フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月30日(日) 晴れのち曇り、一時雪がぱらつく

2011-01-31 00:03:43 | Weblog

  8時半、起床。アップルパイと紅茶の朝食。鞄に村上春樹『雑文集』と瀬尾まいこ『おしまいのデート』と手帳を入れて昼前に自転車に乗って家を出る。散歩の帰りに梅屋敷商店街のペットショップで猫のトイレの砂を買ってきてと妻に言われたので、徒歩でなく、自転車に乗っていくことにした。
  先ずは「薫風」で昼食をとる。本日のランチのハヤシライスを注文。『雑文集』を読みながら待っていると、ハヤシライスが運ばれてきた。ライスにハッシュドビーフがかかっている普通のハヤシライスを想像していたら、そうではなかった。いかにも「薫風」らしいハヤシライスである。

  食事を終えて、「甘味あらい」へ。今日は冷える。自転車を漕いでいるから余計にそう感じる。暖簾をくぐると、まだ1時になっていなかったが、もうけっこうな数のお客さんが入っている。席について、品書きを眺め、あん豆寒を注文する。あんこは漉しあんと粒あんどちらにしようかと考え、主役の豆(赤エンドウ豆)と競合しないように漉しあんにしようと決めたが、「あんこはどちらになさいますか?」とは聞かれなかった。あんみつはチョイスできるが、豆寒はどちらかに決まっているようである。どっちなのだろうとドキドキしながら(ちょっとオーバー)待っていたら、漉しあんがのった豆寒が運ばれてきた。ピンポーン、と頭の中でチャイムが鳴った。やっぱり豆寒には漉しあんが合うんだ。それにしてもこの豆寒は美味しい。豆はふっくらと柔らかく、噛むとほのかに塩味がする。それを黒蜜のたっぷりかかった寒天と一緒に口に運ぶと、実に味わい深い。あんなしの豆寒でも十分美味しいと思うが、そこに滑らかな食感の漉しあんが加わることで、弦楽四重奏(あん、豆、寒天、黒蜜)的作品に仕上がっている。すべて自家製。「甘味あらい」の真骨頂といってもよいのではなかろうか。

  珈琲を追加注文して、短編集『おしまいのデート』の表題作を読む。瀬尾まいこらしいふっくらと柔らかな、噛みしめると少しの塩味のする、「甘味あらい」の赤えんどう豆のような作品である。会計のとき、奥さんから「奥様の具合はいかがですか?」と聞かれた。ブログを読んでくださっているのだ。はい、お蔭様で、回復期にありますと答えてから、「豆寒、美味しいですね」と言うと、「初めてのご注文ですね」と言われた。はい、一度、間違って(店内では注文できない)抹茶豆寒を注文してしまったことはありますが、あん豆寒は初めて食べました。フルーツやアイスクリームといった華やかな共演者はいませんが、実に味わい深い一品でした。「けっこうはまる方が多いんですよ」と奥さんはニッコリして言った。確かにこれははまりそうである。

  自転車を漕いで梅屋敷商店街のペットショップに行き、猫のトイレの砂を2袋購入。店内にはさまざな小鳥たちがいたが、入口の引き戸が開いたままになっていて、そこから冷たい空気が入ってくるのだろう、みんな身を硬くして目を閉じていた。戸を閉めてやって、しばらくしたら、みんな活発に動き始めた。
  帰宅して、少し休んでから、ジムへ行く。家を出るとき、雪がちらほら舞い降りてきた。寒いはずだ。今年ようやく2度目のジム。筋力が落ちているのは明らかなので、負荷と回数を少なくして筋トレを2セット、有酸素運動はいつもどおり35分。中華料理店「歓迎」で夕食用に焼き餃子を8人前買って帰る。


1月29日(土) 晴れ

2011-01-30 10:39:48 | Weblog

  8時半、起床。妻の身体の具合は、タミフル+ロキソニンが効いて、だいぶ楽になっているようだ。昼過ぎに家を出て、大学へ。昼食は「鈴文」で。ランチのとんかつ定食(950円)ではなく、普通のとんかつ定食(1300円)を注文する。肉は200グラム(ランチは150グラムで、特製ロースかつは300グラム)。私にとって過不足のないボリュームである。塩とレモンで2切れ、醤油で1切れ、とんかつソースと辛しで3切れ、最後の一口まで肉の旨さを味わいつつ食べた。ごちそうさまでした。
  2時半から日本社会学会大会(今年の9月に早稲田で開催される)の準備委員会。早稲田大学のあちこちの学部に所属している社会学の教員が集まり、あれこれの仕事の分担を決める。
  2時間ほどで終り、その後、教務室で7時頃まで雑用。あゆみブックスで、以下の本を購入。

  村上春樹『雑文集』(新潮社)
  瀬尾まいこ『おしまいのデート』(集英社)
  柴田元幸責任編集『モンキービスネス』12号

  村上春樹が読者から、就職試験のときに「原稿用紙4枚で自分自身について説明しないさい」という問題を出されて苦労したが村上さんだったらどうしますかと尋ねられて、自分自身について原稿用紙4枚で書くことは困難であったとしても、牡蠣フライについてなら可能なのではないかと答えている。

  「あなたが牡蠣フライについて書くことで、そこにはあなたと牡蠣フライのあいだの相関関係や距離感が、自動的に表現されることになります。それはすなわち、突き詰めていけば、あなた自身について書くことでもあります。それが僕のいわゆる『牡蠣フライ理論』です。今度自分自身について書けと言われたら、ためしに牡蠣フライについて書いてみてください。もちろん牡蠣フライについてじゃなくてもいいんです。メンチカツでも、海老コロッケでもかまいません。トヨタ・カローラでも青山通りでもレオナルド・ディカプリオでも、なんでもいいんです。とりあえず、僕が牡蠣フライが好きなので、そうしただけです。健闘を祈ります。」(22頁)

  これはサルトルが『嘔吐』の中で言っていることと同じである。「一番いいのは、その日その日の出来事を書くことだろう」。主体を客体化する(描写する)ことは不可能だが、主体が認識したものについて書くことは間接的に主体について書くことである。まあ、わざわざサルトルを持ち出すまでもなく、われわれが日頃、「文は人なり」と言っているのはそういうことである。だから今日も私は「鈴文」のとんかつについて書くわけである。ちなみになぜ村上春樹は牡蠣フライを例に出したのか。「僕が牡蠣フライが好きなので、そうしただけです。」と彼自身は説明しているが、それは意識レベルの説明で、おそらくは「牡蠣」=「書き」という作家ならではの連想が働いているに違いない。「フライ」は「揚げる」であるから、「牡蠣フライ」=「書き上げる」ということであり、原稿を書き上げたときの満ち足りた気持ちがここには重ねられているのである。

  「僕はそれを静かに口に運ぶ。ころもと牡蠣が僕の口に中に入る。かりっとした衣の歯触りと柔らかな牡蠣の歯触りとが、共存すべきテクスチャーとして同時的に感知されると、僕は今幸福であると感じる。僕は牡蠣フライを食べることを求め、そうしてこうして八個の牡蠣フライを口にすることができたのだから。そしてその合間にビールを飲むことだってできるのだ。そんなものは限定された幸福にすぎないじゃないか、とあなたは言うかもしれない。しかし僕がこの前限定されていない幸福に出会ったのはいつだったろう? そしてそれは本当に限定されていなかっただろうか?」(31-32頁)


1月28日(金) 晴れ

2011-01-29 02:46:25 | Weblog

  妻がインフルエンザにかかった。昨夜、帰宅したら妻がもう寝ている。数日前から咳と喉の痛みがあって耳鼻科にかかっていたのだが、今日は熱が出て身体の節々が痛むのだという。今朝、症状はあいかわらずだったので、私が以前医者からもらって余っていたロキソニンを飲んだら、痛みの方は楽になったので、もうしばらく寝たら、改めて医者に行ってみると妻は言った。
  11時に家を出て、大学へ。12時から本部で芸術学校の管理運営委員会。会議が始まる直前にケータイが振動して、妻からメールが届く。「インフルエンザでした」。実は教務の同僚で私と机を並べている小林先生が先日インフルエンザにかかった。う~む、私が発症するのは時間の問題ではなかろうか。
  戸山キャンパスに戻って、1時から教務事務連絡会。3時からが面談を一件。その後、再び本部へ行き、教務担当教務主任会。引き続いてファカルティ・ディベロップメント推進委員会。
  6限・7限は合同ゼミ。いつもの教室ではなく、もう少し広めの教室を借りて、ゼミ懇親会。2年生の新人ゼミ生(3期生)にも声をかけて、授業やアルバイトと被っていない10名が参加。「maruharu」のサンドウィッチとガトーショコラ、デリバリーのピザ、オードブル盛り合わせ、おにぎりなどの軽食とソフトドリンク。なかなか楽しい会であった。

   10時半、帰宅。妻は薬で身体の痛みは楽になったとのこと。ピークは3日間くらいと聞いているから、明日、明後日安静にしていれば回復に向かうだろう。妻が立ち直る頃、私がダウンするのだろうか。いや、もしかして、12月中旬の発熱(38.8度)と身体の痛み、あれはインフルエンザだったのではないか。そうだとすれば、私は免疫がついているはずなのだが・・・。


1月27日(木) 晴れ

2011-01-28 15:40:02 | Weblog

  8時半、起床。味噌汁に卵を落として半熟になったところでご飯の朝食。数ある味噌汁の具の中でも半熟卵というのはランクが高い。ブルグの更新をして、何本かのメールを書く。
  11時に家を出て、母と鶯谷の菩提寺に行く。新年のお参りがまだだったのだ。菩提寺である泰寿院は最寄の駅は鶯谷で、住所は下谷である。小沼丹は下谷の生まれだったはずだが、生家はもうないのだろう。

  お参りをすませて、昼食は近くの蕎麦屋「川しま」でとる。天せいろを注文。「五郎八」の天せいろは1500円だが、ここはそれよりも1000円高い。しかし、それだけの値打ちはある。天ぷらの揚げ加減がいい。こんなにカラリと揚がっていると汁につけるのがもったいない。全部、塩でいただく。蕎麦もすっきりした味わい。最後の蕎麦湯もヌルヌルした感触がなくとてもまろやかだった。

  これから浅草を歩いてみるという母とは鬼子母神前のバス停で別れて、私は大学へ。途中、丸の内の丸善に寄って、娘に頼まれていたモールスキンの小型版の一日一頁タイプのスケジュール帳(50%オフ商品)を購入。モールスキンは高いが、それだけに、50%オフだと買おうかという気分になる。私も同じもので色違いを購入。何に使うのか? それはあとから考えればよろしい。
  4限は大学院の演習。最終回なので、「西北の風」でケーキと珈琲。Sさんが言った、「先生は話がしやすいです。中性的な感じで」。えっ? いま、「中性的」って言った? そんなことを学生から言われたのは初めてである。「気さく」だとはよく言われる。だからSさんがそれと同じことを「中性的」という言葉(ただし誤用)で表現しようとしたのではないかと思うが、もしそれが言葉の誤用ではないとすれば、「おじさんのおばさん化」ということであり、反省してみる必要のある事態である。

  6限の授業の前に「maruharu」で早めの夕食をとる。6限は「ライフストーリーの社会学」のテスト。受講生198名中出席は170名。ABCの3題の中から一題を選択して答える形式。Aはテキストの最初の章に書いてあることと対応しているから、いってみれば、サービス問題である。ただし、難度は低いからこれで「A+」をとるのはむしろ大変で、「A+」を狙いたい人はBやCの問題にトライすることを勧める。そういうアナウンスした後で教室を回ったら、けっこうBやCを選択している学生が多かった。その意気やよしと思ったが、もしかしたらテキストをちゃんと読んで来ていなくて、Aがサービス問題として機能していない可能性もあるなと思った。どっちなんだろう。

  試験が終わり、大学を出たのが8時ちょっと前。ちょうどいいタイミングだったので、飯田橋で地下鉄を降りて、ギンレイホールで8時10分から始まる『闇の列車、光の旅』を観ることにした。ホンジェラスからアメリカ合衆国(ニュージャージー)への不法入国をめざす人々の話。なかなか見ごたえのある映画だった。主演の若手女優(メキシコ人)は、ペネロペ・クルスがデビューしたときみたいなインパクトがある。  


1月26日(水) 晴れ

2011-01-27 10:13:42 | Weblog

  7時半、起床。ゆで卵とサラダとパンの朝食。9時前に家を出て、大学へ。10時から来年度文化構想学部に入学予定の早稲田実業高校の生徒たちの面接。早実が男女共学になってから8年になる。お昼は支給されたお弁当を食べる。


けっこうなボリューム

  1時からカリキュラム委員会。3時ごろに終り、昨日同様、「フェニックス」に珈琲を飲みに行く。4時半から人事委員会。6時過ぎまでかかる。
  今日は水曜日なので、いつもであれば、弁当を食べながら教務的会議があるところなのだが、みなさんお疲れだろうということで、今日はなし。う、うれしい。う、うれしい(うれしさのあまり二度書いてしまう)。事態が変わらないうちにサッサと帰ることにする。
  妻は恐らく夕食の準備をしていないであろうと思い、電話をしようとしたら、ケータイがバッテリー切れになってしまい使えない。改めて周囲を見回すに公衆電話というものはもう見当たらない。「屏南」で食事をとることにする。葱チャーシュー麺と餃子を注文。普通は葱チャーシュー麺のみだが、早く帰れるうれしさに餃子も注文してしまった。

  丸善に立ち寄り、文房コーナーを覗いたら、モールスキン(最近は「モレスキン」と表記するのだろうか)の大判(A4)ハードカバーのヴァーチカルタイプのスケジュール帳が50%オフで売られていたので、思わず購入してしまう。A4判であるから見開きA3版である。普段、小さなスケジュール帳にちまちま書いているだけに、ゆったりとしていて気持ちがいい。オーケストラの指揮者がシンフォニーの楽譜を広げたときみたいな気分だ。「さあ、どんな一週間を奏でよう」みたいな。ハードカバーというのもいい。最近のモールスキンは、日本仕様なのだろうか、ソフトカバーの商品が目立つが、モールスキンとしてのアイデンティの喪失としか思えない。やっぱりモールスキンはハードカバーでなければ。

  買物を終え、店内のカフェで一服。アフターファイブの時間があるというのはいいものである。閉店時間の9時近くまで滞在。これでも普段の水曜日であればまだ会議が続いている時間帯だ。9時半、帰宅。風呂を浴びてから、明日の授業で行う試験の問題を作成する。ラジオから「ジェットストリーム」の大沢たかおのナレーションが聴こえている。ラジオはたいてい東京FMを聴いてる。年末に安売り店で購入した昔ながらのラジオである。これがなかなかいい。音質ではなくて雰囲気がいいのだ。小雀もラジオから音楽が流れてくるのは嫌いではなさそうだ。


夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは
遠ざかるにつれ次第に星のまたたきと区別がつかなくなります