※この記事は2012年5月上旬時点の状況をレポートしたものです。
八甲田山中の田代平から近い一軒宿「八甲田温泉遊仙」が昨年(2011年)秋に休業したという話を聞いた時には「あぁ、またしても貴重な温泉宿が消えてしまうのか…」と落胆したのですが、その不安は杞憂だったようで、半年後の2012年4月には「ぬぐだまりの里 秘湯 八甲田温泉」と名称を変更した上で営業が再開されました。しかも名称のみならず施設そのものも模様替えしたらしいので、5月の連休最終日、青森県で所用を済ませたついでに、どんな感じになっているのか行ってみることにしました。
青森市街から駒込川に沿って八甲田山中へ伸びる県道40号線。標高が上がるにつれて路肩には雪が目立ち始め、銅像茶屋の先はまだまだどっさりと雪が残っていました。5月の連休も終わるというのに、こんなに残雪が積もっているなんて珍しいですね。私の車は夏タイヤだったので、この雪にちょっとビクビクしながら先へと進みました。
昭和13年に弘前で編成されてその後仏印へ移動した歩兵第82連隊「第四中隊之碑」の足元もまだ雪で覆われたまま。
さて現地へ到着しました。外観は特に大きな変化は見られませんね。
既に営業再開しているはずですが、建物のあちこちで色々と工事中。本当に営業しているのかしら。
画面ではほとんど見えませんが、玄関には旧名称「遊仙」の二文字が書かれた大きな提灯がぶら下がっていました。
玄関に入ると宿の主人が出迎えてくれたので、早速入浴したい旨を申し上げると「現在原因究明中なのですが、大浴場は源泉湧出の量と温度が低下しているため利用できません。らむね風呂だけでしたら大丈夫ですけど、いかがなさいますか」とのこと。私個人としては寧ろ「らむね風呂」に入りたかったので、二つ返事で入浴をお願いしたところ、上述のような事情を理由に主人は入浴料をちょっぴりオマケしてくれました。なおフロントの前には券売機が設置されているので、日帰り入浴を積極的に受け入れる営業姿勢をとっているようです。
フロントから左側へ向かい、古民具が陳列されている廊下を進み…
お座敷があるところを右へ曲がり…
廊下を進んだ突き当りの非常口に、家庭のお風呂掃除で使うようなペラペラのビニルスリッパがたくさん並べられていました。どうやらここで履き替えて屋外へと出るようです。
屋外へ出ると、右に見えるこの建物は内風呂ですね。今回は利用できませんでしたが、いつ復活するんでしょうか。
コンパネの上にブルーシートが敷かれたデコボコの仮通路の先にはログハウス調の新しい小屋が建てられていました。昔は「白樺荘」という別棟だったかと思いますが、完全に建て直したんですね。上物は出来上がったけど、その周囲(アプローチ)などはまだ工事中のようです。
浴室は男女別に分かれている他、家族風呂もあるみたいですが、訪問時家族風呂には「使用中」の札が提げられていました。
脱衣室には木製無地の屏風が立てられ、床には籠が置いてあるのみ。棚や鏡台などは無く、実に簡素な造りです。この状態ってまだ未完成で今後設備を充実させてゆくのかな? あるいはこれでもう完成形なのかしら?
木の香りが強く漂う浴室には、室内の幅いっぱいにひとつの浴槽が据えられていました。真新しい白木ならではの美しさと明るさに満ちています。側壁下方に常時通風のルーバー窓が設けられていますが、これは後述するように二酸化炭素ガス中毒を防止するためのものでしょう。なお浴室内にはシャワーなどの設備はなく、水の蛇口がいくつかあるばかり。このお風呂は体を洗うのではなく、じっくり湯に浸かるためだけの施設と割り切った方がよさそうです。
木枠の湯口からラムネ湯の源泉がドボドボと大量に投入され、浴槽の縁から惜しげもなくオーバーフローしてゆきます。
お湯はほんのり青白色っぽさを帯びたほぼ無色透明に近い色、口に含むと強烈にすっぱくて口腔が一気に収斂し、加えて強い炭酸味と硫黄味が感じられます。また火山の噴気孔的な硫化水素臭が湯面からはっきりと漂い、入浴後の体にしっかりとこびりつきます。薄い白&黄の湯の華が沢山浮遊しています。こんな強い個性だけでも十分興奮するのに…
「らむね湯」というだけあって、肌が真白く見えるほど夥しい炭酸の気泡が全身にまとわりついてきます。いやぁ、こりゃ凄いぞ! 拭っても拭っても泡付きはとどまることを知りません。この泡付きを目にして興奮しっぱなし。これほどの炭酸ガスを含んでいるんですから、中毒を防ぐためのルーバーは必須ですね。この泡のおかげで、本来は引っかかりを有しそうな泉質なのにスベスベ浴感が勝っていました。本当にワンダフルです。加水加温循環消毒なしの完全掛け流し。源泉温度はそれほど高くなく、湯船では36~7℃ですが、この湯加減のおかげでいつまでも長湯でき、しかも炭酸ガスのおかげで体の芯からポカポカ。入浴中は夢の世界にトリップしているようでした。
営業再開後も工事中の箇所がまだ残っているので、連休に間に合わせるべくちょっと見切り発車でオープンしちゃったのかもしれません。今回は「らむね館」しか利用できませんでしたが、今後整備が進んで大浴場も復活したら、避暑目的で改めて再訪してみたいと思います。
温泉分析表見当たらず
青森県青森市駒込深沢766-2 地図
017-738-8288
日帰り入浴10:00~17:30
大浴場500円・らむね館800円・大浴場+らむね館1000円
らむね館には備品類なし
私の好み:★★★
八甲田山中の田代平から近い一軒宿「八甲田温泉遊仙」が昨年(2011年)秋に休業したという話を聞いた時には「あぁ、またしても貴重な温泉宿が消えてしまうのか…」と落胆したのですが、その不安は杞憂だったようで、半年後の2012年4月には「ぬぐだまりの里 秘湯 八甲田温泉」と名称を変更した上で営業が再開されました。しかも名称のみならず施設そのものも模様替えしたらしいので、5月の連休最終日、青森県で所用を済ませたついでに、どんな感じになっているのか行ってみることにしました。
青森市街から駒込川に沿って八甲田山中へ伸びる県道40号線。標高が上がるにつれて路肩には雪が目立ち始め、銅像茶屋の先はまだまだどっさりと雪が残っていました。5月の連休も終わるというのに、こんなに残雪が積もっているなんて珍しいですね。私の車は夏タイヤだったので、この雪にちょっとビクビクしながら先へと進みました。
昭和13年に弘前で編成されてその後仏印へ移動した歩兵第82連隊「第四中隊之碑」の足元もまだ雪で覆われたまま。
さて現地へ到着しました。外観は特に大きな変化は見られませんね。
既に営業再開しているはずですが、建物のあちこちで色々と工事中。本当に営業しているのかしら。
画面ではほとんど見えませんが、玄関には旧名称「遊仙」の二文字が書かれた大きな提灯がぶら下がっていました。
玄関に入ると宿の主人が出迎えてくれたので、早速入浴したい旨を申し上げると「現在原因究明中なのですが、大浴場は源泉湧出の量と温度が低下しているため利用できません。らむね風呂だけでしたら大丈夫ですけど、いかがなさいますか」とのこと。私個人としては寧ろ「らむね風呂」に入りたかったので、二つ返事で入浴をお願いしたところ、上述のような事情を理由に主人は入浴料をちょっぴりオマケしてくれました。なおフロントの前には券売機が設置されているので、日帰り入浴を積極的に受け入れる営業姿勢をとっているようです。
フロントから左側へ向かい、古民具が陳列されている廊下を進み…
お座敷があるところを右へ曲がり…
廊下を進んだ突き当りの非常口に、家庭のお風呂掃除で使うようなペラペラのビニルスリッパがたくさん並べられていました。どうやらここで履き替えて屋外へと出るようです。
屋外へ出ると、右に見えるこの建物は内風呂ですね。今回は利用できませんでしたが、いつ復活するんでしょうか。
コンパネの上にブルーシートが敷かれたデコボコの仮通路の先にはログハウス調の新しい小屋が建てられていました。昔は「白樺荘」という別棟だったかと思いますが、完全に建て直したんですね。上物は出来上がったけど、その周囲(アプローチ)などはまだ工事中のようです。
浴室は男女別に分かれている他、家族風呂もあるみたいですが、訪問時家族風呂には「使用中」の札が提げられていました。
脱衣室には木製無地の屏風が立てられ、床には籠が置いてあるのみ。棚や鏡台などは無く、実に簡素な造りです。この状態ってまだ未完成で今後設備を充実させてゆくのかな? あるいはこれでもう完成形なのかしら?
木の香りが強く漂う浴室には、室内の幅いっぱいにひとつの浴槽が据えられていました。真新しい白木ならではの美しさと明るさに満ちています。側壁下方に常時通風のルーバー窓が設けられていますが、これは後述するように二酸化炭素ガス中毒を防止するためのものでしょう。なお浴室内にはシャワーなどの設備はなく、水の蛇口がいくつかあるばかり。このお風呂は体を洗うのではなく、じっくり湯に浸かるためだけの施設と割り切った方がよさそうです。
木枠の湯口からラムネ湯の源泉がドボドボと大量に投入され、浴槽の縁から惜しげもなくオーバーフローしてゆきます。
お湯はほんのり青白色っぽさを帯びたほぼ無色透明に近い色、口に含むと強烈にすっぱくて口腔が一気に収斂し、加えて強い炭酸味と硫黄味が感じられます。また火山の噴気孔的な硫化水素臭が湯面からはっきりと漂い、入浴後の体にしっかりとこびりつきます。薄い白&黄の湯の華が沢山浮遊しています。こんな強い個性だけでも十分興奮するのに…
「らむね湯」というだけあって、肌が真白く見えるほど夥しい炭酸の気泡が全身にまとわりついてきます。いやぁ、こりゃ凄いぞ! 拭っても拭っても泡付きはとどまることを知りません。この泡付きを目にして興奮しっぱなし。これほどの炭酸ガスを含んでいるんですから、中毒を防ぐためのルーバーは必須ですね。この泡のおかげで、本来は引っかかりを有しそうな泉質なのにスベスベ浴感が勝っていました。本当にワンダフルです。加水加温循環消毒なしの完全掛け流し。源泉温度はそれほど高くなく、湯船では36~7℃ですが、この湯加減のおかげでいつまでも長湯でき、しかも炭酸ガスのおかげで体の芯からポカポカ。入浴中は夢の世界にトリップしているようでした。
営業再開後も工事中の箇所がまだ残っているので、連休に間に合わせるべくちょっと見切り発車でオープンしちゃったのかもしれません。今回は「らむね館」しか利用できませんでしたが、今後整備が進んで大浴場も復活したら、避暑目的で改めて再訪してみたいと思います。
温泉分析表見当たらず
青森県青森市駒込深沢766-2 地図
017-738-8288
日帰り入浴10:00~17:30
大浴場500円・らむね館800円・大浴場+らむね館1000円
らむね館には備品類なし
私の好み:★★★