午前中に「研究ノート」の更新をして、昼食(インスタントラーメン)の後、TSUTAYAに『大停電の夜に』のDVDを返しに行こうと思ったら、妻と娘がそれを観たいというので、2人がDVDを観ている間、昼寝をする。この一週間は、大学へ行って授業をしているか、大学へ行かない日は「戦後処理」をしているかのどちらかで、途中で休息をとっている暇がなかった。普段の日曜日は、木・金・土、3日間の授業の疲れを取る日なのだが、今日は一週間分のあれこれの疲れをまとめて取る日となった。2時間の昼寝をしてもまだ寝足りない感じがあったが、髭を剃り、着替えをして、TSUTAYAにDVDを返しに行く。有隣堂で以下の本を購入。
柴田元幸『翻訳教室』(新書館)
トルーマン・カポーティ『夜の樹』(新潮文庫)
ウィリアム・サローヤン『パパ・ユア クレージー』(新潮文庫)
有隣堂では文庫本のカバーの色を選ぶことができる。『夜の樹』はブラック、『パパ・ユア クレージー』はグレーにしてもらう。書店のロゴも控えめで、センスも悪くないので、普段は「カバーは結構です」とレジで言っているが、電車の中や喫茶店で読むつもりの文庫本を有隣堂で購入するときだけはカバーをしてもらうことにしている(読み終えて書棚に収めるときはカバーは取る)。
『翻訳教室』は柴田が東大文学部で2004年10月から2005年1月にかけて行った演習の記録。受講生は40名で、課題文(現代アメリカ文学の作家たちの文章)を学生たちが翻訳したものを柴田と大学院生3名が添削して、それを材料に翻訳の技法について伝授する(あるいは翻訳という行為をめぐるあれこれの話題について話し合う)という授業。40名の演習にTA(ティーチング・アシスタント)が3名付くというのは羨ましい限りだ。課題文にジェイ・ルービンが英訳した村上春樹の「かえるくん、東京を救う」(英訳のタイトルは、Super-Frog Saves Tokyo)が出た回があって、来日中のルービンが授業の途中から教室に入ってくるのだが、もっとすごいのは、その次の授業のときに村上春樹がゲストでやってくるのである。もちろん学生にはそのことは事前に知らされていない。柴田が「というわけで今日は村上さんご本人においでいただきました」と言うと(努めて何気ない口調で言ったに違いない)、村上春樹が教室に入ってきて(努めて何気ない感じで入ってきたに違いない)、学生一同びっくりして、息を呑んで、数秒おいて一斉に拍手が起きるのである。どうです、この演出。私の担当する二文の基礎演習でも、「というわけで今日はいまみんなと読んでいる『社会学』の著者、アンソニー・ギデンズ教授にお越しいただきました」とかやってみたらどうだろう。一文の社会学演習ⅡBでは、先日まで山田昌弘『希望格差社会』を読んでいたのだが、山田さんなら頼めば来てもらえたかもしれない(実際、文化構想学部では山田さんに「現代人と家族」という演習をお願いして、引き受けていただけた)。私は講義の中で村上春樹の作品を取りあげて社会学的な分析を行ったことがあるのだが、今度同じことをするときに、私が柴田元幸と同年生まれで中学校も隣同士だったというよしみ(?)で村上春樹にゲスト出演を依頼したら、彼、来てはくれないだろうか。