宝泉寺エリアでの湯めぐりでは、壁湯温泉の「旅館福元屋」さんにて一泊お世話になりました。屋外屋内問わず徹底的に古民家風の趣向が貫かれており、この手の雰囲気が好きな方には堪らないでしょう。
帳場、そして玄関横にある囲炉裏の様子。
囲炉裏には一冊のアルバムが置かれていたのですが、それを捲って中の写真を拝見しますと、こちらのお宿は以前はごく普通のどこにでもあるような佇まいの和風温泉旅館だったようですが、それをご主人や女将さん、そしてご家族が一緒になって職人さんたちと共に改修工事に勤しみ、その汗の結晶が現在の古民家風装飾となっていることがわかりました。
今回通されたのは渓流を眺められる2階のこちらのお部屋。一人客でも快く予約を受付けてくださったので、普段から一人旅ばかりしている私のような人間にとっては助かります。
お部屋へ案内されて挨拶を済ませた後、女将が淹れてくれたお茶、そしてお着き菓子として蜜漬けのゆず皮。芳香優しく品の良いお味です。
窓の外に流れる渓流は筑後川の支流である町田川。当宿名物の洞窟風呂も多くに望めます。
館内には民芸調の装飾がたくさん。寓話の世界に紛れ込んだかのようです。
なお今回のお部屋に洗面台は無かったので共用の洗面台を使わせてもらいました。
壁に掛かっているこの藁で作られた龍は小国町(熊本県)の農家の方が農間に趣味で拵えたものなんだそうです。趣味にしちゃ偉く立派で最早芸術の域に達しているんじゃありませんか!
お食事は食堂でいただきます。
夕食の品書きを書き写してみますと…
地元産野菜と山菜の煮付、小鉢、刺身こんにゃく、馬刺、鮎の塩焼き、そばがきのあんかけ、山芋の茶碗蒸し、豊後牛の陶板焼き、山菜の天ぷら(大麦若葉塩でいただく)、高菜漬、椀物、自家製の香り米(ひとめぼれ香り米、壁湯福米)、デザート
全てが美味い! 豊後牛・馬刺し・地産野菜の煮付けなどが美味であるのは当然、鮎や天ぷらは揚げたてを出してくださるし、そばがきのあんかけも非常に上品、そしてお櫃を開けた時に香ってくる白米の芳香が素晴らしく、気づけばお櫃は空っぽになっていました。
夕食を終えて部屋へ戻ると、ふかふかの布団が敷かれ、そして卓の上には温泉を冷やした水がポットに入れられていました。喉越しがまろやかですっと体に入ってゆく優しい水でした。
まるで飾り雛のように丸いカゴに納められた朝食。普段はだらしない姿勢になりがちな男一人旅ですが、こんな可愛らしい配膳を目の前にしたら、自然と居住まいがシャキっとしちゃいます。盛り付けのみならずお料理も一品一品とても手が込んでおり、朝早くから厨房で腕をふるってくれた女将さんに頭が下がります。なお卵料理は生卵か目玉焼きを選択できるので、今回は後者をお願いしました。
さて次回はこちらのお宿ご自慢のお風呂を取り上げてまいります。