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前橋駅と渋川駅を結ぶ路線バスに乗って「前橋自動車教習所前」停留所で下車。たしかに私は定期的にネズミ捕りに引っかかって青い切符を切られていますが、別に今回は悔い改めて教習を受けようって話じゃありません。アブラ臭の強い温泉に入りたくてこちらへやってきたのです。
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今回の目的地は上毛新聞の住宅展示場裏手にある、病院に併設された温泉施設「クア・イ・テルメ」です。北関東の温泉ファンには既にお馴染みの浴場ですね。
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正面玄関を入ると源泉名が彫られた台座の上に口をこちらへ向けた水瓶のモニュメントが飾られています。おそらく以前はここから源泉のお湯が落とされていたものと思われますが、訪問時は止まっていました。
受付はウッディで温かな雰囲気ですが、先入観が邪魔して病院の受付に見えなくもありません。ここで料金とともに100円リターン式の下足箱キーを預けると、脱衣室のロッカーキーが手渡されます。以前はこの受付で利用前に問診票の記入が求められ、この提出によって所定の利用料金(650円)から50円が引かれるシステムとなっていたそうですが、現在ではこの形式的な手続きを踏む必要はなく、ただ600円を支払えばOKです。
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浴室がある2階へと上がる階段は「リハビリ階段」。なんの変哲もないんですけど、健康増進施設としてユーモアを兼ねて整備のひとつひとつに何らかの意義を付与しようってことなのかな。
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階段を上がり切ると、まるでホテルのようなラウンジが広がっており、大きなバーカウンターが据え付けられています。病院なんだかリゾートなんだかよくわかんない…。このカウンターの両端が男女別の浴室入口。
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さすが病院併設の施設らしく、清潔感に満ち溢れた綺麗で快適な脱衣室。薄いサーモンピンクのスチールロッカーがたくさん並んでいます。洗面台は4台あって混雑時でも待つことなく利用できますが、そこに備え付けられているドライヤーは一昔前のビジネスホテルにあったようなパワーの弱い機種でして、髪のボリュームが多い私のような人間ですと乾くまで時間がかかってしょうがない…。
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えらく広い浴室。一歩足を踏み入れた途端に強烈なアブラ臭が鼻を突いて来ました。
訪問人はそれなりの利用客がいたのですが、広々しているので混雑しているように感じられません…と言いたいところですが、脱衣室と浴室の間にはサウナがあり、他の温浴施設と同じくこちらでもサウナが人気を博していて、みなさんこぞってサウナを利用しているため、浴室の中で見られた人影がまばらでした。
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洗い場にはいくつかの島に分かれて計34基の水栓が設置されており、うち半分ほどがシャワー付きとなっており、シャワー有りと無しがほぼ交互に配置されています。尤も、全ての水栓は使えるわけではなく、故障中の札がさげられたものも多いようでした。
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浴室に入って左手前方すぐのところにあるのがこの上がり湯。ボコボコと音を立てながら間欠的にお湯を噴き上げており、思わずその様子を凝視してしまいました。結論から申し上げますと、いくつかある浴槽の中で、このお湯が最もコンディションが良好でした。
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健康増進施設ですから、それに応じた温浴槽が設けられているのがこちらのお風呂の特徴。上の画像はジャグジーと歩行湯でして、いずれも温泉が張られています。いずれのお湯も循環濾過されているらしく、反時計回りにグルグル回る歩行湯に関しては熱いと運動に支障をきたすため加水によって温度が下げられています。またジャグジー槽は循環こそ行われていますが、その振動や飛沫によってアブラ臭が拡散されており、入浴すると匂いに酔ってクラクラになりそうなほどでした。
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こちらは打たせ湯と水風呂。打たせ湯のお湯は上がり湯に次いで良い状態でした。レジオネラ属菌の感染が発生しやすい打たせ湯には循環水が使えませんから、掛け流しに近い状態のお湯が用いられているのでしょう。足元に落とされるお湯をよく見たら、温泉由来と思しき黒い破片のような浮遊物を確認できました。
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大きなガラス窓に面した主浴槽はまるでプールのような大きさ。循環濾過されているそうですが、浴槽縁の上から溢れ出るお湯も一定量あるので、循環させながら新鮮な源泉も同時投入しているものと思われます。
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主浴槽の湯口を奥を覗いてみると、上がり湯と同様にボコボコと音を響かせながらお湯が噴き上がっていました。また湯口の上には温泉が詰められたペットボトルが置かれ、その中には黒い湯の華が入っていました。ろ過しなければこんな大きな湯の華が湯船を舞っているのでしょうね。
さてお湯の特徴ですが、強いアブラ臭を放っていることは上述の通りですが、口にすると塩辛さと苦味をが感じられ、更には口腔の粘膜が痺れるような感触もありました。なお夜間に利用したため色に関してはよくわかりませんでしたが、無色透明か薄い黄色かのいずれかであると推測されます。
しょっぱいお湯ですから火照るパワーは強力であり、お肌もしっとりしますが、下手に長湯すると脱水症状を起こしたり逆上せて卒倒しちゃうこと必至でしょう。
アブラ臭中毒者の私は入浴中ひたすら鼻をクンクン鳴らせて匂いを嗅ぎまくり、すっかりラリっていい気分になってしまいました。群馬県が擁する温泉は多様性に富んでいて、本当に面白いですね。
医王薬師の湯
ナトリウム-塩化物温泉 65.4℃ pH8.3 溶存物質7016mg/kg 成分総計7028mg/kg
Na+:2268mg(84.29mval%), Ca++:359mg(15.29mval%),
Cl-:4121mg(93.92mval%), Br-:15.7mg(0.17mval%),
H2SiO3:57.8mg, HBO2:119mg,
加水:運動浴のみ温度を下げるため加水
加温:温度が下がり過ぎた時のみ熱交換により加温
循環濾過:浴槽沈殿物質を常時除去するための濾過循環
消毒:高温消毒
前橋駅~渋川駅の路線バス(関越交通)で「前橋自動車教習所前」停留所で下車、徒歩3~4分
群馬県前橋市関根町31-2
027-233-0202
ホームページ
9:00~23:00(最終入場22:00)
600円(平日3時間、土日祝2時間)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★