(つづき)
昼食を「たかはし」に食べに行く。
二重弁当を注文。
「たかはし」は以前は厨房に2人、フロアーに2人の4人体制でやっておられたが、現在は厨房1人(若旦那)、フロアー1人(奥さん)の2人体制で回しておられる。「大変なんじゃありませんか?」と奥様に聞いたら、「そうなんですよ、先生。誰かアルバイトの学生さんがいたらお願いします」と言われる。かなり切実のようである。
戸山公園に花見に行ってみる。入口(学生会館の向かい)を入るとすぐに見事な一本桜がある。卒業生たちの姿も見える。
その一本桜を反対側から見たところ。写真を撮っていると、「この桜はこっちから見るのが一番がいいんですよ」と通りすがりの方に声をかけられる。へぇ、そうですか。
ベンチに腰を下ろして、しばらくもの思いにふける(食後でちょっと眠くなったのだ)。
池の端の枝垂れ桜。
こちらはまだこれからのようである。
池のそばの古木(幹の太さから判断するに)の桜。
見事な桜に見入っていると、外国人の女性からカメラを渡されて桜を背景にした自分の写真を撮ってほしいと頼まれる。撮って差し上げると「ありがとうございます」と日本語で礼を言われる。「ユーアーウェルカム」と英語で答えてから、「あれっ?」と思う。
何の木かわからないが、春爛漫の木々の中の冬木立。これはこれで美しい。
何の花かわからないが、けっこう大きな蕾である。 (シャクナゲよと妻)
さて、箱根山に登ろう。
その時、スマホに卒業生のアスカさん(論系ゼミ3期生)からラインのメッセージが届く。平日の午後3時、彼女は仕事中のはずだが、どうしたのだろうと思いつつ開いてみて驚いた。先週会社を辞めましたと書いてある。正確には、辞表を出して、未消化だった有給休暇を使ってのんびり過ごし、4月末に退社するそうである。彼女とは3週間ほど前に会ったばかりで、そのとき仕事の悩みを聞いて、「会社を辞めるという選択もあるね」という話をしたのだが、実行に踏み切ったわけだ。「この前お会いしたばかりですが、お時間があれば近々お会いできたら嬉しいです」と書いてあった。「いま戸山公園で一人で花見をしています。来ませんか?」と尋ねると、「いま中野にいるので20分ほどで伺います」と返事があった。
箱根山を登りながら、彼女の決断について考えた。
正解は一つではないが、彼女の決断は正解(の一つ)だったと思う。
今日は一緒に花見をしよう。
箱根山の頂上はいつになくたくさんの人がいた。桜が満開だからというだけではなくて、数日前に、テレビの番組で「花見の穴場」として紹介されたせいだろう。360度、満開の桜を見渡せる場所というのはなかなかない。
アスカさんを戸山公園の入口まで迎えに行こう。
やあ、いらっしゃい。
「よく思い切って決断したね」「はい、決断しました」
その笑顔をみれば、正解だったことがわかります。
「ヒールのある靴を履いているけど、登山できるかな?」「はい、大丈夫です!」
頂上に立つ。満開の桜をバックに凛とした表情がいい。
下山の途中のベンチで一休み。軽装で登山の人が多い中、三つ揃いとヒールが場違いな雰囲気を醸し出している。
喉が渇いたので、カフェでお茶でも「カフェゴト―」に行ってみたら、卒業生らで満員。早稲田ではどこも同じだろうと、神楽坂の「トンボロ」に行く。
小腹が空いたので、たらこのスープスバゲッティを注文。彼女もお昼はサラダで済ませたというので、同じくスープスパゲッティを注文。
食後にコーヒー。彼女はアイスコーヒー。
カウンターの向こうから波鈴(ハレイ)さんに写真を撮っていただく。
卒業後5年間、有給もほとんど取らず働いてきたせいか、たっぷりの休日を前にして、やることがないと不安になるので(定年退職の男性みたいだ)、ノートに「やりたいこと」を書き出してみたら、10個くらしかかけなかったそうだ(その一つが「大久保先生と会う」だった)。10個ね・・・。子どもの頃から優等生で来た彼女には「会社を辞める」というのは「学校を辞める」のに近い感覚があったらしい。レールから外れる、みたいな。でも、会社なんて辞めようと思えばいつでも辞められるのである。今日、社会学コースの学位記授与式で津田先生が言っていたように「ぼちぼち」いけばいいのである。思いつめることはない。自分に何ができるかよりも、自分は何をしたいのか(逆に何をしたくないのか)を考えることです。大人の春休みを満喫しながらね。
やることがなくて不安になるようだったら、また声をかけてください。「休日」の過ごし方なら指南いたします。
今日はたくさん写真を撮ったせいか、カメラの調子がちょっと悪い。帰りに大井町のヤマダ電機に寄って、修理を依頼する。
スパゲティだけだと、夜が更けてからお腹が減りそうなので、「ちよだ鮨」で握り鮨を買って帰る。
今日は大学を卒業する教え子たちと、1つの会社を卒業する教え子と過ごした一日だった。
みんな、いい人生を送ってください。
2時、就寝。