温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

一本木沢温泉

2012年05月25日 | 青森県
 
十和田市の国道4号バイパス沿いに建つサークルKからちょっと入ったところで2011年12月に新規開業したばかりの温泉公衆浴場「一本木沢温泉」へ行ってきました。昨年末に新規オープンの報を聞き、その後早々に温泉ファンの方によってレポートされている評判を目にしたら、すぐにでも訪問してみたい欲求に駆られ、今年(2012年)の2月に廃止目前だった十和田観光電鉄へ乗り納めに行った際、工業高校駅からスケート場のようにカッチカチに凍った道を片道20分歩いて現地へ赴いたのですが、運が悪いことにその日は臨時休業だったために入浴することができず、非常に悔しい思いをしながらトボトボと駅へと戻っていったことがありました。東京圏で生活する私にとって、北東北、とりわけ青森県へ行き来することはかなり時間と体力と資本を必要とすることなので、そう簡単には再訪する機会が得られません。それからというもの、何としてでも早いうちに雪辱を果たしたいという執念に取り憑かれ続けていたのですが、その3か月後の5月上旬に所用で弘前方面へ出かける機会が得られたので、津軽地方からわざわざ青森県を横断して十和田市へ向かい、ようやくこちらでの入浴を果たすことができたのであります。

駐車場はとっても広々としており、道路に面した焼肉屋さんと共有しているのかと思われます。建物の外観はシックな色合いで、看板が無ければここが温泉であるとわからないかもしれません。


 
館内はどこもかしこもピカピカです。下足場にはたくさんの靴が置かれており、既に内部では多くのお客さんが利用していることが窺えます。玄関を入ると受付の女性が明るく朗らかに挨拶してくれました。券売機で料金を支払って中へと進みます。フロント前の広間の奥には休憩用のお座敷も設けられていました。



脱衣所も綺麗で使い勝手もまずまず(尤も、敷地面積に余裕があるのだから、もう少し広くしても良かったかもしれません)。公衆浴場らしく棚にはたくさんのカゴが置かれており、多くのお客さんはこのカゴを使っているようでしたが、カゴのみならずコインリターン式のロッカーもたくさん設置されており、荷物の安全面を気にするお客さんでも問題なく利用できる設備が整っていました。また、洗面台には無料で使えるドライヤーが2台も用意されており、有料で1台のみが多い青森県の他の公衆浴場と比べると細かなサービス面にも配慮が行き届いているように感じられました。



天井が高く開放感に溢れる浴室内は木目調の建材を多用したぬくもりのあるデザインとなっており、タイル貼りで無機質になりがちな他の浴場と比べて、落ち着きのある空間構成であるように実感しました。男湯の場合、右側に洗い場が、左側に浴槽がそれぞれ並んでいます。

洗い場は計39箇所のシャワー付き混合栓が、壁から櫛状に突き出た4~5本の低い仕切り壁に取り付けられており、その仕切り壁によって洗い場を利用している人の姿が見えにくくなるため、たとえ浴室内が混雑していても、それをあまり視覚的に感じさせない造りになっていました。なお水栓はごく一般的な混合水栓が用いられており、どんなに新しくても古典的な押しバネ水栓と固定式シャワーにこだわる青森県の公衆浴場の中では異色な存在かもしれません(というか古典的なスタイルにこだわる青森県こそ全国的にみれば異色なのですが)。水栓から出るお湯は源泉そのものでして、正直なところ、浴槽より水栓の方がお湯の知覚的特徴が強く感じられました。

浴槽類は手前から、サウナ・水風呂・低温槽・中温槽・中温バブル槽(ジャクジー)・高温深浴槽の順に並んでおり、温度の高低にかかわらず温浴槽には源泉が張られています。各温浴槽とも浴槽隅っこに設けられた湯口から源泉が投入されて、縁の切り欠けから溢湯しており、槽内吸引などは見られない事から、加水あるいは加温はあるかもしれませんが、循環などは行われていないのだろうと推測されます。



浴室入口付近にはこのような打たせ湯の他、掛け湯槽もありました。


 
公衆浴場なのに露天風呂を利用できるのは嬉しいですね。周囲を塀に囲まれているため景色は楽しめないものの、公衆浴場とは思えない広い空間が確保されている上に旅館のような庭園風のつくりになっているため、ゆったりと寛いで湯あみすることができました。頭上は屋根が覆っているので雨や雪の日でも大丈夫。浴槽の縁には木材が、そして槽内底面はチャコールグレーの平たい石材が用いられており、この底におしりが触れた時の感触が良く、また浴槽は全体的に浅くつくられているため、縁に頭を載せてちょっと寝そべったような体制で入るとちょうどよい塩梅で全身浴できました。



木の湯口から源泉が注がれており、排水口の吸引が間に合わないほどしっかりとオーバーフローしていました。お湯の特徴としては無色透明で、僅かに臭素的な香りとはっきりとした塩味を有し、いかにも食塩泉的な優しいスベスベ浴感が肌に伝わり、とてもよく温まります。各温浴槽とも同じ源泉を引いているはずなのですが、湯使いの違いからか知覚面、とくに味や匂いに差があり、個人的には低温槽とシャワーがもっとも濃く感じられました。

開業からまだ半年しか経っていないというのに、既に多くの常連客を獲得しており、訪問時(平日夕方5~6時)には常時20人近いお客さんが浴室を出入りしていました。広い空間と洗い場水栓の配置方法により、混雑していてもそれに気付くことなく、入浴していてストレスを感じさせないのは素晴らしいところです。お湯の質も使い勝手もまずまずですし、広く明るくて綺麗なところは非常に魅力的ですね。


一本木沢温泉(再分析)
ナトリウム-塩化物温泉 42.6℃ pH8.36 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質3.764g/kg 成分総計3.769g/kg
Na+:1204mg(86.86mval%),
Cl-:1892mg(88.88mval%),
H2SiO3:161mg

青森県十和田市大字三本木字一本木沢92-5  地図
0176-20-1001

5:30~22:00 年中無休
350円
ロッカー(100円リターン式および貴重品用小ロッカー)・ドライヤーあり、各種入浴道具販売あり

私の好み:★★★
コメント (2)
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