温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

神原温泉 老人福祉センター瑞風園

2012年05月27日 | 青森県
 
弘前と鰺ヶ沢を結ぶ青森県道31号線の高杉集落からちょっと入ったところにある老人福祉施設です。私はいままで県道31号線を数え切れないほど何度も車で走っていますが、普段は福祉施設と全くご縁が無い生活を送っているためなのか、こんなところに老人福祉施設が存在し、しかも外来者も利用できる温泉浴場が併設されているなんて、つい最近まで全然知りませんでした。しかも温泉ファンの間ではなかなかお湯の評判が良いのです。県道沿いに立っている施設の看板にも建物外観にも、温泉の存在を知らしめるようなマークや文字は表示されていませんから、予め情報を得ていないとここに温泉があるだなんて全く気付かないでしょうね。温泉ファンのみなさんって、どうやって温泉の情報を仕入れているんでしょうか。



玄関を入るといかにも福祉施設らしいジャージ姿(だったと憶えているのですが…)のスタッフのみなさんが事務室の窓口で対応してくれました。市外から来た旨を申し出ると、窓口の台帳に住所・名前などを記入してほしいと言われます。「神奈川県川崎市・・・」と嘘偽りなく素直に記入しおわると、スタッフの一人が事務室から出てきて、親切にも浴室まで案内して下さいました。
受付からロビーホールで左折し、通路を進んだ突き当たりの左側に男女別の内湯があります。いかにも公営の福祉施設らしい無機質な館内で、お風呂というより病院みたい。なお画像に写っている館内は薄暗いのですが、これは節電しているためです。薄暗いゆえに無機質さが余計に強調されますね。



こちらはあくまで老人福祉施設であり、浴室はあくまでその施設の中のひとつにすぎない、という姿勢なのか、脱衣室はとってもこじんまりしていて、室内には棚しか設置されていないような実に簡素な造りです。室内の奥には一段高くなっている何も無い3畳ほどのスペースがあるのですが、これは湯上がりにちょっと休憩するための空間なのかな。また天井にはシーリングファンが設置されていますが、スイッチはスタッフが操作するので客はON/OFFしちゃいけないみたいです。



脱衣室内で衝撃的な貼り紙を発見。「脱衣場・浴室・浴槽に汚物が発見された場合は、直ちに入浴を中止し2時間程消毒清掃を行いますので、ご了承ください」とのこと。うわっ、マジか! ということは湯舟にウ●コがプカプカしちゃうことがあるってことか! こんなことをわざわざ告知しているのですから、いままで実際にそんな「事件」があったんでしょうね。この施設の利用者は殆どがお年寄りですから、意に反して自分の体をきちんとコントロールできない爺様がいらっしゃるんでしょう。



さて浴室に入ります。こちらもシンプルな構造で、浴槽ひとつと洗い場があるだけ。洗い場にはシャワー付き混合栓が6基設けられており、水栓のお湯は源泉が出てきます。65歳以上の市民は無料で利用できるとあってか、訪問時は6つある水栓が全て埋まっているほど盛況しており、私は湯舟の傍で掛け湯しながら水栓が空くのをしばらく待っていたのですが、お年寄りは動作が遅いためになかなか空かず、そのうち別の客(もちろん爺様)がやってきて、狭い浴室はやや混乱気味の様相を呈していました。


 
浴槽は4~5人サイズの長方形。湯舟まわりに湯口らしきものはありませんが、浴槽の底に2つ穴があいており、この穴から加温された源泉が投入されています。源泉温度が40度未満のため熱交換器を使って加温しているそうでして、温泉分析表にはこの熱交換器にお湯を通すため循環させている、と書かれていますが、いわゆる大規模施設にあるようなお湯を使いまわすための循環ではなく、あくまで加温するために熱交換器のコイルに通しているだけで、加温の上で放流式に近い湯使いが実施されているのだろうと思われます。その証拠に浴槽の縁からは、見ているだけで惚れ惚れしてしまう程ふんだんにお湯がオーバーフローしていました。

見た目はごく薄い黄褐色透明で、湯中では薄い褐色の湯の華が浮遊しており、カランのお湯を口に含むとごく薄い塩味と重曹味が舌に残り、ほんのりとしたアブラ臭や芳しい臭素臭が湯面から漂い香っています。
特筆すべきは気泡の多さでして、給湯装置の勢いによるものか、あるいは源泉湧出時から有しているのか、湯中では非常に気泡が多く、入浴すると全身たちまち泡だらけになり、また浴槽からオーバーフローして洗い場のタイル上を流れてゆくお湯の中でも最後まで泡は消えようとしません。湯中に含まれる重曹のおかげでツルツルスベスベの非常に滑らかな浴感なのですが、この泡付きによってその爽快さが更にパワーアップし、入浴中は何度も肌をさすってしまいました。途中で浴槽の温度を計測しに来たスタッフ曰く、この時の湯加減は42.5℃とやや熱めだったのですが、湯上がりはそんな温度を忘れさせてしまうくらいスッキリサッパリ、さわやかな状態が持続しました。大量放流と大量泡付きが楽しめるのですから、温泉ファンの評価が高くなるのも頷けます。こんなお湯に無料で入れる爺様たちが羨ましいなぁ。

さてお湯に大満足して退館しようとすると、事務室のスタッフの方から住所と名前を再確認されました。台帳に記入した際にちょっと殴り書きに近い筆体だったために一部が読み取れなかったようなのですが、スタッフは私から確認し終えると、その内容を別の帳面に転記していました。そんなに外来者の来館データって大切なのかしら?


神原温泉(再)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 39.8℃ 溶存物質1.0407g/kg 成分総計1.0495g/kg
Na+:269.1mg(89.52mval%),
Cl-:352.9mg(73.65mval%), 194.4mg(23.61mval%),
H2SiO3:105.9mg, 遊離CO2:8.8mg,
加温(入浴に適した温度に保つため熱交換器を使用)および循環(熱交換器使用のため)あり


青森県弘前市大字高杉字神原93-2  地図
0172-95-3535
ホームページ

月曜定休
浴室利用:午前10時~閉館時間
月により閉館時間が異なる(4月~10月→19時、11月→18時、12月~2月→17時、3月→18時、日曜日は通年で午後5時閉館)
市外250円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント
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