳からの東京散歩」

  肩が凝ると買う本までなんだか年寄りくさくなる。シャノアールで持参した論文に目を通す。帰宅して妻に今夜のメニューを聞いたところ、麻婆豆腐を考えているようだったので(まだ取りかかっていない)、「豚汁と刺身が食べたいな」とリクエストをしたら、「じゃあお刺身を買ってきて」と言われ、近所の魚屋とスーパーを回って、鰺のたたき、中トロ、鰹のたたき、いくらを買ってくる。ちょうど母が町内の日帰りバスツアーから帰ってきて、生椎茸をお土産にもらったので、バター焼きにして醤油で食べた。
  夜、明日の授業の準備。ああ、本当に夏休みは終わってしまったのだ。でも、ガッカリするのはよそう。10月1日から秋休みが始まるのだから(嘘です)。

          
                 宵闇の女塚通り商店街

9月28日(金) 晴れ

2006-09-29 02:56:21 | Weblog
  午前、妻が化粧を始めたので、「どちらへ?」と尋ねたら、本日オープンのラゾーナ川崎プラザを見物に行くというので、私も一緒に行くことにした。川崎駅の改札を出て、コンコースを左(西口方面)へ歩くと、そこがもうラゾーナの2階入口で、たくさんの人が吸い込まれていく。

      
                 人みなラゾーナをめざす

  まずは1階の丸善へ。書店はビルの上の階にあるのが普通だが、ここでは1階にあるのだ。通路を隔てて生鮮食品売り場と隣り合っている。一見、不釣り合いな感じもするが、新鮮なコントラストだ。身体の養分と精神の養分の売り場だ。手帳(日垣隆イチオシの高橋書店の「リシェル3」)と、井上章一『夢と魅惑の全体主義』(文春新書)を購入。開店記念のオリジナルのメモ帳をもらった。意図したわけではないが、手帳は文具コーナーで、書籍は書籍コーナーで別々に支払いをしたので、メモ帳も2冊もらえた。なんだか得した気分。妻もボールペンを一本購入しただけなのにメモ帳をもらえて喜んでいた。
  続いて、2階・3階のファッション売場を見て回る。ほとんどがレディスとキッズの店で、私はただ妻の後をついて歩くだけ。男にとって一番疲れる時間だが、私はもっぱら店員さん(女性)と客(女性)を眺めていて、飽きることがなかった。こういうところの店員さんだから当然と言えば当然だが、みんなファションセンスが素晴らしい。一方、客の方は、ファッション雑誌から抜け出してきたみたいな感じの人から、「私、人からどう見られようが、全然気にしてませんから」みたいな感じの人まで、極端な差がある。もしかして、後者は、私が知らないだけで、「私、人からどう見られようが、全然気にしてませんから」をコンセプトにしたファッションなのかもしれない。

          
              人間を見ていると飽きることがない

  お腹が空いてきたので、4階のレストラン街に行ってみたところ、どの店も行列ができていたので、昼食は別のところで食べることにして、1階に戻り、無印良品とロフトを見て回る。無印良品は蒲田の駅ビル(サンカマタ)にも入っているが、売り場面積が全然違う。文房具を数点購入。ここの開店記念品は「無印良品」と印刷された付箋(メモ)。表紙だけでなく、なんと付箋の一枚一枚に「無印良品」と印刷されている。これじゃ使えんでしょ…。ロフトでは前から欲しかったノートに装着して使うペンホルダー(680円)を購入。しかし、ここでは一定の購入金額(2000円だったかな)を越えないと記念品(オリジナルのビニールバック?)はもらえないシステムだった。
  ラゾーナは5階まであって、5階はスポーツジムとシネコンが入っている。スポーツジムは内部が見学できるとのことだったが、今日はこれくらいにしておこうといういことになり、鼓月の和菓子の福袋をお土産に買って、東口の駅ビル(BE)地下1階のラーメン街にある「大山」(だったかな?)という店で塩バターラーメン(ニンニク入り)を食べて、帰ってきた。
  夜遅く帰宅した娘に、丸善でもらったメモ帳を一冊あげたら、「これって、夏目漱石が特注で作らせた原稿用紙のデザインだよね!」と言って喜んでいた。

          
            うち中大喜びの丸善オリジナルのメモ帳

9月27日(水) 曇り一時雨

2006-09-28 01:59:37 | Weblog
  午前9時から大学院の修士課程の二次試験(面接)。昼休みの時間を使って社会学専修の教室会議。「たかはし」の二重弁当をひさしぶりで食べる。午後1時から今度の土曜日の夜に予定されている文化構想学部夜間特別枠入試説明会のための準備。午後2時から新学部の基礎演習の教本についての打合せ。午後3時半から早稲田祭2006の企画の相談を学生から受ける。公開授業の件、引き受ける。小腹が空いたので文カフェでざるそば(294円)と揚げ茄子(126円)を食べる。合計420円也。文カフェのざるそばを食べたのは初めだが、けっこう食べられる。午後5時から再び新学部の基礎演習のワーキング・グループの会合。時間が取れず欠席した会合2件。ああ、肩が凝る。

          
             研究室にまた通う日々となりにけり

9月26日(火) 雨

2006-09-27 02:05:22 | Weblog
  志賀直哉に「豊年虫」(1929年)という作品がある。例によって話らしい話のない小説のような随筆のような短篇だが、私はこの作品が好きである。

  「信州戸倉温泉に来てもう七日になる。私はそれまで家族と浅間山に近い千ヶ滝にゐたが、書きかけの小説が出来上がらなかつたので、家族は東京の両親の方へやり、自分だけこの戸倉へ来て、先を続けることにした。今までの賑やかだつたあと、急に独りになると、その静けさが退屈となり却つて時間を持ちあつかうことがあつた。
  書いて疲れる。湯に入る。寝ころんで本を読む。それでなければ、散歩する。散歩といつても、アカシヤの生えた千曲川の堤を上山田まで行き、それから湯宿の軒を並べた道を又戸倉まで引返して来るのだが、その間、二十分とはかからず、帰つても歩いて来たといふほどの気がしなかつた。」(『志賀直哉全集』第6巻、80頁)

  志賀が自作について解説というかコメントを述べている「続創作余談」(1938年)の中で、この作品について、「『豊年虫』は『邦子』を書き上げ、やれやれとくつろいだ時の自分の状態を書いたものである」と述べている。私が「豊年虫」が好きな理由がまさにこの「やれやれとくつろいだ」感じにある。
  たっぷりあると思われた夏休みもとうとう終わる。30日の土曜日が私にとっての後期最初の授業日である。明日は朝から夜まであれこれの(なんと7つも!)会議や面談が隙間なく入っている。この夏休みは「書いて疲れる。湯に入る。寝ころんで本を読む。それでなければ、散歩する」という戸倉温泉における志賀直哉的毎日を意識して心掛けてきたが、スイッチを切り替えなければならない。
  ちなみに豊年虫とは蜉蝣(かげろう)の別名である。それの多い年は作物の出来もよいのだという。