温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯宿温泉 湯本館

2011年07月09日 | 群馬県

某日、湯宿温泉の「湯本館」に泊まってみました。私のような一人旅の風来坊でも受け入れて下さるので助かります。場所は「窪湯」のすぐ裏、温泉街の中心です。湯本を称するだけあって、こちらは独自源泉を有しており、共同浴場めぐりでは入れないお湯を堪能できるので、とっても楽しみ。


今回通された部屋は2階の正面や窪湯を見下ろす絶好のポジションでした。こんな広くて良い部屋を独り占めできるなんて幸せ。既に布団も敷かれていたので、いきなり風呂に入ってノンビリ横になることもできるぞ。そうときたら、早速風呂に行かなきゃ。

 
浴室は1階の廊下を進んだ奥の方。途中の中庭には、四阿が被せられた源泉がありました。これがこの宿ご自慢の独自源泉なんですね。お湯の中を覗いてみると温泉タマゴを茹でている最中でした。さすがに60℃以上ある高温のお湯ですから、立ち上る湯気の熱気がすごい。


浴室は大浴場、女性浴室、貸切風呂の3つで、いずれも内湯です。なお大浴場は混浴ですが、朝7:00~8:00は女性専用となります。

 
大浴場には真円の大きな浴槽が中心にデンと据えられており、無色透明の澄みきったお湯が湛えられています。その浴槽は少なくとも10人は余裕、15人なら入れそうな大きなサイズ。洗い場にはシャワー付き混合栓が6基。思わず目が惹かれてしまうのが湯口周りでして、礫がたくさん敷かれてその下からお湯が供給されているのですが、その礫の上にはまるで雪が積もっているかのように硫酸塩の真白な析出が分厚く付着しているのです。当地は冬季に相当の雪が積もるかと思いますが、その雪景色を連想させるかのような純白の析出は非常に美しく感動的です。
上述の源泉はこの浴室のすぐ隣ですから、そこから直にお湯を引いているこの浴室のお湯は当然熱く、たとえ飲泉するにせよ、置いてある柄杓で汲んで十分にフーフーと吹いて冷まさないと飲めません。しかしながら、浴槽に関しては湯面の表面積が広いためか、熱いお湯に入り慣れている人ならば水で薄めなくても浸かれる湯加減まで湯温が下がっていました。でも普通の方なら、やはり水で薄めないと入れないかも。
芒硝と石膏、それぞれの匂いと味が均等に感じられる極めてわかりやすい硫酸塩泉で、かすかにタマゴ臭や何かが焦げたような匂いも帯びています。引っかかりのあるキシキシ浴感。硫酸塩泉ならではの光の反射により、湯中の肌は青白く光って見えます。熱いお湯なのですが、お湯の鮮度と浴感が素晴らしいので、のぼせるのを承知で何度も入りたくなってしまいました。温まるパワーも強く、湯上り後もなかなか汗がひきません。


なお湯使いは加温加水循環消毒一切なしの掛け流し。人が浴槽に入る時以外はオーバーフローせず、パスカルの原理により浴槽縁付近のパイプから排湯されていきます。

 
こちらは貸切風呂の様子。特徴ある大浴場に比べると、極めてシンプルな造りです。浴槽は正方形に近い形状で2人サイズ。シャワー付き混合栓が2基。もちろんこちらも完全掛け流しで、浴槽の縁からしっかりオーバーフローしています。大浴場のお湯ではわかりませんでしたが、こちらでは薄い茶色の膜が千切れたような感じの小さな湯の花が浮遊していました。当然ながら熱いのですが、かき混ぜ棒でしっかり湯もみして、十分に掛け湯すれば、水で薄めなくても入れるかと思います。


ちなみにこちらが夕食。お部屋出しですのでわざわざ移動しなくても済みますし、時間もかなり融通を利かせてくれました。この時はたしかリーズナブルなプランでお願いしたのですが、それでも上州豚のしゃぶしゃぶに鮎の塩焼き、お刺身などかなりのボリュームで、とっても美味しく十分満足できましたよ。
アットホームな雰囲気で自家源泉の素晴らしいお湯を堪能できるお薦めのお宿です。


ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 62.7℃ pH8.3 自然湧出 蒸発残留物1.425g/kg 成分総計1.44g/kg

JR沼田駅・後閑駅・上毛高原駅から関越交通バス・猿ヶ京行で湯宿温泉下車(沼田駅から約50分、沼田駅発のバスは後閑駅と上毛高原駅を経由します)
群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉甲2381  地図
0278-64-0011
ホームページ

日帰り入浴時間は問い合わせされたし
600円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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湯宿温泉 共同浴場巡り その2(竹の湯・松の湯)

2011年07月09日 | 群馬県
その1(窪湯・小滝の湯)はこちらを。

・竹の湯

湯宿温泉街で最も東(沼田側)に位置する共同浴場。「窪湯」に似た、いかにも湯屋って感じの外観で、誰が見ても外湯だとわかるはず。

 
内部もやはり「窪湯」っぽいシンプル・イズ・ベストな脱衣所。よくお手入れされています。地元の方に感謝。湯上りの火照った体を冷ましてくれる扇風機を用意してある点がありがたいです。
寄付者の名札がズラっと並べられているのは湯宿の各浴場共通。こうした有志の方々のおかげで湯浴みが楽しめているわけですね。


 
浴室もやはり「窪湯」のような造りですが、かなりダウンサイジングされています。石板貼りの浴槽は2人入るといっぱいになりそうなサイズで、湯口からチョロチョロと源泉が注がれているのですが、湯量が絞られているとはいえかなり熱かったので、水で薄めて全体をかき混ぜ、何度も掛け湯して体を慣らしてから入浴しました。水の蛇口は押しバネ式のオートストップなので、出しっぱなしでお湯が薄まりすぎることはありません。


洗い場のカランはシャワー無しの混合水栓がひとつと、水の蛇口が2つ。浴室の大きさを考えれば、この数でちょうどよいでしょう。もし誰かが使っていれば、桶で湯船から直接掛け湯しちゃえばいいわけですし。


湯口は石の短い樋のような形状。真白い硫酸塩の析出がビッシリ付着しています。お湯は無色透明、上述のようにかなり熱く、水で薄めないと入れないでしょう。はっきりとした芒硝・石膏の味と匂いが漂い、いかにも硫酸塩泉的なキシキシとした浴感です。きりっと冴えた気持ちよいお湯です。


・松の湯

4軒ある湯宿の共同浴場のうち、最もわかりにい場所にあり、且つ鄙びている施設。「竹の湯」から少しだけ中心部方向へ戻り、細い路地をちょっと入ったところに建っています。一見すると浴場と言うよりは倉庫みたいです。某百科事典サイトによると、この「松の湯」は外来者に開放されていないような記述がなされていますが(2011年7月現在)、入口にはちゃんと「湯宿以外の方は午後四時より九時までに入浴完了してください」と墨書きされた札が提げられているので、決して外来者の入浴は不可能ということはなく、単に開放時間帯でも鍵がかかりっぱなしになっていることが多いだけのことかと思います。従って当地の旅館に宿泊して鍵を貸してもらわない限り、自分の好きな時間帯で利用できるか否かは、運任せになってしまう可能性大です。ちなみに私の訪問時はいつも鍵が開いていました。

 
入口上には利用者に求められるマナーが列挙されています。熟読してきちんと守りましょう。
また入口脇にはお湯を汲むための枡が設けられています。

 
入口のドアを開けると、すぐ脱衣棚と浴槽が目に入ってきます。典型的な脱衣所と浴室の一体型ですが、同じ一体型でも湯宿の「小滝の湯」と比べると、こちらの方がはるかに広め。
「善意の箱」に寸志100円以上を納めます。「善意の箱」の案内ボードにも「外来入浴される方は・・・」と記されているので、つまりは外来OKなんです。

 
湯宿温泉の共同浴場は「窪湯」が象徴するように情緒あるウッディな造りであるのに対し、この「松の湯」だけはモルタルにペンキを塗っただけで外来者への「おめかし」が全く感じられない、まさに地元民向けな質素で飾り気がない造りです。洗い場にはカランが無いので、湯船から桶で直接掛け湯します。
浴槽はタイル貼りのシンプルなものですが、男湯浴槽と女湯浴槽は10本ほどの柱で仕切られているものの完全に一体になっており、山形県蔵王の川原湯を彷彿とさせる構造です。
浴槽の手前にはちっちゃな源泉溜まり(枡)があって、そこから源泉が投入されており、浴槽縁の切り欠けからザブザブとしっかりオーバーフローしていきます。「竹の湯」同様、浴槽のお湯を薄める水栓は押しばね式のオートストップなので、出しっぱなしで薄めすぎるすぎる心配無し。またホースにつながれた蛇口もあるので、それで薄めることも可能。
この画像の撮影時はしばらく誰も入っていなかったらしく、洗い場のタイルはしっかり乾燥しており、お湯も激熱。残念ですが、大量の水で薄めてしっかりかき混ぜ、何遍も掛け湯して、ようやく入ることができました。湯船に体を沈めると、ザバーっと勢いよく溢れ出すので、とっても豪快な気分になれました。
松竹梅の序列でいえば、この「松の湯」の方が「竹の湯」より高い風格があっても良いものですが、なぜか湯宿に限っては逆なんですよね。でもそんなギャップが面白いところ。見つけにくい場所なので、発見できたときの感慨もひとしおです。もし鍵が開いていたら、是非入ってみてください。


(両浴場とも温泉分析表の掲示なし)
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉

JR沼田駅・後閑駅・上毛高原駅から関越交通バス・猿ヶ京行で湯宿温泉下車(沼田駅から約50分、沼田駅発のバスは後閑駅と上毛高原駅を経由します)
群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉
・竹の湯の位置(地図
・松の湯の位置(地図

外来者開放時間 16:00頃~21:00
100円
備品類なし
地元のための施設ですので、くれぐれもマナーを守り、地元の方を優先で。

私の好み:★★★

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