旧岩木町(現在は弘前市の一部)の中心部から北へちょっと離れた愛宕集落にある温泉の共同浴場です。津軽地方には多くの温泉共同浴場が存在していますが、その中でもここは私のお気に入りで、何度もお世話になっています。
集落は岩木山の山裾の一番端っこに当たるようで、この温泉は小高い丘の上に立地しており、弘前の市街方向をパノラマのように一望できる見晴らしの良い丘の上に立地しています。目の前は田んぼですから視界を遮るものが無く、とっても気持ちよく眺望できます。
振り返ってみると岩木山が間近に迫り、美しく聳えています。ちょうどこの時は太陽が地平線に沈む間際の時間帯で、空は幻想的な色に染まっていました。
まだオープンして10年も経っていないようでして、全体的には新しくて明るい雰囲気ですが、にもかかわらず何となく年季を感じてしまうのが不思議なところ。平屋の建物の館内に広い玄関や休憩スペースが確保されており、これは青森県の共同浴場の標準的な姿といえるでしょう。受付のおばちゃんは長い間水商売をしてきたような愛想の良さとハスキーボイスで出迎えてくれるでしょう。脱衣場も広いので、夕方の混雑時でも他のお客さんをあまり気にすることなく着替えできまるはず。
木材を多用した温かみのある浴室には、中央にヒバの大きな浴槽(底はタイル)が据えられ、その両側をズラリとならんだカランがはさんでいます。カランは青森県の共同浴場では標準的な押しバネ式及び壁直付けシャワーが24組、カランから出てくるお湯は源泉使用です。
この奥にも横長の浴槽があるのですが、いつ行っても冷たい(あるいはぬるい)温泉水が浅く張られているだけで、水風呂というか子供の遊び場と言うか、実質的にはあまり使えない状態です。
浴室に入るとプーンとモール泉系の良い香りが鼻をくすぐり、それだけで十分に温泉好き人間の心を鷲掴みにしてくれるのですが、浴槽の奥の湯口を見ると更に興奮! 源泉投入量が半端じゃなく多いのです。浴槽にお湯を注いでいるというより、農業用水のバルブを開いて田んぼに水を張っているような感じです。湯口の形もラッパをつぶしたような特徴的な形状で、こんな湯口をどこかで見たことあるなと記憶を整理していたら、比較的近所にある百沢温泉と同じであることに気付きました。後日調べたら、あたご温泉と百沢温泉は経営母体が同じなんだそうです。
浴槽の縁からは洪水のようにザブザブと大量にお湯がオーバーフローしていきます。その様子を見ているだけでウットリしちゃいます。お湯は琥珀を思わせる麦茶色透明、上述のようにモール系の匂いが漂っていますが、湯口やカランでは更にタマゴ的な匂いやガス(油?)っぽい匂いなど硫黄を想像させる匂いも加わってきます。モール泉らしい味風味にタマゴっぽい味、重曹味、そして薄い塩味と苦みが感じられます。湯中にいると気泡もしっかり付着し、湯面には白い泡の塊も浮いています。ヌルヌルツルツルスベスベ、とっても爽快な浴感で、重曹のパワーにより湯上がりはサッパリ。
浴感といいオーバーフローといい、私のハートをガッチリ掴んで離さない素晴らしいお湯です。
近所には温泉ファンに有名な新岡温泉があり、泉質はここと似ていますが、私はこのあたご温泉の方が好き!
植田源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 57.3℃ pH8.08 300L/min(動力揚湯) 溶存物質2.048g/kg 成分総計2.053g/kg
ナトリウムイオン599.2mg/kg(90.46mval%)、塩素イオン702.3mg/kg(71.31mval%)、炭酸水素イオン432.9mg/kg(25.52mval%)
青森県弘前市大字愛宕字山下127-25 地図
0172-82-5885
8:00~22:00
300円
ロッカー有り、ドライヤー有料(10円)、その他は販売
私の好み:★★★