フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月30日(金) 晴れ

2011-12-31 02:30:40 | Weblog

  9時、起床。大晦日をバタバタしないためには、正月を迎えるための準備は、今日、終らせなくてはならない。

  午前中に門扉に門松を立てる。

  朝食兼昼食は中華饅頭(あんまんと肉まん)。

  昨日に続いて書斎の片付けをしていたらあっという間に夕方になった。プリンターの使い終わったトナーをラオックスに引き取ってもらいに行く。帰りに無印良品でスタンドファイルボックスを2つ購入。机上の書類の山をそこに移す。

  あれもこれもホイホイごみ箱に捨てていたら、うっかり昔の写真の束も捨て居るところだった。妻が気づいて、拾い上げてくれた。下の子(長男)が生まれた頃の写真で、上の子(長女)の幼稚園の運動会や下の子のお宮参りの様子が写っている。時代は1988年。バブル景気の頃である。私は34歳で、妻は28歳だった。あれから23年が経って、長男はいま大学院の1年生である。光陰矢のごとし。

 

  夕食はすき焼。我家は、毎年、12月30日はすき焼、31日は天ぷら蕎麦と決まっている。今日の朝食を抜いたのはすき焼に備えて一日の摂取カロリーを調整したのである。牛肉は100グラム1000円のものを800グラム用意した。割り下は「今半」のものを使ってみた。他のメーカーの倍くらいの価格だがそれだけのことはある。長葱はもちろん下仁田葱である。卵はご近所でいただいた黄身のしっかり盛り上がるもの。これだけそろえば美味しいに決まっている。4人で800グラムの肉を平らげた。デザートはシブースト。

  明日は大晦日。近所の神社への初詣のときにオリオン座がよく見えるだろう。


12月29日(木) 晴れ

2011-12-30 02:25:46 | Weblog

  8時、起床。パンとチーズと紅茶の朝食。

  事務所の派遣職員のOさんから退職の挨拶のメールが届く。そうだったのか、知らなかった。数日前に事務所に顔を出したときに言ってくださればお顔をみて御別れの挨拶ができのにと思う。総務のご担当で、私が提出した領収書に不備があってフォローをしていただいたことが何度かあった。また、毎月の主任会や教授会の資料を印刷して教務室に届けてくださった。お世話になりました。ありがとうございました。

  書斎の窓硝子と網戸の掃除。

  息子と二人で自転車に乗って、島忠ホームセンターに玄関先に飾る花を買いに行く。パンジーを16鉢、シクラメンを3鉢、名前は忘れたが白とピンクの混じった花びらの花を3鉢購入。

  書斎の掃除。これが大変なのである。床を掃除するためには、床に積まれた本をどかさねばならない。書斎から運び出して、2階と3階の間の階段に積む。一時的な避難場所のつもりだが、並べてみると、ちょっとした書架の役目を果たしている。北杜夫の訃報が新聞に載ったとき、自宅の階段で本を読んでいる北の写真が使われていたが、階段は本を探すのにも腰を下ろして本を読むのにも好都合である。しばらくこのままでもよいのではないかと思ったが、案の定、妻が許してくれそうにない。

  私が立て替えていたお金(16万円)を妻から受け取って、机の上に置いておいたら、しばらくして行方不明になった。もしかして不用の書類と一緒にゴミ箱に捨ててしまったかもしれないと、青くなって、ゴミ箱を探したが、ない。おかしいな、どこに行ってしまったのだろう。まあ、いいか、と諦めるには大きい金額である。もう一度、冷静になって、探したら、机の上の喪中の葉書の束の間に挟まっていた。香典のような感じがした。


12月28日(水) 晴れ

2011-12-29 01:13:41 | Weblog

  8時半、起床。遅く寝たわりに眠りが浅く、寝不足気味。パン、柚子ジャム、マカロニサラダ、紅茶の朝食。

  今日は大学の事務所の仕事納め。私は大学へは出ないが、メールと電話でいくつかの案件に対処する。みなさん、よいお年を。

  午後、散歩に出る。久しぶりで下丸子の「喜楽亭」に顔を出す。私の顔を見たとたんにご主人が「大丈夫ですか?」と言った。しばらく私が顔を見せなかったので、身体でも悪くしたのではないかと思っておられたようだ。申し訳ない。前回、「喜楽亭」に来たのは10月3日だった。メンチカツ定食を食べ、その後、池上まで歩いて「甘味あらい」で栗あんみつを食べたのだ。その4日後に「甘味あらい」のご主人が亡くなった。あれから「喜楽亭」に何となく足が向かなくなっていた。喪失感から立ち直ったというわけではないが、年を越す前に顔を出しておこうと、今日、やって来たというわけだ。馴染みの客が突然顔を出さなくなったらご主人も気になるであろうから。実はこんなことがありまして・・・としばらく顔を出さなかった理由を話す。そうでしたか、とご主人は納得されたようだった。それからはいつものように世間話をしながら食事をした。今日はロースカツ定食を注文した。

  帰りに栄松堂で以下の本を購入。

   加藤周一(鷲巣力編)『「羊の歌」余聞』(ちくま文庫)

   杉山光信編『日高六郎コレクション』(岩波現代文庫)

 帰宅して、夕方まで眠る。


12月27日(火) 晴れ

2011-12-28 02:34:46 | Weblog

  8時半、起床。体重計に乗ったら昨日より400グラム減っていた。昼食を野菜サンドにした効果である。今日も昼食は麺かパンにしよう。ピーマンの炒め、大根と卵の味噌汁、ご飯の朝食。

  午後、竹橋の東京国立近代美術館は今日が年内最後の開館日なので、かねてより観たいと思っていた「ぬぐ絵画 日本のヌード1880-1945」展を観に行く。裸体を描き、それを公の場で鑑賞するというという行為は、西洋から入ってきたもの。裸体を描くというだけなら、すでに浮世絵の伝統があったが、それは典型的には「枕絵」として、つまり私的な空間で人目を忍んで鑑賞されるものであった。日本の近代の画家たち、そして社会が西洋流の裸体画をどう受容していったのか、それを検証する企画展である。

  例によって、黒田清輝が導入期の権威として設定されている。黒田は西洋流の裸体画をその理念ともども日本に広めようとした。その理念とは、第一に、裸体画はモデルの身体をリアルに描くものではなく、人間の身体の理想的な美を描くものであるということ。第二に、理想的な美を描くにあたっては、エロティックなまなざしは排除すること。これはかなり無理のある考え方であると思うが、現代にもこうした考え方は残っている。たとえば、女性が女性のヌード写真を見て、「きれいで、いやらしくない」として賞賛することがあるが、これはまさに黒田清輝的な見方である。「きれい」かどうか(美の軸)と「いやらしい」かどうか(エロスの軸)は直交しているから、「きれい」でかつ「いやらしい」写真というのは存在する。私にはそれはとても魅力的な写真なのだが、黒田清輝的にはNGなのである。黒田が裸体画の理念を実現するためにとった手法は、理想的な美を描くことに関しては、今回の展示会のポスターにもなっている「智・感・情」(1889年)の女性における「八頭身」であり、エロティックなまなざしの排除に関しては、裸婦を横たわらせない、性器や陰毛を描かないといったことであった。

  こうした手法は若い世代の画家たちには窮屈なものに感じられたであろう。やがて黒田に反抗する者たちが現われることになる。萬鉄五郎はその一人であった。有名な「裸体美人」(1912年)は、ある点では黒田に従い(腰から下は布で被われている)、ある点では黒田に半分従い半分逆らい(裸婦は画面では縦に描かれているものの、草の上に横たわっている)、ある点で黒田に逆らっている(腋毛が描かれている)。この絵の下図にあたるものが何枚か展示されていたが、下図の段階では、腋毛は描かれていなかった。最終段階で加えられたものなのである。この作品は東京美術学校における彼の卒業制作なのだが、最後の最後で彼は黒田に逆らったわけである。ちなみに彼の成績は19名中の16番であった。

  昼食は神楽坂の蕎麦屋「志な乃」で鍋焼きうどん。先週の木曜日に初めて来て気に入った店であるが、やはり汁が少々甘く感じられる。次はうどんではなく、蕎麦(せいろ)を注文してみよう。

  前回と同じく、食後の甘味は「紀の善」の田舎しるこ。今回はあんみつを注文しようと頭では考えていたのだが、寒いので、どうしても温かいものを注文してしまう(「志な乃」に入るときも頭では野菜天せいろを注文しようと考えていたのである)。

  おしるこを食べ終わって、お茶のお替りをいただきつつ、この一年を振り返ってみた。失ったものや損なったもの、新たに得たものや強まったもの、バランスシートを考えみた。どちらの項目も例年よりたくさんのものがあがった。密度の濃い一年であった。一つの出来事を経験として自分の中で消化する前に次の出来事がやってきた。そうした連鎖が一年続いた感じがする。

  店を出る前に、卒業生のMさんにメールをして、体調を尋ねた。帰りの電車の中で返信のメールを受ける。元気にやっていますとのこと。よかった。

  あと数日で今年が終る。しかし、何もかもがちゃらになって、ゼロから始まるわけではない。失ったものを取戻し、損なってしまったものを修復し、新たに得たものを大切にして日々を生きていくということ。そういう覚悟で新年を迎えるということ。

 

去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの  高浜虚子


12月26日(月) 晴れ

2011-12-26 16:12:16 | Weblog

  8時半、起床。体重を毎朝(朝食前)に計ることを習慣にしているのだが、この2日間で1キロ増加した。クリスマスイブの夕食と、昨日の「今半」での3杯飯およびどらやき2個+うさぎまんじゅう1個の結果である。毎日計っていると、増減の理由が明らかなので、体重の管理がしやすい。急性の体重増は短期間で回復可能である。今日は軽めの食事でいこう。いくらご飯(もちろん軽めで)の朝食。

  9時半に家を出て、大学へ。10時半からカリキュラム委員会事前打ち合わせ。本委員会は1月11日(水)で、半月も先なのだが、間に正月休みが入るので、このタイミングでやっておかないとならないのだ。12時半までかかる。これが今年最後の会議なり。

  昼食は「maruharu」で、野菜サンドとコーヒー。本日のサンドウィッチは牛肉を使ったもので美味しそうではあったのだが、ぐっと堪えて、低カロリーのものにした。

  夕方まで教務室で雑用。浦野院長は明日から2泊3日でゼミ合宿(ゼミ論報告会)とのこと。この時期にか!うちのゼミでは、ゼミ論報告会は1月の通常の3回のゼミの時間内で行う予定。3年生にも聞いてもらって、1年後の自分たちをイメージしてもらう。

  帰宅途中、丸善丸の内店に寄って、以下の本を購入。頭を休めるときに読む本である。

   『短歌』1月号(角川学芸出版)

   『俳句』1月号(角川学芸出版)

   『yom yom』23(新潮社)

   バービー・山口『雲の上はいつも青空』(玄光社)


東京駅丸の内北口前

  『短歌』から10首を引く。

   昨夜(よべ)つくりし鍋の残りを朝に食ひ残りの残りを昼に食ふなり  小池光

   君は今年四十歳か「にゃんこそば」あると思っておりし弟  俵万智

   暗がりに傾くこころ立て直し夜(よ)のコンビニに帳面を買ふ  前川佐重郎

   恋は一度なんどでも一度 雪踏みて走る女(ひと)あり林檎のなかに  川野里子

   何でもわかり合う女子会を抜けてきて黄葉の街に食ひ込んでゆく  米川千嘉子

   錆ついた窓から見える風景だ どうしたらいいどうしたら雨  吉川宏志

   踊り場に一つ置かるる樫の椅子まろき窪みに光射したり  内藤明

   いつそ言つてしまつた方がこだはりの消えてしまはむ雲のかなたへ  外塚喬

   目の前の背に透けているブラジャーのここにたしかにあるということ  穂村弘

   順番にさみしくなりて晩秋の三人家族海を見てをり  栗木京子