三国街道の宿場風情をいまだに色濃く残す湯宿温泉。温泉街には歓楽的要素は一切無く、カギ状に曲がった細いメインストリートには石畳が敷かれ、それに沿って数軒の旅館と共同浴場、そして民家が立ち並んでいるだけの非常に静かで鄙びた温泉地でして、それゆえファンが多い場所でもあります。無論私もそんな湯宿ファンの一人でして、共同浴場には何度かお世話になっています。今回は4軒ある共同浴場のうち、「窪湯」と「小滝の湯」について書いてみます。
・窪湯
湯宿の中心、メインストリートに当たる小径がカギ状に曲がったところに位置している共同浴場。ちょっとした広場も設けられており、休日にはベンチに座って寛ぐ観光客の姿もしばしば見受けられます。
湯宿の共同浴場は基本的に地元民のための施設であるため、各浴場とも入口はオートロックで施錠されており、専用の鍵を持っていないと利用できません。鍵は当地の旅館に宿泊すれば貸してもらえます。しかしながら、夕方から夜間ならば、地元の方が入口のドアから突っ支い棒を出して、ドアが完全に閉まらずオートロックが機能しないような措置してくださるので、この時に外来者も鍵不要で入浴可能となります。外来者への開放時間は16:00~21:00の間です。ただし必ずしもこの時間帯に鍵が開いているわけではなく、運任せな面があるので、その点はご承知おきを。また、利用時は入口の寸志箱(善意の箱)に100円以上を納めてください。20時以降の利用の際、室内に誰もいなければ電灯の消灯もお忘れなく。
シックな木造湯屋建築の「窪湯」。こじんまりしていながら必要最低限のものはちゃんと備えられています。また、地元の方の手によりいつも綺麗にお手入れされています。
「窪湯」は湯宿の共同浴場の中では最も大きく、利用者も一番多いのではないでしょうか。この画像を撮影している時も次から次へと常連さんが訪れてきました。壁面には浴場建築や整備に関する寄付者の名札が提げられています。これは他の浴場でも然りであり、多くの方の有志により共同浴場が維持されていることを実感させられます。
洗い場にはシャワーは無いものの、オートストップ式混合水栓が2基、そして水の蛇口も2基設けられています。水の蛇口のうちひとつは、必要に応じてホースにつなげ、浴槽のお湯を薄める際に使用します。
湯船の隅っこに湯口があるのですが、現在こちらは使用されておらず、源泉は壁に這わせてある塩ビのパイプから注がれています。このお湯が激熱なので要注意。コップがあるからといって用心せずにお湯を飲むと、お口の中は火傷しちゃうかも。このため、早い時間に訪れるとお湯が熱くて水で薄めないと入れないのですが、夜に行けば先客が入浴しやすい湯加減にしてくれているので、湯温を調整する手間は省けるかと思います。
お湯は無色澄明、芒硝泉によくある独特の薬品みたいな匂いを帯び、芒硝味とともに石膏味、そして出汁味が抜けた昆布茶のような味に焦げたような感覚が混ざった風味が感じられます。群馬県西部には無色透明の硫酸塩泉が点在していますが、湯宿の場合は芒硝と石膏がバランスよくミックスされており、それぞれの特徴がよく出ているように思われます。
・小滝の湯
石畳の通りの一番西(猿ケ京側)に位置している、湯宿で最も小さな共同浴場。
入口の扉を開けると、いきなり湯船が目に飛び込んできます。このコンパクト感が鄙びた温泉地の共同浴場らしい良い雰囲気を醸し出していますね。私個人としては大好きです。
昔からの共同浴場によくある脱衣所と浴室の一体型。狭い浴室なので脱衣棚の数も少なめですが、そもそも脱衣できるスペースはひとり分しか確保されていませんから、もし混雑したら譲りあって使うことになります。これぞまさに共同浴場の精神ですね。
脱衣スペースと浴室の境界部分には、飲用の効用が書かれた札とコップが提げられています。
風格ある石板貼りで4~5人は入れそうな湯船を擁する「窪湯」に対し、2人も入ればいっぱいになっちゃいそうな小さなこちらの浴槽はオーソドックスなタイル貼り。洗い場にも水の蛇口がひとつしかありません(この他、お湯を薄めるための水道蛇口が湯口の上にあり)。
塩ビの湯口から源泉がチョロチョロと注がれ、パスカルの原理により浴室隅っこのパイプから排湯されていきます。浴槽をよく見ると女湯側へ向かってグリル状の通水口が設けられているので、もしかしたら男湯女湯の相互でお湯が行き来できるのかもしれません。
素晴らしく澄んだお湯で、石膏の匂いが浴室内に漂っています。熱いので十分掛け湯しないと湯船に入れませんが、それでも私は水で薄めずに入れました(先客が湯加減を調整してくれていたんだと思いますが…)。
ちなみに「小滝の湯」で入口扉のオートロックを防いでいるのは、こんな木の切れ端でした。浴室の造りといいサイズといい設備面といい、いろんな面で外来者に対しておめかししている「窪湯」に対し、「古滝の湯」は極めてすっぴんで実用本位なのであります。
(両浴場とも温泉分析表の掲示なし)
・窪湯
・小滝の湯
JR沼田駅・後閑駅・上毛高原駅から関越交通バス・猿ヶ京行で湯宿温泉下車(沼田駅から約50分、沼田駅発のバスは後閑駅と上毛高原駅を経由します)
群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉
・窪湯の位置(地図)
・小滝の湯の位置(地図)
外来者開放時間 16:00頃~21:00
100円
備品類なし
地元のための施設ですので、くれぐれもマナーを守り、地元の方を優先で。
私の好み:★★★
・窪湯
湯宿の中心、メインストリートに当たる小径がカギ状に曲がったところに位置している共同浴場。ちょっとした広場も設けられており、休日にはベンチに座って寛ぐ観光客の姿もしばしば見受けられます。
湯宿の共同浴場は基本的に地元民のための施設であるため、各浴場とも入口はオートロックで施錠されており、専用の鍵を持っていないと利用できません。鍵は当地の旅館に宿泊すれば貸してもらえます。しかしながら、夕方から夜間ならば、地元の方が入口のドアから突っ支い棒を出して、ドアが完全に閉まらずオートロックが機能しないような措置してくださるので、この時に外来者も鍵不要で入浴可能となります。外来者への開放時間は16:00~21:00の間です。ただし必ずしもこの時間帯に鍵が開いているわけではなく、運任せな面があるので、その点はご承知おきを。また、利用時は入口の寸志箱(善意の箱)に100円以上を納めてください。20時以降の利用の際、室内に誰もいなければ電灯の消灯もお忘れなく。
シックな木造湯屋建築の「窪湯」。こじんまりしていながら必要最低限のものはちゃんと備えられています。また、地元の方の手によりいつも綺麗にお手入れされています。
「窪湯」は湯宿の共同浴場の中では最も大きく、利用者も一番多いのではないでしょうか。この画像を撮影している時も次から次へと常連さんが訪れてきました。壁面には浴場建築や整備に関する寄付者の名札が提げられています。これは他の浴場でも然りであり、多くの方の有志により共同浴場が維持されていることを実感させられます。
洗い場にはシャワーは無いものの、オートストップ式混合水栓が2基、そして水の蛇口も2基設けられています。水の蛇口のうちひとつは、必要に応じてホースにつなげ、浴槽のお湯を薄める際に使用します。
湯船の隅っこに湯口があるのですが、現在こちらは使用されておらず、源泉は壁に這わせてある塩ビのパイプから注がれています。このお湯が激熱なので要注意。コップがあるからといって用心せずにお湯を飲むと、お口の中は火傷しちゃうかも。このため、早い時間に訪れるとお湯が熱くて水で薄めないと入れないのですが、夜に行けば先客が入浴しやすい湯加減にしてくれているので、湯温を調整する手間は省けるかと思います。
お湯は無色澄明、芒硝泉によくある独特の薬品みたいな匂いを帯び、芒硝味とともに石膏味、そして出汁味が抜けた昆布茶のような味に焦げたような感覚が混ざった風味が感じられます。群馬県西部には無色透明の硫酸塩泉が点在していますが、湯宿の場合は芒硝と石膏がバランスよくミックスされており、それぞれの特徴がよく出ているように思われます。
・小滝の湯
石畳の通りの一番西(猿ケ京側)に位置している、湯宿で最も小さな共同浴場。
入口の扉を開けると、いきなり湯船が目に飛び込んできます。このコンパクト感が鄙びた温泉地の共同浴場らしい良い雰囲気を醸し出していますね。私個人としては大好きです。
昔からの共同浴場によくある脱衣所と浴室の一体型。狭い浴室なので脱衣棚の数も少なめですが、そもそも脱衣できるスペースはひとり分しか確保されていませんから、もし混雑したら譲りあって使うことになります。これぞまさに共同浴場の精神ですね。
脱衣スペースと浴室の境界部分には、飲用の効用が書かれた札とコップが提げられています。
風格ある石板貼りで4~5人は入れそうな湯船を擁する「窪湯」に対し、2人も入ればいっぱいになっちゃいそうな小さなこちらの浴槽はオーソドックスなタイル貼り。洗い場にも水の蛇口がひとつしかありません(この他、お湯を薄めるための水道蛇口が湯口の上にあり)。
塩ビの湯口から源泉がチョロチョロと注がれ、パスカルの原理により浴室隅っこのパイプから排湯されていきます。浴槽をよく見ると女湯側へ向かってグリル状の通水口が設けられているので、もしかしたら男湯女湯の相互でお湯が行き来できるのかもしれません。
素晴らしく澄んだお湯で、石膏の匂いが浴室内に漂っています。熱いので十分掛け湯しないと湯船に入れませんが、それでも私は水で薄めずに入れました(先客が湯加減を調整してくれていたんだと思いますが…)。
ちなみに「小滝の湯」で入口扉のオートロックを防いでいるのは、こんな木の切れ端でした。浴室の造りといいサイズといい設備面といい、いろんな面で外来者に対しておめかししている「窪湯」に対し、「古滝の湯」は極めてすっぴんで実用本位なのであります。
(両浴場とも温泉分析表の掲示なし)
・窪湯
窪湯源泉:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉 59.1℃ pH8.0 蒸発残留物1.372g/kg
・小滝の湯
窪湯源泉と小滝源泉の混合(詳細は未確認)
JR沼田駅・後閑駅・上毛高原駅から関越交通バス・猿ヶ京行で湯宿温泉下車(沼田駅から約50分、沼田駅発のバスは後閑駅と上毛高原駅を経由します)
群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉
・窪湯の位置(地図)
・小滝の湯の位置(地図)
外来者開放時間 16:00頃~21:00
100円
備品類なし
地元のための施設ですので、くれぐれもマナーを守り、地元の方を優先で。
私の好み:★★★