温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

日光湯元温泉 湯守釜屋

2013年02月13日 | 栃木県
 
前回に引き続き日光湯元温泉です。今回は当地の老舗旅館「湯守釜屋」にて立ち寄り入浴をお願いしてまいりました。


 
玄関から一歩館内に入っただけで、硫黄の香りがふんわりと漂って来ます。
フロントで入浴料金を支払い、貴重品を預けます(浴室内にロッカーはありません)。近年における冬の奥日光ではスノーシューが流行っているそうですが、この日のロビーにはそれを裏付けるようにアウトドアスタイルを身に纏ったお客さんが目立っていました。


●薬師の湯
 
釜屋のお風呂には「薬師の湯」と「瑠璃風呂」の2室があるのですが、まずは「薬師の湯」から入ることに。ロビーの奥へ伸びる「懐かしの手ぬぐいギャラリー」を抜けた左手に浴室の暖簾が掛かっていました。


 
さすがに老舗大型旅館だけあって脱衣室は広く、棚も籠もかなりの数が用意されており、リノリウムの床には茣蓙が敷かれています。基本的なアメニティ類もひと通り揃っています。


 
5台ズラリと並んだ洗面台。硫黄の影響を受けた水栓は硫化して黒く変色しています。管理なさる方にとってはメンテナンスにご苦労されているかと思いますが、硫黄の温泉はこうでなくっちゃいけませんよね。


 
曇ってわかりにくい画像で恐縮です。私の安物のデジカメではこれが限界でした。
坪庭に面した大きなガラス窓で明るい環境の浴室。その窓を底辺にした三角形の大きな浴槽が据えられています。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基横一列に並んでいます。


 
木組みの湯口からは3・4・7号の3源泉を混合したアツアツのお湯が注がれて、浴槽を満たしたお湯は浴槽縁の上を静々とオーバーフローしています。館内表示には温度調整のため加水されていると記されているものの、この時の投入量は絞り気味でしたから、実際には投入量の増減によって温度をコントロールしているのかもしれず、加水の程度は少ないのかもしれません。加水が少なければせっかくのお湯の希薄度合いも軽減されますから、濃いお湯が好きな者としてはありがたい方法ですね。なお加温・循環・消毒は行われていません。
湯中では白い細かな湯華が無数に舞って乳白色のコロイド濁りを成しており、透明度は20cm程で底は見えません。
二枚貝の貝殻の内側と見紛うばかりの美しい翠色掛かった乳白色の湯面に、窓から差し込む陽光が反射してキラキラと輝くその様は、まるでパールの如き神秘的な美しさを放っており、その煌々しさにすっかり心が奪われ、気づけばこの時にお風呂で撮った画像のほとんどは湯面の輝きを写したものでした。
お湯を口に含むと弱タマゴ味と強い苦味、遅れてえぐみや渋みが感じられ、渋味が口腔に残って唇や粘膜を痺れさせつづけました。また臭覚面では殺虫剤を思い起こさせるような刺激性と焦げたような感じがある硫黄臭が強く嗅ぎ取れました。


 
大浴槽の右側には四角い小浴槽があり、ここにはぬるめのお湯が張られているのですが、この槽のお湯は縁の上をオーバーフローするのではなく、小さな塩ビ管を通って床へ流れ出させているのが特徴的でした。



●瑠璃風呂

続いて、フロント近くにある「瑠璃風呂」へ。マッサージコーナーを左に見ながら暖簾を潜って、女湯は左、男湯は右へとわかれます。上述の「薬師の湯」は独占状態で利用できたのですが、こちらはフロントに近い立地条件ゆえか、あるいは露天風呂があるからなのか、この日の「瑠璃風呂」は多くのお客さんで賑わっていました。


 
脱衣室は「薬師の湯」よりも一回り小さく洗面台も半分以下の2台ですが、アメニティ類は「薬師の湯」と同じものが用意されていました。



男湯の場合は入って右側に棚が設置されているのですが、棚に納められている籠が泥鰌すくいで使うようなタイプの形状で、見た目こそユニークですが、物を収めた時の安定性はいまいちかも…。


 
左右に大小の浴槽がわかれている内湯。左側の大きな浴槽は6~7人サイズでとても心地よい湯加減お湯、右側の小さな槽は3~4人サイズでややぬるめのお湯です。


 
左側の浴槽には源泉投入口があり、その真上には換気用のルーバーが設けられています。絞り気味だった「薬師の湯」と違ってこちらの湯口からはしっかりとした量のお湯が注がれており、しずしずとしたオーバーフローも確認できました。おそらくこちらでは一定量の加水が行われているようです。なお浴槽のお湯は翡翠色を帯びた綺麗な乳白色に濁っていました。きめ細かい粒子によって全身が覆われるようなしっとり感と、絹のような滑らかな浴感、そして力強い温まりが得られるお湯です。


 
洗い場は浴室の左右に分かれて配置されており、シャワー付き混合栓が計11基設置されています。水栓は案の定硫化して黒く変色していますが、その程度は軽くて黒というよりグレー程度に収まっていました。


 

マイナス6℃で風が強かったこの日に露天を入ろうとするお客さんは、奇特な私以外にはいらっしゃらないようでした。周囲をコンクリ塀で囲まれているので景色はあまり期待できませんが、雪は否応なく吹き込んでくるので、幸か不幸か雪見風呂は楽しめました。3~4人サイズの岩風呂で、浴槽と一体化した岩の湯口から源泉が落とされています。冷たい外気に触れているためか湯加減はちょっとぬるく、濁り方が弱くて翡翠色ではなくレモンイエローに近く、温度低下で溶解度が下がったのか大きな沈殿が底に溜まっており、お湯を動かすとそれらが一気に舞い上がりました。内湯で感じられたシャキッとするする感じも幾分パワーダウンしているようでした。

私のこの日の目的は硫黄臭まみれになって白濁湯で雪見風呂を楽しむことでしたので、この露天に入ることによって目的は十分に達せられたのですが、あまりの寒さのために、露天に浸かっていたらいつの間にやら湯気で湿った髪の毛がガチガチに凍ってしまいました。そんな髪の毛と体を内湯でしっかり温めてから退館したのですが、湯上りはいつまでも体がポカポカとしつづけ、その保温効果の高さゆえにダウンを着ていたら肌着として着ていたTシャツが汗で湿ってしまったほどでした。日光湯元のお湯は見た目の美しさのみならず、その実力も本当に素晴らしいですね。


奥日光開発(株)3・4・7号森林管理署源泉混合泉
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 74.1℃ pH6.5 溶存物質1.284g/kg 成分総計1.440g/kg
Na+:126.1mg, Ca++:191.5mg,
Cl-:77.8mg, HS-:10.9mg, SO4--:496.2mg, HCO3-:236.4mg, S2O3--:0.6mg,
H2SiO3:96.0mg, CO2:119.8mg, H2S:37.2mg, 
源泉温度が高いため加水

日光駅(東武・JR)から東武バス日光の湯元温泉行で終点下車、徒歩3~4分程度
栃木県日光市湯元2548
0288-62-2141
ホームページ

日帰り入浴時間不明
1000円(フェイスタオル1枚付き)
貴重品帳場預かり・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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