10時、起床。ウィンナーソーセージとキャベツ炒め、トースト、アイスカフェラテの朝食。
昨日、寝る前に録画で観た「スマイル」の最終回で、ビトと花の出会いの秘密(ビトは知らなかった)が花の口から語られた。花が小学生だったとき、同級生にいじめられていたところをビトに助けられたのだ。そのときから花はビトのことを忘れたことはなかった。これは『1Q84』の青豆と天吾の関係に似ている。青豆が小学生のとき同級生にいじめれているところを天吾に助けてもらってから、青豆は天吾に一途な愛を感じていたのだ。大沢真幸が『不可能性の時代』の中でこんなことを書いている。
「現在、若者たちの間で人気の、恋愛物のアニメやゲームは、物語的な展開の豊かさを徐々に削ぎ落としつつ、きわめて高い比率で、一つの設定を共有している。恋愛する若い男女は、しばしば幼馴染なのである。(中略)なぜ、今、幼馴染なのか? ここに投射されているのは、親子の関係よりも原初的で直接的だと感受されるような関係だからではなかろうか。無論、現実の幼馴染の関係は、親子関係よりも後に成立する。だが、なぜか理由も分らず、生まれたときから近くに住み、仲良くしているという設定は、家族の関係にさらに先立って作用している。不可避の宿命の作用を、人に感じさせるものがないだろうか。あわせて、長いつきあいで、互いに知り合っている幼馴染は、他者性を感じさせない〈他者〉の典型的な一例ではないだろうか。」(194-195頁)
大沢は家族の偶有性(他の家族の一員でもありえたということ)を強調して、それに代わる必然的な関係として幼馴染を論じているのだが、そういう思考のルートを無理に辿らずとも、インセストタブーの原理によって家族のメンバーは性愛の対象から社会的に排除されているわけだから、根源的でかつ社会的に承認される性愛の対象として幼馴染にスポットライトが当たるのは十分に理解できることである。現代は選択の時代であり、自己責任が強調される時代だが、にもかかわらずではなく、そうであるからこそ、恋愛や結婚には運命的な要素が求められる。なぜなら、それが重要な選択であるほど、「この選択は間違っていない」という確信を人は欲するものだからである。しかし、自分自身で決めた選択は、その直後から「本当にそれでよいのか?」という自問自答のループに陥ってしまう。そのループから抜け出すためには、自己の外部に絶対的な判断基準(大沢の言葉でいえば「第三者の審級」)が必要なのである。運命とはそうしたものの一つの呼び名である。「合コン」という広く普及している若い男女の出会いの仕掛けには、無理矢理感があり、出会いに運命を付与する機能は弱い。それに比して、幼馴染という関係には歴史性があり、運命と馴染みやすい。
午後から大学へ。卒業生のHさんが研究室にやってくる。先日、私にメールで婚約の報告と結婚披露宴への出席の打診をしてきたHさんである。相手の方や二人の出会いのいきさつについて話を聞いた。披露宴でのスピーチを依頼されたので、そのための情報収集である。二人の出会いの場所はネット空間であった。といってもいわゆる「出会い系サイト」とかではない。彼女は大学入学当初からブログをやっていた。1年生の終わり頃、彼女が大崎善生の小説『アジアンタムブルー』の感想をブログに書いたところ、見知らぬ人からコメントが来た。それが彼だった。それから8ヵ月後、2人は現実の空間で初めて会った。彼はその文章から彼女が想像したいてとおりの青年だった。ブログの時代の愛。学生たちに紹介しなくちゃ。
森田芳光監督の『(ハル)』(1996年)は、インターネットが普及する以前のパソコン通信の時代の映画だが、ネット上の映画のフォーラムで知り合った若い男女がパソコン画面に表示される文字によるコミュニケーションから現実の空間での恋愛へ至るまでの紆余曲折の物語だ。(ハル)は男性の方のハンドルネーム。女性の方は(ホシ)といった(最初は自分が女性であることを彼女は隠していた)。主演は深津絵里と内野聖陽。いまはハードボイルドな役が多い内野聖陽だが、当時は繊細な青年の役が多かった。一方の深津絵里はいまと変わらない。時代を先取りした画期的な作品だった。
娘の所属する劇団の公演が1週間後に迫ったので、以前の記事を再掲します。よろしくお願いします。
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皆様、いつもフィールドノートをご覧いただき、誠にありがとうございます。娘の舞子です。
さて、この度、高田馬場にて芝居の公演を執り行う事となりました。
そこで、フィールドノートをご覧の皆様に感謝の意を込めて「フィールドノート割引」をご用意させていただきました。
お時間がありましたら、劇場にお越しいただければ幸いです。皆様のご来場を、団員一同心よりお待ち申し上げます。
大久保舞子 拝
■フィールドノート割引■
→1500円のチケットを、1200円にさせていただきます。
(以下、ご利用方法)
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1.「フィールドノートを見た」と当日受付にてお伝えいただく
2.劇団MAIL(swz@live.jp)にご連絡いただく
※2の場合、件名に「フィールドノート」と明記してください
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下記は公演詳細です。
今後とも、父とフィールドノートをよろしくお願い申し上げます。
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獣の仕業第2回公演
『女は鎖、男は愛を潰す』
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『この身体は薄皮一枚のお金で支えられる。さあパレードだ』
滴るそれは鎖の味
送った言葉は「おかえり」
逝った言葉は「ただいま」
まだ見ぬあなた
あたしは、
あなたと同じにここにいる
作・演出:小林龍二
出演:大久保舞子 阿部孝太郎 手塚優希 藤長由佳 小林傑 雑賀玲衣
日時:
7月4日(土)15:00/19:00
7月5日(日)13:00/17:00
※上記は開演時間です、開場は30分前となります。
料金: 1500円(前売・当日ともに)
場所:
高田馬場アートボックスホール
→JR山手線・西武新宿線「高田馬場」駅 早稲田口より徒歩8分
→東京メトロ東西線「高田馬場」駅 6番出口より徒歩5分
→東京メトロ副都心線「西早稲田」駅1番出口より徒歩3分
※詳細は下記獣の仕業HP内公演特設ページにて
獣の仕業公式HP【獣web】
http://kemono.xxxxxxxx.jp/
HPにて、公演特設ページや稽古場日記、劇場へのアクセス詳細などがご覧になれます。