温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

マレーシア マラッカ州 ガデク温泉 Gadek Hot Spring 

2014年07月18日 | マレーシア

拙ブログでは本年5月にタイ北部の温泉を取り上げましたが、タイの温泉分布を北部から南部へ見てゆくと、やがてマレー半島へつながって国境を越え、半島の中央に聳える脊梁の西側を中心にしてほぼ直線状に分布が収束してゆくのがわかります。ということは、マレーシア(マレー半島)でも温泉巡りが楽しめるわけです。しかしながら、なぜかタイと違って情報が少なく、ネット上で検索できたとしても私が全くわからないマレー語表記であるために、事前の調査では難儀したのですが、それでも何とか数ヶ所の情報を入手することができたので、今春(2014年春)の某日に空路でマレーシアの首都クアラルンプール(以下KL)に降り立ち、空港でレンタカーを借りて、KLから日帰り圏内にある温泉を1泊2日で巡ってまいりました。

まずはじめは、KLIA(クアラルンプール国際空港)から高速道路"E2"を南下して1時間15分ほど(約110km)、マラッカ北部の田舎町アローガジャ(Alor Gajah)にある温泉入浴施設「ガデク温泉」です。施設のゲートには"AIR PANAS GADEK"と記されていますが、AIR PANAS(アイル・パナス)とはマレー語で熱い水を意味し、転じて温泉の意味も含まれるんだそうでして、"AIR PANAS GADEK"とは即ちガデク温泉と直訳することができます。なおこちらは入浴専門の公園でして、宿泊はできません。


 
幹線道路沿いに位置していて沿道には看板が立っており、鳥居のような大きなゲートがそびえ立っているので、それらを目印にドライブしていたら迷うこと無く辿り着けました。敷地内には広い無料駐車場も完備されています。なお受付は高いゲートの左側にあるので、このゲートは潜りません。


 
(上画像の右(下)側はクリックで拡大)
駐車場にはこの温泉についての説明文が彫られた石碑が立っています。マレーシアではどの施設でも大抵は3ヶ国語表記(マレー語・英語・中国語)となっていますが、この石碑ではその3言語の他、なぜか
日本語表記もあるんです。とはいえ、海外で目にする日本語によくある話ですが、「てにをは」を中心にして文法がメチャクチャで、頭をちょっと回転させないと読解できません。私なりに碑文を読んでみますと・・・
この天然温泉はマラッカ州アローガジャ・ガデクのガヌン村にあり、以前から当地には温泉の水脈や湧出池が存在しており、その湧出温度は56℃で湧出量は毎秒5.4リットル、温泉中には硫化水素も存在している。この界隈は1980年代にレクリエーションを目的として観光開発され、硫黄を含んだ温泉は多くの効能を有する。
とのこと。毎秒5.4Lということは、日本の温泉分析表で用いられる毎分で換算すると324L/minということになりますね。ここでは結構な量の温泉が自噴しているようです。


 
こちらがレセプションです。私が声をかけると、右手に持った携帯をポチポチして友達とショートメッセージをやりとりしていると思しきマレー人のおねえちゃんが、やる気無さそうに対応し、紙幣を差し出したら「お釣りがない」と無愛想に返答したので、仕方なくジュースなどを一緒に買ってお釣りの必要が無いよう金額を合わせました。私は3度ほどマレーシアを訪れており、こうした接客が一般的なマレー流であることを承知していたので別段腹をたてることはありませんでしたが、初めての方ですとイライラするかもしれませんね。マレーシアに限らず、アジアでもヨーロッパでも、お釣りの用意を最低限にとどめる(もしくはほとんど用意していない)お店に多く出くわしますので、出かける際には予め紙幣を小銭に崩しておくことをおすすめします。


 
受付の前には水やお菓子などが売られており、これらを買って私は帳尻合わせしました。ここには自販機も冷蔵庫もありませんが、冷たいジュースが飲みたい場合は、床に置いてあるクーラーボックスから自分で希望のドリンクを取り出しましょう。内部には子供向けのUFOキャッチャーもあります。



受付の並びにはマッサージチェアが数台置かれた棟があるのですが、マッサージチェア以外には何もなく、ガランとしています。マレーシアって、高速道路のSAでもオープンエアー状態のマッサージチェアが置かれていますが、そんなにこの国のみなさんはこの手のものが好きなんでしょうか。


 
有料ゾーンのゲートを入ってすぐ左手前方には源泉の池があって、その周囲はフェンスで囲まれているのですが・・・


 
それもそのはず、池の温度は50.6℃もあるのですから、何も知らずにここへ入ったらエラいことになりますね。なお水素イオン濃度はpH8.4でしたので、弱アルカリ性といったところでしょう。池の底のあちこちからプクプクと泡を上げながら温泉が湧出しており、池のお湯はとてもクリアな状態でした。


 
源泉の池の向こう側には男女別のトイレ兼個室風呂の棟があり、ご当地らしくマレー語・漢字・英語の3ヶ国語で性別が表記されていました。


 
内部は中央の廊下を挟んで、手前側に個室風呂の部屋が並び、奥の方にはマレー式のトイレが設けられています。私が訪れた時の個室風呂はいずれも空っぽで、試しにコックを開けてみても、お湯は全く出てきませんでした。でも槽内は部分的に濡れていたので、受付に頼めば元栓を開けてくれるのかもしれません。なおこの温泉施設では水着着用が必須ですから、私はトイレ内で水着に着替えました。


 
この温泉公園はファミリーの利用を想定しているらしく、先程のUFOキャッチャーの他、このような
温泉プールが2つ、そして滑り台やシーソーなどの子供用遊具などが備わっています。でも・・・


 
2つあるプールはいずれも水が淀んでおり、熱帯の強い日差しを受けてプール内では藻が育ち、藻類によって水が緑色に変色していました。こんな汚いプールで子供を泳がしたくありませんよね。


 
敷地内には八角形の浴槽が一つ、そしてそれを軸とするように棺桶のような一人用浴槽が3つ扇状に設けられてる他・・・


 
八角形の浴槽とはちょっと離れた場所にも棺桶形の一人用浴槽が4つ平行に並んでいます。いずれもタイル貼りで、頭上には日除け用の黒いネットが張られています。なにしろ赤道から約250kmしか離れていない場所ですから、この日除けネットが無いと容赦なく強い陽射しに晒されるので、とてもじゃありませんが温泉に浸かる気は起きません。


 
各槽ともお湯は槽内の底部より供給されています。画像を見てもわかるように浴槽は全体的に斜めに造られており、一応槽内にオーバーフロー管があるのですが、それでは排水が間に合わず、槽の低い方へ向かって結構な量のお湯が間断なく溢れ出ていました。完全放流式の湯使いでしょう。
湧出地の池では無色透明の澄んだお湯でしたが、この浴槽に供給される段階ではぼんやり霞んでいます。温泉が源泉からストックされているうちに濁ってしまうのか、はたまた源泉池に浮遊する不純物が紛れ込んでしまうのか、その辺りはよくわかりません。なお駐車場の碑文には温泉に硫化水素が存在するという旨が記されていましたが、この浴槽に於いては無味無臭で、これといった特徴は感じ取れませんでした。


 
能書きはともかく、私も棺桶形の一人用浴槽に入ってみました。ココナツの樹の下で湯浴みするだなんて、いかにも熱帯らしく、日本じゃなかなか体験できませんよね。しかも周囲には何もなく、とても静かで長閑なロケーションですから、自然豊かな環境の中でのんびりとした時間を過ごすことができました。私の入った槽は42.2℃でしたが、各槽とも大体同じような湯加減でした。湯船は一人で入るとジャストフィットする大きさで、深さ・幅・長さともゆとりがあって良い感じです。弱アルカリ性であるためか、入浴中はアルカリ性単純温泉にありがちなツルスベ浴感が、弱いながらも得られました。

ここを利用するお客さんは、私のように水着に着替えて入浴する人、着衣のまま手桶でお湯を汲んで沐浴する人(湯船には浸からない)など様々ですが、殆どの方は手桶を持参していらっしゃいました。暑い当地では全身浴よりもお湯を浴びて沐浴するのが一般的なのでしょう。私もはじめのうちは肩までしっかり湯船に浸かっていたのですが、やがて常夏の暑さの中で湯浴みすることに体が参ってしまい、長湯することができずに湯船から出ざるを得ませんでした。でも露天風呂の傍にある東屋の下で大の字になって寝っ転がると、周囲の畑を吹き抜けてくるそよ風が火照った体をクールダウンしてくれ、実に爽快なのです。その気持ち良さが気に入り、東屋下でのクールダウンと湯船での入浴というサイクルを何度も繰り返してしまいました。
なお窓口には"DIBUKA 24 JAM"と記されていたのですが、これを訳すると「24時間オープン」となりますから、つまり24時間営業なんですね。夜中に入浴する人なんているのかな?




Jalan Gadek Air Panas, 78000 Alor Gajah, Melaka,
06-5549-584
ホームページ

24時間営業
大人5リンギット

私の好み:★★
コメント
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