(2017年3月補記)※こちらの施設は、2016年の春頃に一旦閉業したようですが、隣接する「皇池」によって(買収した?)、「皇池3館」として営業を再開しています。
とある日曜日の黄昏時、台北の天母でコーヒーを飲んでいたら、近くにある行義路(紗帽山)温泉へ夕食を兼ねて行ってみようと急に思い立ち、とりあえず路線バスに乗って行義路三のバス停で下車してみました。バス通りの東側に広がる谷には何軒もの温泉浴場付きレストランが営業しており、どこに行こうか迷ってしまいますが…
今回はその中の一つである「紗帽谷温泉餐庁」へ入ってみることにしました。
電飾の階段を下りて谷底へと向かいます。下りきると大規模なレストランへと導かれますが、建物のつくりから察するに、どうやら裏口から入っちゃったみたい。店内は大きな丸いテーブルばかりがずらりと並んでおり、日曜日の夜だからか7~8割方のテーブルはグループ客によって埋まっているという大盛況。1人で訪れた私は思いっきり場違いな客だったようですが、ホールの兄ちゃんにどこへ座ったら良いか尋ねたところ、ステージや生簀などが傍にある妙に目立つ席へと案内されました。
席に座ってメニューを見てから、さっきの兄ちゃんにオーダーを伝えたところ、兄ちゃんはその内容を伝票に書き、すぐにその伝票を私に返して「まず帳場で料金を払ってくれ」とのこと。なるほどここは料金先払いなんですね。帳場にて支払いを済ませると、支払済のスタンプが捺された伝票とともに入浴券が手渡されました。行義路(紗帽山)温泉の各温泉レストランでは一定以上金額(大抵は400元以上)の料理を注文すると入浴券がオマケでもらえるというシステムをとっていますが、こちらも同様です。ひとりで400元の食事をするのはけっこうな贅沢ですが、こういうレストランは単価が高いので、2品プラス飲み物を選べば簡単に400元を超えてしまいます。今回は空心菜のスパイシー炒めと茹で豚のガーリックソース掛け、そしてコーラを注文しました。料理は文句なしに美味い!
目の前のステージでは、アマチュアに毛をはやしたような若い男性が一人でキーボード弾き語り、テーブルの横にある生簀ではブクブクとポンプの音が絶え間なく響いて魚も飛び跳ねるという、なかなか騒々しい賑やかな店内で美味しく食事をいただきました。
さて食後にお風呂へと向かいましょう。こちらが正面玄関。やはり私が先程入ってきたのは裏口なんですね。付近には足湯らしき設備を見つけましたが、現在は使われていないようです。
温泉浴場は道路を挟んだ向かい側。回転バー式の入口ゲートをグルンと回して中へ入ると、受付ではおばさんがアンニュイな面持ちを浮かべながら座っていました。活気あふれるレストランとは見事なまでに対照的な雰囲気。受付の前ですぐに男女が分かれており、男湯は左側、女湯は右側です。
内部はとても混雑していたため写真撮影しませんでした。そのかわりレストラン内にあった看板の画像を映しましたので、これでご勘弁を。日曜の夜ですから混雑していて当然なのかもしれませんが、ザッと見回しただけでも30人近いお客さんが露天風呂を利用していました。こちらの露天風呂はいわゆる日式であり、全裸で入浴するのですが、台湾でこれほど混雑してしまうほど日本式の全裸入浴が市民権を得ていることに、温泉を愛する日本人として感慨ひとしおだったとともに、30人もの台湾人が全裸でうろうろしている光景が何とも不思議でたまりませんでした。
撮影できなかったので文章で場内の様子を簡単に説明しますと、まず男湯の暖簾を潜ってすぐに下足場です。下足エリアと裸足(入浴)エリアがフラットになっているため足元がドロドロ&ビショビショな状態になってしまっているのは、台湾ではよく見られる光景なのでこれは致し方ないところ。下足場から反時計回りに見た場合、隣に位置するのがロッカー&更衣スペース。ロッカーがコの字形に配置されているため、利用客同士で干渉してしまい、更衣できるスペースが空くのを待つお客さんが発生していました。
ロッカー&更衣スペースの隣はシャワーブース。シャワー付き混合栓が9基設置されており、シャンプーやボディーソープが使えるのは嬉しいところ。シャワーブースから若干間をあけてマッサージ&アカスリ室の小屋が並び、その隣にはジャクジーの温浴槽(真湯)、デッキチェアーが用意された休憩スペース、ベンチが置かれた休憩小屋と続きます。この休憩小屋が一番奥にあたり、そこから手前側へ折り返して、ドライサウナ、スチームバス、温泉打たせ湯、副浴槽、水風呂、そして主浴槽と並んで、これでようやく一周です。よりどりみどり、いろんなお風呂が楽しめるわけでして、人気を集めるのも頷けますね。しかも全体的に木々の緑で覆われており、まるで庭園の中にいるかのような落ち着ける環境であることも、人気を集めるファクターのひとつかもしれません。
主浴槽は形状が楕円形、約15人サイズで40℃くらいの温泉が張られています。一方、副浴槽はまん丸い形状で約10人サイズ、頭上には緑と黄色が縞になったネットが張られており、湯加減はここのお風呂の中で最も熱い43℃程です。打たせ湯は台湾お馴染みの強力タイプで、生半可な気持ちで打たせようものなら体がバラバラになりそうなほどの勢いでお湯が噴射されています。ゴツい岩によって3人分にセパレートされているのですが、その岩の内側は温泉成分に依るのかベージュに着色しており、思わず目が惹かれました。なおこの打たせ湯槽のみならず、主副各浴槽も槽内はベージュ色に染まっています。
この打たせ湯を含め、主浴槽や副浴槽など温泉が張られている各浴槽は他施設より一段高くなっており、周囲の植栽の緑と相まって、この温泉エリアはガーデンテラスのような雰囲気を漂わせていました。なお各浴槽とも槽内で注湯と排湯が行われており、オーバーフローは見られず、どのような湯使いになっているかは不明。
レストランの帳場に置かれた天然温泉の証。
露天風呂入口に貼ってあった説明には青磺泉と白磺泉を使用していると書かれていたのですが、これって青磺泉と白磺泉を混合させているということなのでしょうか(よくわかりません)。実際に温泉浴槽で引かれているお湯は、青白く強く濁っており、訪問時は夜だったためか底まで光が届かず、混雑したお風呂では気を付けないと他人の脚を踏んづけてしまいそうでした。お湯からははっきりとしたやや刺激のある硫黄臭が漂っており、湯上り後もしばらくは全身から硫黄の匂いがプンプンしていたほどです。白濁の硫黄泉ですが酸味は意外にも弱く、その代わりにほんのりとした苦みと明瞭な石膏味を有し、泥湯にも似た粉っぽいサラサラ浴感が楽しめました。なお温泉槽のお湯は各槽とも同じお湯が引かれていました。
緑に囲まれた環境の中、裸で露天風呂に入浴でき、しかもいろんなお風呂が楽しめる、なかなか魅力的な温泉施設でした。多くのお客さんで賑わっているのも頷けます。ただ使い勝手が良いわけでも清潔感が保たれているわけでもないので、万人が満足できるかどうかは微妙かもしれません(特に神経質な日本人でしたら評価は分かれるかも)。尤も私は最混雑時間帯に利用してしまったためマイナス面が目についてしまったのですが、そうしたタイミングを避ければ気持ち良く湯あみできるのではないかと思います。ついでに言えば、場内では屈強な体つきな男性客が他のお客さんに対して目を光らせていました。もしかして、ここってハッ●ン場なの? おぉ怖い…。
●余談 源泉地帯を散策
湯上りに体をクールダウンさせるべく、行義路(紗帽山)温泉の源泉地帯を簡単に散策してみました。当温泉地では小さな川の対岸の山肌にある地獄谷のような噴気帯の源泉地から温泉を引いて利用していますが、数年前まではいくつもの温泉配管が無秩序に伸びて景観を台無しにしていました。この配管類や地盤を民国98年(2009年)に行政側が整備し、源泉が湧出している様子を観察できる160メートルの木道を設けて、景観の回復に努めています。
参考までに、工事がはじまる直前(3年前)に私が撮った当地の画像をご覧ください。安物のデジカメで望遠したため鮮明な画像ではなくて申し訳ないのですが、あたかも体内に大量発生した寄生虫のように、山肌に何本もの配管が無秩序に這っており、これによって景観が損なわれるばかりでなく、山肌崩落などの危険性も高まってしまいます。従ってここの整備は急務だったわけですね。
噴気帯の荒々しい岩肌に沿って伸びる歩道。
露出した岩肌のあちこちで湯煙を上げながら温泉が湧出しています。源泉溜りからはホースが伸び、温泉地内の各施設へと引湯されています。
歩道の途中で温泉街を展望。どの施設も多くのお客さんで賑わっているようでした。温泉はすっかり台湾人の生活に溶け込んでいるんですね。
自治体が立てた説明プレートによれば、この一帯の温泉は磺渓嶺温泉と称するみたいです。行義路温泉、紗帽山温泉、そして磺渓嶺温泉…。どれが本当の温泉名なのかな。景観整備の次は、名称の整理・統一をお願いしたいところです。
65℃ pH5.9 総溶解固体量281mg
捷運(MRT)・石牌駅から508・535・536系統の路線バスで「行義路3」下車、徒歩2~3分
台北市北投区行義路300巷底 地図
(02)28626199
ホームページ
24時間営業・年中無休
400元以上の食事で入浴料無料
(入浴のみの利用も可能)
ロッカー(有料・10元×2枚)、シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
とある日曜日の黄昏時、台北の天母でコーヒーを飲んでいたら、近くにある行義路(紗帽山)温泉へ夕食を兼ねて行ってみようと急に思い立ち、とりあえず路線バスに乗って行義路三のバス停で下車してみました。バス通りの東側に広がる谷には何軒もの温泉浴場付きレストランが営業しており、どこに行こうか迷ってしまいますが…
今回はその中の一つである「紗帽谷温泉餐庁」へ入ってみることにしました。
電飾の階段を下りて谷底へと向かいます。下りきると大規模なレストランへと導かれますが、建物のつくりから察するに、どうやら裏口から入っちゃったみたい。店内は大きな丸いテーブルばかりがずらりと並んでおり、日曜日の夜だからか7~8割方のテーブルはグループ客によって埋まっているという大盛況。1人で訪れた私は思いっきり場違いな客だったようですが、ホールの兄ちゃんにどこへ座ったら良いか尋ねたところ、ステージや生簀などが傍にある妙に目立つ席へと案内されました。
席に座ってメニューを見てから、さっきの兄ちゃんにオーダーを伝えたところ、兄ちゃんはその内容を伝票に書き、すぐにその伝票を私に返して「まず帳場で料金を払ってくれ」とのこと。なるほどここは料金先払いなんですね。帳場にて支払いを済ませると、支払済のスタンプが捺された伝票とともに入浴券が手渡されました。行義路(紗帽山)温泉の各温泉レストランでは一定以上金額(大抵は400元以上)の料理を注文すると入浴券がオマケでもらえるというシステムをとっていますが、こちらも同様です。ひとりで400元の食事をするのはけっこうな贅沢ですが、こういうレストランは単価が高いので、2品プラス飲み物を選べば簡単に400元を超えてしまいます。今回は空心菜のスパイシー炒めと茹で豚のガーリックソース掛け、そしてコーラを注文しました。料理は文句なしに美味い!
目の前のステージでは、
さて食後にお風呂へと向かいましょう。こちらが正面玄関。やはり私が先程入ってきたのは裏口なんですね。付近には足湯らしき設備を見つけましたが、現在は使われていないようです。
温泉浴場は道路を挟んだ向かい側。回転バー式の入口ゲートをグルンと回して中へ入ると、受付ではおばさんがアンニュイな面持ちを浮かべながら座っていました。活気あふれるレストランとは見事なまでに対照的な雰囲気。受付の前ですぐに男女が分かれており、男湯は左側、女湯は右側です。
内部はとても混雑していたため写真撮影しませんでした。そのかわりレストラン内にあった看板の画像を映しましたので、これでご勘弁を。日曜の夜ですから混雑していて当然なのかもしれませんが、ザッと見回しただけでも30人近いお客さんが露天風呂を利用していました。こちらの露天風呂はいわゆる日式であり、全裸で入浴するのですが、台湾でこれほど混雑してしまうほど日本式の全裸入浴が市民権を得ていることに、温泉を愛する日本人として感慨ひとしおだったとともに、30人もの台湾人が全裸でうろうろしている光景が何とも不思議でたまりませんでした。
撮影できなかったので文章で場内の様子を簡単に説明しますと、まず男湯の暖簾を潜ってすぐに下足場です。下足エリアと裸足(入浴)エリアがフラットになっているため足元がドロドロ&ビショビショな状態になってしまっているのは、台湾ではよく見られる光景なのでこれは致し方ないところ。下足場から反時計回りに見た場合、隣に位置するのがロッカー&更衣スペース。ロッカーがコの字形に配置されているため、利用客同士で干渉してしまい、更衣できるスペースが空くのを待つお客さんが発生していました。
ロッカー&更衣スペースの隣はシャワーブース。シャワー付き混合栓が9基設置されており、シャンプーやボディーソープが使えるのは嬉しいところ。シャワーブースから若干間をあけてマッサージ&アカスリ室の小屋が並び、その隣にはジャクジーの温浴槽(真湯)、デッキチェアーが用意された休憩スペース、ベンチが置かれた休憩小屋と続きます。この休憩小屋が一番奥にあたり、そこから手前側へ折り返して、ドライサウナ、スチームバス、温泉打たせ湯、副浴槽、水風呂、そして主浴槽と並んで、これでようやく一周です。よりどりみどり、いろんなお風呂が楽しめるわけでして、人気を集めるのも頷けますね。しかも全体的に木々の緑で覆われており、まるで庭園の中にいるかのような落ち着ける環境であることも、人気を集めるファクターのひとつかもしれません。
主浴槽は形状が楕円形、約15人サイズで40℃くらいの温泉が張られています。一方、副浴槽はまん丸い形状で約10人サイズ、頭上には緑と黄色が縞になったネットが張られており、湯加減はここのお風呂の中で最も熱い43℃程です。打たせ湯は台湾お馴染みの強力タイプで、生半可な気持ちで打たせようものなら体がバラバラになりそうなほどの勢いでお湯が噴射されています。ゴツい岩によって3人分にセパレートされているのですが、その岩の内側は温泉成分に依るのかベージュに着色しており、思わず目が惹かれました。なおこの打たせ湯槽のみならず、主副各浴槽も槽内はベージュ色に染まっています。
この打たせ湯を含め、主浴槽や副浴槽など温泉が張られている各浴槽は他施設より一段高くなっており、周囲の植栽の緑と相まって、この温泉エリアはガーデンテラスのような雰囲気を漂わせていました。なお各浴槽とも槽内で注湯と排湯が行われており、オーバーフローは見られず、どのような湯使いになっているかは不明。
レストランの帳場に置かれた天然温泉の証。
露天風呂入口に貼ってあった説明には青磺泉と白磺泉を使用していると書かれていたのですが、これって青磺泉と白磺泉を混合させているということなのでしょうか(よくわかりません)。実際に温泉浴槽で引かれているお湯は、青白く強く濁っており、訪問時は夜だったためか底まで光が届かず、混雑したお風呂では気を付けないと他人の脚を踏んづけてしまいそうでした。お湯からははっきりとしたやや刺激のある硫黄臭が漂っており、湯上り後もしばらくは全身から硫黄の匂いがプンプンしていたほどです。白濁の硫黄泉ですが酸味は意外にも弱く、その代わりにほんのりとした苦みと明瞭な石膏味を有し、泥湯にも似た粉っぽいサラサラ浴感が楽しめました。なお温泉槽のお湯は各槽とも同じお湯が引かれていました。
緑に囲まれた環境の中、裸で露天風呂に入浴でき、しかもいろんなお風呂が楽しめる、なかなか魅力的な温泉施設でした。多くのお客さんで賑わっているのも頷けます。ただ使い勝手が良いわけでも清潔感が保たれているわけでもないので、万人が満足できるかどうかは微妙かもしれません(特に神経質な日本人でしたら評価は分かれるかも)。尤も私は最混雑時間帯に利用してしまったためマイナス面が目についてしまったのですが、そうしたタイミングを避ければ気持ち良く湯あみできるのではないかと思います。ついでに言えば、場内では屈強な体つきな男性客が他のお客さんに対して目を光らせていました。もしかして、ここってハッ●ン場なの? おぉ怖い…。
●余談 源泉地帯を散策
湯上りに体をクールダウンさせるべく、行義路(紗帽山)温泉の源泉地帯を簡単に散策してみました。当温泉地では小さな川の対岸の山肌にある地獄谷のような噴気帯の源泉地から温泉を引いて利用していますが、数年前まではいくつもの温泉配管が無秩序に伸びて景観を台無しにしていました。この配管類や地盤を民国98年(2009年)に行政側が整備し、源泉が湧出している様子を観察できる160メートルの木道を設けて、景観の回復に努めています。
参考までに、工事がはじまる直前(3年前)に私が撮った当地の画像をご覧ください。安物のデジカメで望遠したため鮮明な画像ではなくて申し訳ないのですが、あたかも体内に大量発生した寄生虫のように、山肌に何本もの配管が無秩序に這っており、これによって景観が損なわれるばかりでなく、山肌崩落などの危険性も高まってしまいます。従ってここの整備は急務だったわけですね。
噴気帯の荒々しい岩肌に沿って伸びる歩道。
露出した岩肌のあちこちで湯煙を上げながら温泉が湧出しています。源泉溜りからはホースが伸び、温泉地内の各施設へと引湯されています。
歩道の途中で温泉街を展望。どの施設も多くのお客さんで賑わっているようでした。温泉はすっかり台湾人の生活に溶け込んでいるんですね。
自治体が立てた説明プレートによれば、この一帯の温泉は磺渓嶺温泉と称するみたいです。行義路温泉、紗帽山温泉、そして磺渓嶺温泉…。どれが本当の温泉名なのかな。景観整備の次は、名称の整理・統一をお願いしたいところです。
65℃ pH5.9 総溶解固体量281mg
捷運(MRT)・石牌駅から508・535・536系統の路線バスで「行義路3」下車、徒歩2~3分
台北市北投区行義路300巷底 地図
(02)28626199
ホームページ
24時間営業・年中無休
400元以上の食事で入浴料無料
(入浴のみの利用も可能)
ロッカー(有料・10元×2枚)、シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★