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土湯峠に点在する温泉では最も奥に位置していて秘境然としている幕川温泉。拙ブログでは2軒並んでいる当地のお宿のうち「吉倉屋旅館」を既に取り上げていますが、今回はもうひとつのお宿である「水戸屋旅館」にスポットライトを当て、夏の某日に日帰り入浴した際のことを書き綴ってみます。まずは内湯と展望露天風呂から。
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今年は『まっとうな温泉 東日本版』
帳場から真っ直ぐ廊下を歩いた突き当りにある、男女別の内湯へ。
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大きなガラス窓から外光が降り注ぐために、昼間なら照明要らずの内湯。昭和40~50年代に建てられたような鉄筋コンクリ造の建物らしく、実用性を重視するあまりに温泉風情が手薄になっているような、精彩を欠く地味な感じが否めない内装ではありますが、「人間だって温泉だって、外見よりも中身が大切だろうが!」と声高に叫ばんばかりに、窓下に据えられた大きな浴槽では、甘い湯の香を漂わせている温泉がたっぷりと湛えられていました。そんな浴槽は木造で、ほぼ正方形の6~7人サイズ。縁から静かにお湯が溢れ出ています。
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洗い場にはシャワー付き混合水栓が4基取り付けられており、シャンプー類もちゃんと備え付けられています。
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幕川温泉といえば、湯中で大量に舞っている、たまごスープの溶き卵のような湯の華が特徴的ですね。この日も浴槽内を覆い尽くさんばかりに、白い湯の華がたくさん沈殿&浮遊しており、槽内を歩くとクッキリと足跡が残り、湯船に体を沈めると全身が湯の華まみれになりました。人によって好みは様々かと思いますが、私はこの湯の華まみれになる瞬間が大好きでして、この時も興奮のあまりに雄叫びを上げたくなったのですが、他のお客さんがいる手前、懸命に理性でその願望を封じ込めたのでした。
お湯はほんのりと白く霞む、弱い貝汁濁りのような見た目で、上述のように余多の湯の華が特徴的。軟式テニスボールのような硫黄感とともに、弱い石膏のような味や匂い、そして甘みが感じられます。いわゆる造成泉ですから、大量の湯の華というビジュアル的な特徴の割りには、浴感や匂い・味がかなり薄いのですが、むしろ身体への負担があまり無く、軽やかに入浴できるので、私個人としては結構好きです。
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内湯のガラス窓の向こう側には、こぢんまりとした露天風呂があり、3人サイズの岩風呂には内湯と同じ源泉が注がれています。当然ながらこちらの湯船でも大量の湯の華が沈殿&浮遊しており、特に湯口直下にはかなり溜まっていたのですが、全体的な量としては内湯の方が多かったようです。
露天の周囲は青竹を模したエクステリアの塀が立ちはだかっているため、水平方向の眺望は得られませんが、視線を上に傾ければ山々の美しい緑を眺めることができました。湯加減も内湯よりややぬるめなので、長湯向けです。
●展望露天風呂
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続いて、2階にある展望露天風呂へ向かいます。内湯とは完全に別個の施設になっていますから、内湯から上がって一旦服を着てから、館内表示に従って階段を上がります。
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脱衣スペースは丸太小屋風の簡素な造りで、男女別に分かれているものの、室内には棚があるばかりの、とてもシンプルなものです。
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展望露天風呂は混浴で、1階浴室の屋根上に当たる広いテラスに、瓢箪型というかメガネ型というか、とにかく大きな円を2つ重ねてつなげたような形状の浴槽がどっしりと据え付けられており、白濁した湯が張られたその湯船の上には、まるで土俵の方屋のような重厚な造りの屋根が掛けられています。ひょうたん型を形成している浴槽の縁(立ち上がり)はヒバ材が用いられており、底には鉄平石が敷かれています。
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円形がくびれている真ん中の樽型湯口から1階の内湯と同じ源泉が投入されており、源泉のままでは熱いので、ホースの水で加水しています。内湯のお湯よりも青白く濁って見えますが、槽内の材質(木や石の色)の影響か、あるいは湯使いの違いによるものか、同じお湯でも見た目が異なる点は興味深いところです。ネットで調べてみますと、日によっては強く白濁することもあるみたいですね。つまりコンディションによって見せる表情がかなり違うのでしょう。気まぐれなオネエチャンみたいだ…。濁り方こそ異なりますが、湯の華は1階の露天と同程度に舞っており、ここでも湯の華まみれ状態を楽しめました。
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1階露天と違って、目隠しの塀が無い展望露天からは文字通りに周囲の山々を気持ちよく眺望することができ、風も吹き抜けてゆくので、実に爽快な湯浴みのひと時が過ごせました。前方の山には人工物が一切存在しないかのように見えますが、実は樹林に隠れて磐梯吾妻スカイラインが山腹を横切っているんですよね。
なお、視界の下方、源泉施設の右隣には小さな青い屋根が見えますが、これについては次回取り上げます。
幕川5号泉
単純硫黄温泉(硫化水素型) 44.9℃ pH5.9 46L/min(掘削自噴) 溶存物質109.3mg/kg 成分総計196.5mg/kg
Na+:3.4mg(19.12mval%), Mg++:2.3mg(24.47mval%), Ca++:7.0mg(45.17mval%),
HS-:0.7mg, SO4--:8.2mg(24.47mval%), HCO3-:29.0mg(68.11mval%),
H2SiO3:54.7mg, CO2:77.1mg, H2S:10.1mg,
その2に続く。