温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

黄金川温泉 白鳥荘

2012年05月20日 | 宮城県

今回スポットライトを当てるのは、ご近所のお年寄りに大人気であり、かつ温泉ファンからの評価も高い蔵王町の老人福祉施設「白鳥荘」です。こちらは2010年2月に突然源泉が出なくなったために休業していましたが、新しい源泉を掘削して同年12月に営業再開しております。その翌年に発生した東日本大震災の時には再び一時休業に追い込まれたそうですが、数日後に見事復活を遂げ、何度もトラブルに見舞われてもめげずに復活するという歩みは、白鳥というよりフェニックスと称すべきかもしれません。
私もこちらには何度か訪れていますが、新源泉使用後はなかなか訪問できずにおり、先日機会を見つけてやっと訪問できました。源泉井改修とともに建物も若干改装したそうですが、建物の外観には特に変化がないようでした。


 
新源泉を使用するようになってからは湧出量が倍増したらしく、その恩恵を受けてか足湯が新設されていました。


 
内部も一見すると目立った変化はないようでしたが、以前喫煙室があったところが自動販売機コーナーへと改修されて喫煙室が建物の隅っこへ追いやられていたり、有料の休憩室が拡大されていたりと、よく見たらいくつかの変化点が確認できました。このため受付横に掲示されている料金表も、パッと見では以前のままのようですが、館内レイアウト変更に伴い内容が大幅に変更されています。でも入浴料金など基本的なものは同じで、町外の利用者の入浴料金は350円のまま。事務所の前ではたくさんの農産物が販売されていました。

さて料金を支払って浴室の扉を開けると、その向こうのスリッパ脱ぎ場には夥しいスリッパが床を埋めつくしていました。うわわ…、内部は相当混雑しているんだな…。覚悟を決めて中へ(混雑のため内部の様子はほとんど撮影しておりませんのであしからず)。奥へ細長い構造の脱衣場は全面木目の内装材が用いられており、スチールロッカーが設置されています。ロッカーは以前はコイン使用のリターン式だったはずですが、今では無料(コイン不要)で施錠できるようになっていました。この脱衣所で特徴的なのが、脱衣室内に置かれている扇風機でして、1台程度でしたらどの温泉でも見かけますが、こちらは床置き1台とロッカー上2台の計3台が狭い室内でウンウン唸りながらグルグル廻っているのです。後述しますが、ここの温泉はとてもよく火照ってしまうので、湯上り後もなかなか汗が引かず、かなり体力が奪われてしまいますから、主要な利用者であるお年寄りの体調に配慮して、このようにたくさんの扇風機が用意されているのかと思います。


 
(今年(2012年)訪問時には混雑のため浴室内の撮影できなかったので、2009年撮影の画像を掲載させていただきます。)
本年(2012年)利用時は土曜の午後2時頃に利用したのですが、浴室は常時15人以上のお客さんがおり、7つあるカラン(シャワー付き混合栓)には空き待ちが発生するほどの大混雑でした。ここはいつ行っても混んでますね。以前と比べると室内は若干改装されており、側面は腰部まで煉瓦のような壁材が貼られ、そこから上はクリームホワイト色に塗装されていました。一方、浴槽廻りは以前とあまり変わっていないようで、平たい岩を積み上げたような造りの湯口から加水された源泉がドバドバ投入され、浴槽の縁の全辺から贅沢にオーバーフローしています。オーバーフローのお湯が流れる床は10円玉のような赤銅色に染まっており、特に浴槽の縁はつやつやとした金属的な光沢を放っていました。

床をそんな色に染めるお湯は、まるでミネストローネスープのような赤みを帯びながら黄金色に強く濁っており、とてもしょっぱく、塩味の他に金気や何かが黒く焦げたような硫黄的な知覚も感じられます。旧源泉時代には湯口でタマゴ臭が嗅ぎ取れましたが、現在の新源泉ではタマゴ臭ではなく上述のような黒焦げ的な匂いへと変化しているようです。また旧源泉より新源泉の方が赤みや濁り方が強いようにも思われます(あくまで個人的見解ですが)。公営の温浴施設なのに塩素消毒されていないのは非常にうれしいところです。

源泉は高温のために加水されているそうですが、加水量が少ないのか湯舟はちょっと熱めの湯加減に設定されており、濃い塩分と熱めの湯加減というコンボが無法者ボクサーのような凶暴な性質となって湯あみ客の体をボディーブローし続け、ものの数分でたちまちノックダウン、あっという間にヘロヘロになってしまいます。このため床では何人もの御爺ちゃんがグッタリと蹲っていました。そんな攻撃的なお湯なのに客足が途絶えないのですから、この温泉を愛する皆さんは余程のMだったりして。

こうしたお湯のお風呂ですと、一般的には客の回転が速くなるものですが、利用客がお年寄りばかりなので、どうしても回転が遅くなってしまうのが、お風呂の混雑に拍車をかけてしまうのでしょう。お風呂は単なる内湯しかなく、特に趣向も風情もあるわけではなく、その上常時混雑しているので、泉質重視の温泉ファン以外にはあまりすすめられませんが、新源泉移行後も濃厚で凶暴なお湯を堪能することができるのは嬉しい限りです。


黄金川温泉第二源泉
ナトリウム-塩化物温泉 49.0℃ pH7.0 蒸発残留物11100mg/kg 
Na+:3652mg(85.31mval%), Ca++:334.3mg(8.96mval%),
Cl-:6013mg(91.78mval%),
遊離CO2:225mg,
加水あり(高温のため)

【参考 旧源泉の分析表】
ナトリウム-塩化物温泉 49.7℃ pH7.2 蒸発残留物11430mg/kg 
Na+:3626mg(82.48mval%), Ca++:442.5mg(11.55mval%),
Cl-:6292mg(92.74mval%),
遊離CO2:44.7mg,
高温のため要望があった時に加水

宮城県刈田郡蔵王町宮字中野129
0224-32-3960

9:00~22:00
町外350円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
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