温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

いわき湯本温泉 ホテルいづみや

2014年07月29日 | 福島県
 
常磐線・湯本駅の正面には桜の名所である御幸山公園の小高い丘がコンモリ盛り上がっており、その北麓にはいくつかの温泉旅館が集まっていますが、今回はその中の一つである「ホテルいづみや」で日帰り入浴してまいりました。こちらのお宿は、HPや看板などではアナウンスしていないものの、入浴回数券を発売しているほど日帰り入浴を積極的に受け入れています。なお私が訪れた日は外装工事中で、周囲は足場やネットで覆われていましたが、おそらく現在では元の姿に戻っているのではないかと思われます。
(※週末に日帰り入浴で利用する際はホテルの第5駐車場を使ってほしいとのこと)


 
フロントで日帰り入浴をお願いすると、スタッフの方はわざわざ浴室手前まで案内してくださいました。なお浴室はロビーから階段で2階へ上がり、すぐ左へ曲がったところにあります。女湯と男湯は入口が離れており、男湯は細い通路の先の奥まった場所に暖簾がかかっていました。


 
コインランドリーの存在感が際立つ脱衣室。長期宿泊者もいらっしゃるのでしょう。
こちらの脱衣室で面白いのが、棚に並んでいるカゴでして、一つ一つに括り付けられたネームプレートには、双葉山・北の湖から大鵬・輪島・千代の富士・舞の海、そして高見盛に至るまで、昭和から現在の各時代に活躍した力士の四股名が記名されてれているのです。ホテルのオーナーさんかどなたかが、余程の好角家なのでしょうね。青森県鰺ヶ沢が第2の故郷である私は、鰺ヶ沢が産んだ"技のデパート"「舞の海」の籠を使わせていただきました。


 
お風呂は内湯のみで露天は無いようです。随時改修されているものと想像され、各所に苦労の跡が見受けられますが、全体的な古さは否めず、とりわけ天井の低さやそれに起因する閉塞感は如何ともし難いものがあります。右側には8基のシャワーが一列に並んでおり、ボディーソープやリンスインシャンプーも備え付けられているのですが、このシャンプーが昭和のおじさんの使うポマードみたいな匂いがしますので、もしお使いの際には予め匂いを確認しておいた方が良さそうです。


 
4本の太い柱に囲まれるような感じで、大きな浴槽がひとつ据えられています。この4本の柱には、交点に金平糖のような模様が施されている、洋風刺繍のような斜め格子のタイル装飾が施されており、また壁には日本庭園のエクステリアで用いるような模造の竹垣が貼られていて、和洋折衷の独特なデザインです。


  
槽内は薄い若草色のタイル貼り。湯口は焼き物の花瓶を横に倒したような感じで、先っちょには固形物を濾し取るネットが被せられており、それゆえ前回取り上げた「斎菊」や前々回の「上の湯」のような、湯船における湯の華の浮遊はあまり見られませんでした。湯使いに関してはよくわかりませんが、浴槽縁から静々とオーバーフローしていましたので、放流式かそれに準じた方法となっているものと想像されます。なお槽内の底には穴あきのステンレス蓋がありますので、もしかしたらここからお湯を排出しているのかもしれません。

湯口から落とされるお湯は結構熱く、温度調整のためかお湯の投入量はやや絞られていました。ただ、浴槽の大きさに対して明らかに投入量が少なく、夕方の混雑時間帯に訪ったことも響いて、この時のお湯は確かに入りやすい湯加減であったものの、残念ながら鮮度感にかける若干鈍り気味のコンディションでした。加水を極力避けるための措置かと察しますが、こうした湯加減ひとつとっても、施設側の苦労が窺えます。また匂いや味も、近隣の他施設に比べると幾分弱く、震災後に弱まった当地源泉のタマゴ感を除去して更にアブラ感を弱めたような、かなりおとなしい知覚でした。
でもお湯が持つ力は失われておらず、パワフルな温まりとシットリとした潤いがつづく湯上がりによって、本物のいわき湯本の湯であることを実感することができました。


 

館内にはビン牛乳のベンダーが設置されているのですが、そこで売られていたのは大手メーカーでも福島県ではおなじみの酪王牛乳でもなく、地元いわきの木村牛乳という業者のものでした。名前に「パスチャライズ」即ち低温殺菌という語句が含まれているように、低温殺菌牛乳ならではの濃厚な味わいが実においしく、お湯で体が火照っていたこともあり、ついつい2本も買って飲んでしまいました。


含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 58.1℃ pH8.1 3370L/min(動力揚湯) 溶存物質1763mg/kg 成分総計1774mg/kg
Na+:530.1mg(86.33mval%), Ca++:65.5mg(12.24mval%),
Cl-:603.6mg(63.73mval%), Br-2.3mg, I-:0.4mg, HS-:8.1mg, S2O3--:2.3mg, SO4--:343.4mg(26.77mval%), HCO3-:120.6mg(7.40mval%),
H2SiO3:51.8mg, HBO2:20.7mg, H2S:0.7mg,
(平成23年9月22日)

JR常磐線・湯本駅より徒歩4分(300m)
福島県いわき市常磐湯本町吹谷80  地図
0246-43-2216
ホームページ

日帰り入浴時間11:00~21:00
700円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
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