「その1 大湯・源泉井」はこちらへ。
角間温泉の共同浴場は、いきなり外来者が利用できるものではありませんので、前回の記事で利用方法をご参照ください。
●滝の湯
黒鳥商店や大湯、越後屋旅館などが集まる角間温泉の中心部から西へ50mほど離れた火の見櫓の正面に建つこじんまりとした共同浴場です。
(右(下)画像はクリックで拡大)
火の見櫓には消防信号の凡例が掲示されているのですが、これがエラく古いのです。というのも、表記されている漢字が全て旧字体。でも横書きでは現在と同じく左から右へ書かれているので、もしかしたら戦後間もない頃の物かもしれませんね。ちなみにこの信号は全国共通のはずです。「打鐘信号」とは即ち半鐘を打ち鳴らして知らせる方法ですが、近火信号が連打というのは、切迫した緊張感を急告するにはまさにピッタリ。慌てて櫓に登って必死の形相で半鐘を乱打する様子が想像されます。「余韻防止付きサイレン信号」はいわゆるウーーと音が鳴るサイレンで、昔は手動でサイレンの羽根を回していたんでしょう。一番左の「演習召集信号」という表現も時代を感じさせます。
さて、中に入りましょう。角間の他の共同浴場と同様に、脱衣所と浴室が一体型になった造りで、玄関を入ったらすぐに浴室です。
浴室には四角い3人サイズでタイル張りの浴槽がひとつ。その手前をL字型に脱衣スペースが確保されています。洗い場の蛇口は水しか出ません。浴槽へは岩の壁から一本の塩ビ管が突出し、そこから打たせ湯のようにお湯が落ちていました。なるほど、これが滝の湯の名前の由来なんですね。観光目的ではない地元のための共同浴場なのに、わざわざ湯口を滝のように落としているなんて、ちょっと珍しいかもしれません。
無色透明のお湯は
大湯とほとんど同じような特徴で無色透明、石膏味&臭と何かを燻したような香ばしい匂いを帯びていますが、匂い・味ともに大湯より微かに強いような気がします。
湯口から出るお湯はやや熱め。口の周りは白い析出が付着しています。加水されているものの、しっかり源泉掛け流しで、縁から静かにオーバーフローしています。
浴槽の隅っこには花崗岩みたいな岩が出っ張っており、湯浴みしながらの腰掛けにはちょうど良いのですが、これは元々ここにあったものなのでしょうか、あるいは意図的に設置されたものなのでしょうか。
梁が立派な天井周辺。大湯同様、こちらも湯気抜きがしっかり造られているために換気状態がよく、湯気の籠りを気にせず快適に湯浴みできました。男女浴室の仕切りを跨ぐように、古い分析表が掲げられていました。
含砒素石膏弱食塩泉 87.8℃
(昭和47年の分析表における数値です)
(湯温調整のため加水あり、加温・循環・消毒なし)
長野県下高井郡山ノ内町佐野 地図
外来者利用可能時間8:30~16:00
300円(利用方法は前回の記事(その1)にて記載したとおり)
備品類なし
私の好み:★★★
●新田の湯
滝の湯から更に西へ50m下った、ちょうど集落の入り口に当たる付近にある共同浴場。大湯、滝の湯、そしてこの新田の湯と、わずか100m程の間に3軒も共同浴場があるなんて、温泉好きな私としては羨ましいことこの上ありません。
集落中心とは反対側の妻面には洗濯湯が設けられており、訪問時にもお婆ちゃんが何やらゴシゴシと洗っていました。温泉が当地の生活にいかに密着しているかがよくわかります。
鍵を開けて中に入ると、他の共同浴場同様に、玄関・脱衣所・浴室が一体型の構造です。余計な物は無い、至ってシンプルな室内。脱衣スペースや洗い場は3軒の浴場の中では最も広いかもしれません。男女浴室の仕切りには後から補強したような斜交いが取り付けられており、妙に目立っていました。
木板に揮毫された昭和47年の分析表はここにも掲示されています。当時の泉質と現在とは異なるようですが、それもそのはず、現在使用している源泉は大湯同様に薬師の湯とみろくの湯を混合したものを引いています。
お湯は無色透明で、上述のように大湯と同じ源泉の筈なんですが、浴槽を見ると茶色い沈殿がたくさん溜まっています。湯の花にしては質感がやけに重い。何だろうと思って手に掬ってしげしげと眺めていると、後客の常連さんが「それは泥だよ」と教えてくれました。曰く、源泉のままでは熱いので沢の水を加えて薄めているのだけれども、前日の豪雨(他地域ですが実際に土砂崩れが発生する雨が降りました)のために沢の水に泥が混じってお風呂に入り込んじゃったとのこと。まぁ泥なら体に害は無いので、特に気にしないで湯浴みさせていただきました。ちょっと熱めですがキリっとした浴感で石膏感もはっきり感じられる良いお湯です。
薬師の湯とみろくの湯の混合泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 73.2℃(分湯枡) その他数値は不明
(湯温調整のため加水あり、加温・循環・消毒なし)
長野県下高井郡山ノ内町佐野 地図
外来者利用可能時間8:30~16:00
300円(利用方法は上述のとおり)
備品類なし
私の好み:★★★
●お湯くみ場
新田の湯でお話を伺ったお爺さんに教えていただいたのがこのお湯汲み場。駐車場から坂道を興隆寺へ上がる坂道の途中にあります。ここでは源泉をそのままの熱い状態で使えるので、ここにタマゴを入れてからお風呂を浴び、湯上がりに取り出すと、ちょうど良い感じの温泉卵が出来上がっているんだそうです。今回私は利用しませんでしたが、もしこのお湯の枡を使用する場合は、その1で紹介した黒鳥商店へ申し出てください、と看板に書かれています。でも外来者でも使えるのかしら?
角間温泉の共同浴場は、いきなり外来者が利用できるものではありませんので、前回の記事で利用方法をご参照ください。
●滝の湯
黒鳥商店や大湯、越後屋旅館などが集まる角間温泉の中心部から西へ50mほど離れた火の見櫓の正面に建つこじんまりとした共同浴場です。
(右(下)画像はクリックで拡大)
火の見櫓には消防信号の凡例が掲示されているのですが、これがエラく古いのです。というのも、表記されている漢字が全て旧字体。でも横書きでは現在と同じく左から右へ書かれているので、もしかしたら戦後間もない頃の物かもしれませんね。ちなみにこの信号は全国共通のはずです。「打鐘信号」とは即ち半鐘を打ち鳴らして知らせる方法ですが、近火信号が連打というのは、切迫した緊張感を急告するにはまさにピッタリ。慌てて櫓に登って必死の形相で半鐘を乱打する様子が想像されます。「余韻防止付きサイレン信号」はいわゆるウーーと音が鳴るサイレンで、昔は手動でサイレンの羽根を回していたんでしょう。一番左の「演習召集信号」という表現も時代を感じさせます。
さて、中に入りましょう。角間の他の共同浴場と同様に、脱衣所と浴室が一体型になった造りで、玄関を入ったらすぐに浴室です。
浴室には四角い3人サイズでタイル張りの浴槽がひとつ。その手前をL字型に脱衣スペースが確保されています。洗い場の蛇口は水しか出ません。浴槽へは岩の壁から一本の塩ビ管が突出し、そこから打たせ湯のようにお湯が落ちていました。なるほど、これが滝の湯の名前の由来なんですね。観光目的ではない地元のための共同浴場なのに、わざわざ湯口を滝のように落としているなんて、ちょっと珍しいかもしれません。
無色透明のお湯は
大湯とほとんど同じような特徴で無色透明、石膏味&臭と何かを燻したような香ばしい匂いを帯びていますが、匂い・味ともに大湯より微かに強いような気がします。
湯口から出るお湯はやや熱め。口の周りは白い析出が付着しています。加水されているものの、しっかり源泉掛け流しで、縁から静かにオーバーフローしています。
浴槽の隅っこには花崗岩みたいな岩が出っ張っており、湯浴みしながらの腰掛けにはちょうど良いのですが、これは元々ここにあったものなのでしょうか、あるいは意図的に設置されたものなのでしょうか。
梁が立派な天井周辺。大湯同様、こちらも湯気抜きがしっかり造られているために換気状態がよく、湯気の籠りを気にせず快適に湯浴みできました。男女浴室の仕切りを跨ぐように、古い分析表が掲げられていました。
含砒素石膏弱食塩泉 87.8℃
(昭和47年の分析表における数値です)
(湯温調整のため加水あり、加温・循環・消毒なし)
長野県下高井郡山ノ内町佐野 地図
外来者利用可能時間8:30~16:00
300円(利用方法は前回の記事(その1)にて記載したとおり)
備品類なし
私の好み:★★★
●新田の湯
滝の湯から更に西へ50m下った、ちょうど集落の入り口に当たる付近にある共同浴場。大湯、滝の湯、そしてこの新田の湯と、わずか100m程の間に3軒も共同浴場があるなんて、温泉好きな私としては羨ましいことこの上ありません。
集落中心とは反対側の妻面には洗濯湯が設けられており、訪問時にもお婆ちゃんが何やらゴシゴシと洗っていました。温泉が当地の生活にいかに密着しているかがよくわかります。
鍵を開けて中に入ると、他の共同浴場同様に、玄関・脱衣所・浴室が一体型の構造です。余計な物は無い、至ってシンプルな室内。脱衣スペースや洗い場は3軒の浴場の中では最も広いかもしれません。男女浴室の仕切りには後から補強したような斜交いが取り付けられており、妙に目立っていました。
木板に揮毫された昭和47年の分析表はここにも掲示されています。当時の泉質と現在とは異なるようですが、それもそのはず、現在使用している源泉は大湯同様に薬師の湯とみろくの湯を混合したものを引いています。
お湯は無色透明で、上述のように大湯と同じ源泉の筈なんですが、浴槽を見ると茶色い沈殿がたくさん溜まっています。湯の花にしては質感がやけに重い。何だろうと思って手に掬ってしげしげと眺めていると、後客の常連さんが「それは泥だよ」と教えてくれました。曰く、源泉のままでは熱いので沢の水を加えて薄めているのだけれども、前日の豪雨(他地域ですが実際に土砂崩れが発生する雨が降りました)のために沢の水に泥が混じってお風呂に入り込んじゃったとのこと。まぁ泥なら体に害は無いので、特に気にしないで湯浴みさせていただきました。ちょっと熱めですがキリっとした浴感で石膏感もはっきり感じられる良いお湯です。
薬師の湯とみろくの湯の混合泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 73.2℃(分湯枡) その他数値は不明
(湯温調整のため加水あり、加温・循環・消毒なし)
長野県下高井郡山ノ内町佐野 地図
外来者利用可能時間8:30~16:00
300円(利用方法は上述のとおり)
備品類なし
私の好み:★★★
●お湯くみ場
新田の湯でお話を伺ったお爺さんに教えていただいたのがこのお湯汲み場。駐車場から坂道を興隆寺へ上がる坂道の途中にあります。ここでは源泉をそのままの熱い状態で使えるので、ここにタマゴを入れてからお風呂を浴び、湯上がりに取り出すと、ちょうど良い感じの温泉卵が出来上がっているんだそうです。今回私は利用しませんでしたが、もしこのお湯の枡を使用する場合は、その1で紹介した黒鳥商店へ申し出てください、と看板に書かれています。でも外来者でも使えるのかしら?