ある日の夕刻、猿ヶ京温泉の某所にある集会施設へ向かいました。こちらは温泉ファンの間ではちょっと知られた存在ですが、この集会施設には温泉の浴場があって、外来者も来る者拒まずで利用できますので、その恩恵に与るべく伺ったわけです。とはいえ原則的には地元の方のお風呂ですから、念のため詳しい場所の説明は控えさせていただきます。
受付窓口のカウンターに置かれている料金箱に100円玉を3枚投入して、お風呂がある階下へ。なお受付には基本的に無人状態のようですが、料金を支払えばそのまま入館しちゃってOKのようです。
階段を下りて廊下を進み、右手に広がる広いお座敷を通り過ぎていきます。
こちらが浴室入口で手前が男湯です。決して倉庫や機械室の扉ではありません。津々浦々、公民館などの福祉施設に付帯する浴場って、あくまで館内設備の one of them 的な位置づけであり、ちっとも目立っていないのが(逆説的ですが)特徴的であります。
この手のお風呂にしては脱衣室が広く、中小規模の旅館と大差ないかもしれません。しかもきちんと整理整頓されています。扇風機も取り付けられているので、湯上りに涼むこともできます。
ビニルテープを切って貼り付けたような、青と赤の文字の注意書きが目を惹きます。
この日は私が最初の客だったらしく、小さな丸いモスグリーンの濃淡のタイルが敷き詰められた浴室の床は乾いており、桶などもきちんと並べられ、換気扇もしっかり回って湯気籠りが無い快適な環境が保たれていましたので、管理なさっている方に感謝しながら利用させていただきました。
洗い場は浴室の左右に分かれて計4つのカランが配置されており、そのうち3つのカランが並ぶ右側は1つがシャワー付き、一方で1つしかない左側もシャワー付きです(画像には写っていません)。カランから吐出されるお湯には源泉が引かれているようでして、はじめのうちはなかなかお湯が出てきませんでしたが、やがて熱い硫酸塩泉らしいお湯が吐出されてきました。
浴槽は装飾のない実用本位なコンクリ造の3人サイズ。底や側壁と槽の接合部分には幾筋ものクラックが走っており、大きなお世話ですが、早めに補修したほうがいい状態かも。そんな浴槽を満たしているお湯は浴槽縁から絶え間なく静かに溢れ出ています。
浴槽のお湯は専用の水栓より注がれており、そこには白い析出のトゲトゲがビッシリ&コンモリと付着しています。注がれるお湯は直接触れないほど熱いのですが、絶妙な投入量と程々の加水により、湯船では実に入りやすい42~3℃が維持されていました。使用されている源泉は町有1号泉でして、お湯は無色透明ですが、澄み切ってはおらずにボンヤリと霞んでいるように見えます。とはいえお湯が鈍っているわけではなく、むしろ新鮮そのもので、鮮度感良好な気持ち良いお湯です。なお湯の花などは見当たりません。匂い・味ともに薄い石膏感と芒硝感がバランス良く主張しあっており、硫酸塩泉らしいトロミやキシキシ浴感がしっかりと感じられました。
町有1号泉
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 61.0℃ pH7.2 400L/min(動力揚湯) 溶存物質1.52g/kg 成分総計1.54g/kg
Na+:234mg(46.42mval%), Ca++:222mg(50.68mval%),
Cl-:247mg(32.95mval%), SO4--:619mg(61.01mval%),
H2SiO3:74.9mg, HBO2:27.3mg,
群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉某所
17:00~22:00
300円
備品類なし
私の好み:★★★