温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

霧島温泉郷 目の湯・川の湯

2012年01月09日 | 鹿児島県
 
鹿児島県霧島は泣く子も黙る温泉の宝庫。霧島温泉郷の中心にあたる丸尾温泉には野湯が湧いていると知り、某日どんなところか行ってみることにしました。霧島温泉市場など観光施設が集まる丸尾温泉の中心部からS字の坂が続く県道1号線を登ってゆくと、やがて左手の路肩が広くなり、自然探勝路の入口に辿り着きました(おおよそこの辺り
常緑広葉樹が茂る森林はいかにも南国らしい植生ですが、この林に入るとすぐに道しるべが立っており、ここで「岩風呂」と書かれた右の方へ曲がると・・・


 
探勝路の入口から50m程度ですぐに霧島最古の岩風呂である「目の湯」に到着です。野湯というものは、辿り着くまで苦労するのが普通ですから、あまりにもあっけなく発見できたことにちょっと拍子抜けしちゃいました。岩の湯船には無色透明のお湯が張られていましたが、この日は小雪が舞うほど寒い日だったためか、湯温がかなり下がっており、入浴には適さない湯加減でした。


 
でも大丈夫さ! どうせそんなことだろうと、ここには他にも入浴に適した野湯が存在していることを、事前に調べておいたのです。目の湯のすぐ脇を、湯気を立ち上らせながら灰色の川が流れており、これが野湯好きの我がハートを鷲掴みしました。しかしながら、ためしに川へ手を突っ込んでみると、ちょっとぬるい。湯あみできないことはないが、もう少し熱い方がいいなぁ。湯の川は上流へ向かうほど熱くなる傾向にありますから、ちょっと遡ってみることにしました。



川の流れに沿って遡ると、川は細い舗装道路をくぐり、やがて視界が開けて窪地にたどり着きました。斜面の上で白い湯気を朦々と上げているのは硫黄谷の噴気帯ですね。入浴ポイントを見つけるべく遡っているのですが、この辺りはボッケのような地熱地帯で、泥地が広がり足元が悪く、迂闊に川へ近づくと危険です。川に沿って道が伸びているので、「更に上流はどうなっているのだろう」という好奇心が俄然芽生え、入浴は後回しにしてもっと上流へ向かってみることにしました。



窪地から更にさかのぼると、川の筋は細くなり、お湯は無色透明となって…


 
シューシューとけたたましい音を響かせながら煙突から真っ白な湯けむりを上げる温泉施設に行きつきました。おそらくここで地熱の蒸気を湧水を当てて造成泉をつくっているんだと思われますが、後日調べてみたら、ここのお湯はかの有名な旅館「旅行人山荘」へ引湯されているんだそうです(硫黄谷温泉)。その量が多くて余っちゃうため、施設の外へ捨てられて、それが川を形成していたわけです。
また、この無色透明の湯の川が、上述の窪地で硫黄谷から流れ落ちる灰色のお湯と合流し、川筋を広くして目の湯の方へと流れているようです。



さて、上流の様子を確認できたので、本来の目的である湯あみ場所探しへと戻ります。透明なお湯ではなく灰色の泥湯に入りたいので、辿ってきた川筋を下流へ戻り、川へ下りやすく、かつ川幅がしっかりある箇所を探します。注意深く観察していると、川に沿う道が湯の川をまたぐ手前(上流側)で希望に合う場所を見つけたので…



スッポンポンになって川へ「入浴」! ひやぁ~、いい気持ちだぁ。
川底がやや浅いので体を寝そべらせながらの湯あみになりましたが、上流に位置しているからか、「目の湯」付近よりも温度が高くて丁度良い湯加減でした。気温や天候によって入浴に適する場所は変わってくるかと思いますので、その日のコンディションに応じて川を遡ったり下ったりして、自分に合った場所を探すのも面白いですね。


川底にはグレーの湯泥がたっぷり堆積していました。このため足を入れるとズブズブ潜り、独特のヌメヌメ感に包まれましたが、もしかしたら人によってはこの感触が苦手な方もいらっしゃるかもしれません。天然の川ですから、湯泥に落ち葉や枝が混じっているのはご愛嬌。
なにはともあれ、天然の湯の川で硫黄の臭いが強い泥湯をたっぷり堪能させていただきました。車から降りてすぐ簡単にこんな魅力的な野湯に出会えるんですから、霧島ってパラダイスですね。



野湯につき分析表なし

国分駅・霧島温泉駅・鹿児島空港からいわさきバスの霧島いわさきホテル行に乗車し「硫黄谷」下車、坂を下って道を若干戻る
鹿児島県霧島市牧園町高千穂

野湯につき備品類なし
無料

私の好み:★★
コメント
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