![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/bf/ac62999782aa5bed3a0416a14476c9ff.jpg)
先日、久しぶりに山梨県旧八田村(現南アルプス市)の「湧暇李の里「樹園」」を再訪してまいりました。姉妹都市提携を結んでいるオーストラリアのクィンビヤン市にちなんで「湧暇李(ユーカリ)の里」と名付けられた一角には、温泉施設をはじめ、グリーンツーリズム(農業体験)関係施設、ふるさと文化伝承館、天文台など、旧八田村の文化・レクリエーション関係施設が集合しており、「樹園」では温泉入浴のほか食事や宿泊利用も可能なんだそうです。
私は前回訪問から10年以上の年月が経っているのですが、建物の外観には見覚えがあるものの、内部やお湯に関する記憶がすっかり飛んでしまっているため、今回はほとんど初見状態での再訪となりました。フロントの券売機で料金を支払い、受付カウンターに券を提出してから館内へと入ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/ef/572bdb6f629f978ea30cc6e5a4e0b03b.jpg)
食堂が隣接しているフロント奥のホールを右に曲がり、廊下を真っ直ぐ進んだ突き当りが浴室です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/90/7f5f92dc34e388d2d7c7792c80456799.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/b7/d9e97ea61bf69cb88ca51862c109eb20.jpg)
脱衣室は実用本位でやや古臭いものの、きちんと手入れが行き届いており、室内の広さや備品類の充実さもあって、気持よく使えました。ロッカーは無料で、洗面台は3面、ドライヤーは2台用意されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/8a/43ca09b161f8b2d6127d0b6124a3358f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/5f/0332bfcbb56d775058eecc07efe31d4f.jpg)
室内の壁に貼られた掲示には「源泉かけ流し」であることが誇示されているのですが、これと一緒に、保健所の指導に基づき塩素消毒を行っているので安心である旨が説明されていました。こちらのお風呂の主要客層は地元のご老人ですから、そのようなお客さんを相手にする温泉施設にとっては、掛け流しであることと同程度に、レジオネラ属菌感染の可能性を払拭することも重要なアピールポイントなのでありますね。温泉マニアとしてはちょっと残念ですが、お客さんあっての施設運営ですから、これは致し方ないのかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/52/bb7404b2fa1d9a57d637cb184be70b89.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/8b/372c12962573ab6688df3bae3518892d.jpg)
浴室は脱衣室に隣接している手前側の部屋と、そこから通路でつながっている奥側の部屋の2つに分かれており、それぞれ同じような大きさの部屋で、洗い場や浴槽が据え付けられているのですが、タイルの色や水栓金具の経年具合などから推測しますと、おそらく元々は手前側だけで開業したのに、利用客数の多さに応じて、後年に奥側の浴室を増設したのではないかと思われます(私の勝手な想像ですので、間違っていたらごめんなさい)。
手前側の浴室にはシャワー付き混合水栓が5基、壁際で一列に並んでおり、その反対側に6人サイズの浴槽がひとつ据えられています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/6e/77145aef405a1a2ab11ceffca1bed6df.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/d3/2a973e6bb70d7362e6fd78f74db4d11b.jpg)
その浴槽は加温槽となっており、36~7℃の源泉を40~42℃へ温めて浴槽へ供給しています。この説明プレートには「加水はしていません」という文言の他、「塩素殺菌処理を行っていますので、安心して御入浴できます」と、脱衣室の掲示と同じようにここでも塩素処理による安全性をアピールしており、確かに室内には塩素臭が漂い、お湯から放たれる塩素臭は間断なく私の鼻孔を刺激するのでした。しかしながら、そんな不快感を払拭するように、湯船に浸かるとあっという間に全身が泡だらけになり、重曹泉らしいツルスベとともに気泡によるフワフワとした感触に包まれて、とても軽やかな浴感が楽しめました。泡の多さは湯船のお湯にも現れており、湯口付近ではお湯がほんのり白濁しているようにも見えました。なお浴槽のお湯は縁からちゃんと溢れ出ており、循環などは行われていません。
上述のようにここから通路を10メートルほど歩いた奥にも同じような大きさの浴室があるのですが、そちらには10人近いお客さんで大混雑していたので、画像は一切ございません。文章だけで説明しますと、洗い場にはシャワー付き混合水栓が6基設置され、手前側浴室よりも水栓金具が新しくてピカピカしています。浴槽は8人サイズのものが2つあり、ひとつは41~2℃に加温された温泉が供給されているもの(以下加温槽)、もうひとつは加温の無い源泉そのままのお湯が注がれているもの(以下非加温槽)です。
加温槽は夏季(7~9月)には加温をせず源泉をそのまま注ぐそうなのですが、私が訪れた日は夏だったにもかかわらず41℃近くまで加温されていました。加温による影響なのか、加温槽の槽内には赤茶色の浮遊物が多く、特に湯口の直下にはたくさん沈殿していました。その沈殿を指で触ってみたら、指先が赤く染まってしまったのですが、これって源泉由来の湯の華なのか、あるいは配管の赤錆なのか、そのあたりはよくわかりません。重曹泉のお湯を直接ボイラーで炊いているためか、手前側浴室を含めて計3つある浴槽の中では、この加温槽が最も泡付きが激しく、まるでソーダ水の中に入っているかのように、入浴中は全身が泡だらけになりました。
一方、非加温槽は36~7℃の湯加減でして、ぬる湯好きの甲州人は他の湯船には目もくれず、まっさきに非加温槽に浸かってはひたすら長湯し、その間は常連客同士で床屋談義やゴシップネタに花を咲かせていました。私が利用していた時間帯は、2つの加温槽はガラガラなのに、この非加温槽だけ人気が集中し、多少の入れ替わりはあったものの、ほぼ常時、キャパいっぱいの8人が湯船に入り続けていました。不感温度帯ゆえに長湯したくなるため客の回転が悪く、特に夕方は混雑が避けられません。実際に私も常連さん達の隙間に体を滑りこませる感じで入浴してみましたが、確かにその温度、そして浴感の気持よさゆえに、一旦入ると出たくなくなっちゃうんですよね。長湯したくなる常連さんの気持ちがよくわかりました。
加温槽・非加温槽とも手前側浴室と同様に塩素消毒が行われており、室内に塩素臭がしっかり漂っているのはいささか残念です。お湯はほぼ無色透明ですが若干黄色を帯びているかもしれません。塩素臭以外では源泉由来の弱いアブラ臭があり、ごく薄い塩味と重曹味を有しています。泡付きに関しては加温の程度と泡付きの激しさが比例しており、すなわち非加温槽で泡付きは弱く、加温が強いほど泡付きも激しくなる傾向にあります。重曹泉においては加温が気泡の発生や浴感のヌルつきを促進させますが、まさにその典型例と言えましょう。また非加温槽の泡付きも日によってコンディションにバラつきがあるらしく、常連さん曰く「今日は泡が弱いな」と指摘していました。
この「樹園」のお湯は泡付きの激しさから、温泉ファンから熱い支持を集めているわけですが、なるほど塩素臭さに目をつぶっても差し支えないと思えるほど、泡付きや浴感の良さには感激しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/bc/53da79ead19836faa0857ba11675c0c2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/be/52a93554ccb214d1c3e430088ea89c84.jpg)
お風呂上がりはラウンジでビンの「八ヶ岳高原牛乳」をグビグビを一気飲み。重曹の効果か、湯上がりはさっぱりとした爽快感・清涼感があり、汗も素早く引いてくれました。露天風呂などは無く、温泉らしい風情も無いため、お風呂としては面白みに欠けますが、私のようなアワアワな温泉が好きな方やぬる湯好きの方でしたら、お湯に欣喜すること必至でしょうね。
ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉 36.6℃ pH8.0 152.2L/min(動力揚湯) 溶存物質1.470g/kg 成分総計1.501g/kg
Na+:404.7mg(85.81mval%), Mg++:13.2mg(5.31mval%), Ca++:31.1mg(7.56mval%),
Cl-:334.1mg(48.06mval%), SO4--:267.1mg(28.37mval%), HCO3-:280.9mg(23.47mval%),
H2SiO3:59.0mg, HBO2:69.7mg, CO2:31.0mg,
山梨県南アルプス市野牛島2722 地図
055-285-4131
ホームページ
10:00~21:00 木曜定休
550円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5